大手チケット売買サイト「チケットキャンプ」のサービス停止を受け、あらためて注目されるチケットの高額転売。800億円規模になるとみられる転売市場では、悪質な“転売ヤー”と興行・アーティスト側とのせめぎ合いが続いている。世界各国で年々深刻化している転売問題。果たして海外ではどのような対策がなされているのか?

◆転売にも積極的な海外のチケット事情
 
 今年6月に行われるサッカーのロシアW杯では、ビザなしの入国権がついた「ファンID」が導入された。各試合のチケットと、顔写真の載った同IDが紐づけられており、両方なければ入場できないという仕組みだ。

 エンタメ大国アメリカでは、アメフト・野球・バスケ・アイスホッケーで、こんな取り組みも。

「年間通して席を確保できるシーズンチケットの保有者は、申し込み・発券しなかった試合のチケットを『スタブハブ』などの売買プラットフォームで公式にリセールできます。定価以下が上限なので、高額転売は不可能。来られなかった場合の空席も埋められます」(在米音楽ディレクター)

 国内ではJリーグのセレッソ大阪がいち早く「スタブハブ」との提携を始めている。

◆あえて値段による格差を強調

 また、アメリカでは初めからチケットの“格差”が大きいのも特徴だ。

「席の位置によって値段の振れ幅が大きいのはもちろんですが、富裕層向けのクレジットカード会社と提携し、カードを持っている人から優先的にチケットを買えるというアーティストもいます。結果として、明らかに興味がなさそうなビジネスマンが増えたり、商談の場に使われてしまうこともありますが、スキャルパー(転売ヤー)が儲かるよりはいいのかもしれません」(同)

 チケット代の値上げとはまるで反対の対策をとっているアーティストもいる。アメリカの大物ミュージシャン、ビリー・ジョエルは最前列のチケットを販売せず、当日最も安い席の観客から、無作為に“特等席”へと招待しているそうだ。こうした例はほかの大物アーティストのライブ会場でも報告されており、ひとつの傾向となっている。

「ファンクラブの会員番号が古いほどいい席を取れたり、どんな販売方法がベストかSNSで直接ファンに相談するといった転売対策に積極的なアーティストが増えています。いずれにせよプロモーターや大手の販売業者に任せっきりにするのではなく、アーティストやファンが主導して考えていかないと、解決するのは難しいでしょう」(同)

取材・文/鼠入昌史 古澤誠一郎 林泰人(SPA!編集部)
―「チケット転売」の裏側 ―