「本来の東芝は、世界初の技術を開発・展開してきた素晴らしいDNAを持つ企業。この企業魂をよみがえらせたい」――4月1日付で東芝の代表執行役会長 兼 CEO(最高経営責任者)に就任する車谷暢昭氏は、2月14日開いた会見でこう話した。

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 車谷氏は1957年生まれの60歳。元三井住友銀行副頭取で、現在は投資ファンドのシーヴィーシー(CVC)・アジア・パシフィック・ジャパンの会長兼共同代表を務める。

 東芝 指名委員会の池田弘一委員長は「東芝グループを再び成長軌道に乗せるには、外部の知見を取り入れるべきと判断した。金融機関での豊富な経験を持ち、経営資源の最適な運用術を知る車谷氏は、当社のCEOに最適と考えた」と指名した理由を話す。

 また東芝は同日、第三者割当増資や、米Westinghouse関連の債権を売却した結果で、2年連続の債務超過を回避できる見通しだと発表。「継続企業の前提に関する重要な疑義」も解消できるとした。

 東芝はこうした状況を踏まえた上で、車谷氏の資本調達、M&A(企業合併・買収)、危機対応といった金融分野のノウハウを生かし、ハイペースで体制立て直しを図っていく狙いだ。

●綱川社長は社長 兼 COOに

 綱川智社長は6月の株主総会以降も現職に再任し、社長兼COO(最高執行責任者)として引き続き事業に携わっていく。再任の理由は「一連の施策によって東芝を疑義解消に導いた手腕が評価され、取締役会で全会一致で信任となったため」(池田委員長)という。

 車谷・綱川両氏の役割分担は、車谷氏が中長期的な事業戦略の企画・立案を担い、綱川社長が現場で業務を進める形となる。

 綱川社長は「上層部に外部の人間を招くのは、かつて東芝の再建を担った6代目社長(土光敏夫氏)以来だ。車谷氏も金融関連のご経験を再建に生かしてほしい。これからは2人3脚で事業に取り組んでいく」と抱負を述べた。

●東芝再建は天命だ

 車谷氏によると、現在想定している戦略は(1)資本の状況をさらに改善し、国際競争に耐えうる体制を築く、(2)事業ポートフォリオを見直し、人材を適材適所に配置する、(3)“オール東芝”としての一体感を取り戻す――の3点という。

 車谷氏は「これまでの経験から、厳しい環境の中でしか人は育たないと学んだ。東芝はここ数年厳しい状況にあったが、これを乗り越えることで、組織も従業員もさらに成長するだろう」と展望を話す。

 「東芝の再建という大仕事を任されることは“天命”だ。就任後は、緊張感を持って業務に臨みたい」(車谷氏)

東芝が4月1日付人事を発表