相撲界を巻き込む法廷闘争はこれに限らない。14年10月の引退を不服とした元幕下・貴斗志が相撲協会に、「地位確認」を求めた裁判では、貴乃花部屋で起きた「暴行事件」が法廷で明るみに出た。

「貴乃花部屋出身の別の元力士が、『師匠(貴乃花親方)からひどい暴行を受けた』と証言したんです。また、裁判では貴ノ岩(28)が後輩の力士をエアガンで撃ったり、みぞおちにパンチを打ち込んでいたとする証言調書も出てきて、角界に衝撃が走りました。もっとも、貴乃花部屋側は『事実無根』として、一審は原告側の敗訴。高裁で和解が成立しています」(司法担当記者)

 真相は藪の中だが、貴斗志が引退に至った経緯について、貴乃花部屋に近い関係者はこう証言する。

「貴斗志の素行の悪さは有名で、貴乃花親方が不在がちなのをいいことに、不良のような連中を部屋に呼んでは無許可で泊めるようなこともあったようだ。他の力士に迷惑をかけることがあってはならないと、貴乃花親方が苦渋の決断を下したのではないか」

 暴行そのものを「濡れ衣」と指摘する声は多い。

「貴乃花部屋は先代の二子山部屋時代から、よほどのことがないかぎり手はあげなかった。また、問題がある力士はいくら素質があってもやめさせるほど、ふだんの生活態度を重視していた」(ベテラン相撲担当記者)

 たとえ暴行疑惑は晴れても、貴乃花親方の危機的状況は変わらない。

「北の湖前理事長は貴乃花親方をかわいがっていて、『ゆくゆくは後継者に』という思いがあった。貴乃花親方もその遺志をくんで、側近だった小林氏を擁護していたようだが、あまりにタイミングが悪すぎる。事情を知らなかったにしても、あの暴露本で“裏金顧問”との癒着がバラされて、協会内での立場は最悪です」(相撲協会関係者)

 となれば、3月11日に初日を迎える春場所では、現役力士がふんばりを見せるしかない。

 中でも注目を集めそうなのが、昨年の「日馬富士暴行事件」に端を発した貴乃花部屋所属力士vsモンゴル勢の「代理戦争」だ。

 漫画家で好角家でもあるやくみつる氏が言う。

「相撲ファンは興味がそそられるはず。とりわけ、貴ノ岩が再スタートを切る十両には白鵬のまな弟子、炎鵬(23)ら、いい相撲を取るのがいますからね。今場所の対戦は非常におもしろくなるはずです」

 気になるのは2場所連続で休場中の貴ノ岩のコンディションだが、

「実戦から半年以上遠ざかっているせいか、体がしぼんでしまっている感は否めません。四股や鉄砲などの基本練習はできても、相撲を取る稽古がまだ十分にできていない。暴行事件の負傷箇所が頭部だったこともあって、恐怖心を克服してきちんと相手に当たれるかどうかが課題になりそうです」(後援会関係者)

 対する炎鵬は前相撲から史上最速タイの6場所で十両昇進を果たした有望株。体重は関取最軽量の94キロながら、ひねり技を武器としている。

「白鵬はこの内弟子を“ひねり王子”と命名し、2月には披露パーティーを開いた。十両に昇進しても1場所で幕下に陥落すると格好がつかないので、やらないことも多いのですが、師弟ともに自信満々なんでしょう」(前出・ベテラン記者)

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