ネットをはじめ大きな話題となり、1月には二度の重版が決定するなど、発売から2カがすぎた今も注を集める『おひとりさま専用ウォーカー』。自身も“おひとりさま”という担当者、東京ウォーカー編集部の中村依さんに話を聞きました。

【写真を見る】おひとりさま専用ウォーカーの担当編集・中村茉依さん

――『東京ウォーカー』が世に送りだした『おひとりさま専用ウォーカー』、1月には二度の重版がかかるなど、話題を集めていますね。そもそも、なぜ、この企画が生まれたのか、あらためて『おひとりさま専用ウォーカー』誕生の経緯を教えてください。

中村依「私自身が“おひとりさま”だったということがまずあるんですけど(笑)、季節ウォーカーの担当編集として『ウォーカー』の企画を考えているときに、って“クリぼっち”という言葉が四季の中で、一、登場する季節だなと思ったのが、そもそものきっかけです。

肌寒くなってきて、ひとりで過ごすこと、自分が独り身であることを痛感する季節なのかなと思って、ひとりでクリスマスを過ごすための付録(の冊子)をつけたいと考えました。

もともと『ウォーカー』は“かと過ごすためのの本”だから、ひとりで過ごす人に向けたもの、『私の本も作れーっ!』という思いに至り(笑)企画決裁のときにプレゼンしました」

――最初は付録という考えだったんですね。

中村「今年(2017年)はクリスマス・イヴ日曜日で、ひとりであることを意識せざるをえないというか、仕事を言い訳にできなくなるじゃないですか(苦笑)。

だから、『そういう一冊が必要なんです』と熱く説したんです。付録にかける熱量以上に(笑)。そうしたら『むしろ、それで一冊作ってみたら』というアドバイスをいただき、その結果、『おひとりさま専用ウォーカー』が誕生しました」

――名前は最初から「おひとりさま専用ウォーカー」だったんですか?

中村「最初は『クリぼっちBOOK』を付録で考えていて、次に“ひとりの方はこちらへ”みたいな誘導をつけて、立たせようと考えていたんですけど、『この本(ウォーカー)には合わないところも出てしまうから別で一冊を』となって。

一冊まるまる作るとなったら、だけでなく長く本屋さん置いてもらいたいなと思って、クリスマスはいちパートにして、全体を通して、一年間、楽しんでもらえる本にしようと企画を考えました」

中村「誌名の補は、最初は『ひとり大好きウォーカー』だったんですよ。でも、なんか違うな、となって、個人的には“専用”を入れたかったんです。仲間ですよ、あなただけのためですよ、というのを伝えたくて、“専用”を入れたいと訴えかけました」

――決裁者側はリア充の人が多いですよね?

中村「はい、かなりアウェーでした(苦笑)。一、Hさんだけは味方だと思っていたのに『読者を傷つけることはしたくありません』と裏切られて、Nさんは『幸せだから、どうぞどうぞ』みたいな感じで、超絶アウェーでしたね。孤独でした。はい、企画決裁の場も“おひとりさま”でした(笑)

――先ほども触れましたが、クリスマスバレンタイン、様々なイベントがあるなかで、一年を通じて“おひとりさま感“に最も直面するのはやっぱりですか?

中村「そうですね。でも、基本的には一年間、すべてがリア充のためのイベントばかりじゃないですか。花火大会とか、お花見とか、あと誕生日とか……。

この本に登場するヒロシさんも『世の中、モテる人のためのイベントや行事が多すぎる』とおっしゃってましたが、本当にそうだなと思って。あっ、そう言えば、私、校了日が誕生日でした(笑)

――誌面でも紹介されていますが、ひとりディズニーの経験は?

中村「実は、ないんです。基本的に、ディズニーランドとか近寄らないようにしています(笑)。女友達とは行っていましたけど、高校生とか大学生とか、何をしていても楽しい時期のことで、社会人になってからは『ディズニーランドデートスポット』という印が強くて遠ざけてます。

でも、自分でこの本で企画して、ひとりディズニーやってみたいと思うようになりました。席におひとりさまを優先的に案内してくれるシングルライダーとか、並んでいるカップルを横で見ながら、すい~と行けたら気持ちいいだろうなって思いますね(笑)

――『おひとりさま専用ウォーカー』の、ここは絶対に読んでほしい、というところは?

中村「“ひとりメシ”特集です。特に“ひとり率”にはこだわりました。参考にしてもらえるとうれしいです。ひとりがまだ寂しいという人は、“ひとり率”が高いところに行けば、周りはひとりの人しかいないから辛くならないと思いますし、逆に“おひとりさまのプロ”は“ひとり率”がどんなに低くてもOKだと思います。

レビューで『“ひとり率”が20パーセントのところを紹介されても……』といった意見もいただきましたけど、上級者向けというか、ハイスペックおひとりさまは、そういうところも楽しめると思います」

――今後、おひとりさまのニーズはますます増えそうですね。

中村「ひとりで過ごせる場所は増えていくような気がします。ソロスペースを世の中にいっぱい作りたいですね」

――企画で取り組んで、「これは!」と思ったものはありますか?

中村「ひとりはとバスツアーも楽しいですし、それから、掲載できなかったんですけど、電車でおひとりさま用のシートチェアシートなどもあるみたいで、せっかくだからそういったものを利用してひとりを満喫してみたいです」

――この本を作っている過程でスタッフさんの反応はどうでしたか?

中村「『それ売れるの?ぷっ』みたいな感じとか、『おひとりさまがおひとりさま作ってる。かっこわらい』みたいなところもありました(苦笑)。

でも、おひとりさまは負けません。挑戦企画でもあったし、おひとりさまがおひとりさまのために作る本だから、自分の中ではすごく前向きでした」

――ユーザーを知っている人が、その思いをきちんとパッケージした、ということですね。仕上がりの満足度はどうですか?

中村「もう少しできたかなと思います。まだ善の余地ありです。次回作はもっとパワーアップさせたいですね。関西とか、他のエリアウォーカー編集部からも作りたい、というをもらったりもしています」

――次回作のプランは?

中村エリア別の企画を立てたいです。横浜ではここ、とか、渋谷ならここ、とか。あとは表面から読むと男性用で、裏面から読むと女性向けみたいな作りもやってみたいですね」

――男女の話が出ましたが、女性のおひとりさまから見て男性のおひとりさまの印は?

中村男性のほうが女性より気が楽そうでうらやましいなって思います。『あえてひとりを選んでます』みたいな感じになるじゃないですか。ドラマとかでも、モテてお金もあるけど、あえてひとりを選んでます、という男性像が描かれることって多いですよね。

女性だと『なんか、痛い人』みたいなネガティブイメージが先行しがちなので、男性ってうらやましいなと思います。そういうのを、全部払拭したいです」

――一方で、本屋さんでレジに持っていくのに少し抵抗があるというも聞きました。

中村「そうなんですよね。最初は、本屋で買うのは『エロ本を買うのと同じくらい恥ずかしいかも』とか言われて、『これか、あいつに頼まれた本』とに出しながらレジに持っていくとか、あえて指輪をして買いにいくとか、そういうのが必要なのかな、と考えました(笑)。そういう考えもあって、表を明るい感じの仕上がりにしたんです」

――最初は表の違うイメージは別だったんですか?

中村「最初は『ひとり』という文字だけ、『おひとりさま』という文字だけを載せて、ちょっと寂しい感じを演出しようかという案もあったんですけど、『それだと中に何が載っているのかわからないから、表を見ただけで中に何が載っているかが伝わったほうがいいよ』というアドバイスをもらって、せっかく100ネタやっているので、その中でも特に印的なものを打ち出そうと思ってこの表になりました」

――次回作の具体的な予定は?

中村「まだ具体的には宣言できませんが、できるだけめに準備して世に届けたいです。富士急ハイランドでも『シングルスマートフリーパス』が登場しました (※2018年2月10日から3月14日まで利用可)し、ついに“おひとりさまの時代”が来たなと思ってます(笑)

――おひとりさま専用ウォーカー編集長?

中村「任命していただけるなら喜んで。結婚したらペンを置きます(笑)

――ちなみに、バレンタインは?

中村「季節イベントに参加することを考えないですね。バレンタインは自分を落ち着かせて、自分にチョコレートを買って、自分がやけにならないよう注意しています。もちろん、自分へのチョコは買います(笑)

――では最後に、購入したユーザーの方に一言、お願いします。

中村「おひとりさま、って心が寂しい状況のときもあるんですけど、これだけの人が手に取ってくれて、これだけおひとりさまがいるんだなってわかったことは、本当に心が温まるというか、おひとりさまも、まだまだ捨てたもんじゃないなって思いました。世の中、疲れている人は多いと思うんです。

ひとりの時間が欲しいと思っている人はたくさんいると思いますし、おひとりさまって、それこそ独身の人だけをす言葉じゃないと思います。広義でも、“ひとりをめている人”がたくさんいるんだということがわかったような気がします。本当に感謝です。全のおひとりさまの期待に応えられるように、これからもがんばりたいと思います」(東京ウォーカー(全版)・浅野祐介

おひとりさま専用ウォーカーの誕生経緯を語る中村さん