こんばんは。銀座にあるクラブモントレーでママをやらせて頂いている、桐島とうかです。本日は漆黒革の手帖の4ページ目、ある同伴のときのお話をさせて頂きます。

 銀座のクラブにも同伴というシステムがあります。みなさまご存知かと思いますが、同伴とは出勤前にお客様と一緒に食事をし(ゴルフに行ったり観劇にでかけるというケースもあります)、その後で一緒にお店にいらしてもらうのです。銀座のクラブではヘルプの子(お客様を持っていない子)の場合でも、ママや、お客さんを抱えている「売り上げ」と呼ばれるキャストのお客様との同伴をしなければなりません。同伴ノルマというものが、大概の銀座のクラブにはあるのです。今回は、私が経験した同伴にまつわるエピソードです。

【某会社員・I様とのお話】

 あるお客様の部下として、初めてお店に来てくださったI様。お店での印象は寡黙で、あまりお酒の席に慣れていないのかな、といった感じでした。私もお名刺は交換させて頂いたものの、何度か同席させて頂いている上司の方や、その取引席の方にばかり意識がいってしまい、I様とはあまり、お話しすることができませんでした。

 しかし翌日、I様から頂いたお名刺に乗っていた会社アドレス宛に、お礼のメールを送ると、すぐに返信が来て、

「昨夜はありがとう。とうかさんは、同伴とかしてくれるのかな。忙しいかな。あと、お店の料金システムを教えてください」

 と書かれていたのです。私はすぐに返事をしました。

「まあ、こんなに出会ったばかりでお誘い頂けるなんて……感謝です。○日はいかがでしょう。おひとり様ですと、席料とボトルを合わせて△万円くらいですね。」

 ただ、このメールを送った直後に、この方がとっても若い方だというのを思い出し、もしかしたら断られてしまうかもと、不安になりました。

 「ありがとう。何日の何時で。お店の下まで迎えにいくよ」

 との返信に安心したのを覚えています。

 当日、I様とお店の前で17時半に合流しました。(ほとんどのお客様との同伴の待ち合わせは18時~19時で、2時間くらいで食事をし、20時半頃同伴出勤します。)

「さあ、行こうか」

 そうしてI様についていくと、I様は何も言わずにモスバーガーに入ったのです。

「コーヒーでいいよね」

 私はてっきり、時間が早いので軽くお茶をしてから、次のご飯屋さんに行くものだと考え、そのままモスバーガーでI様とコーヒーを飲みながら話をしました。I様は初めの印象より気さくで、明るく、会話も弾んだのですが、さすがに時間が心配になり、

「そろそろご飯食べに行きませんか?」

 と尋ねました。するとI様は

「え? お腹空いてる?」

 と返答。私は暫く戸惑いましたが、時間も心配だったのと、本当にお腹もすいていたので、

「はい」

 とだけ答えました。しかしI様はまたもとの話に会話を戻し、一向に店を出る雰囲気がなかったので、

「私、ポテト、食べてもいいですか?」

 と、席を立とうとすると、

「ごめん、お金、ない」

 と仰ったのです。

 この時すでに19時くらいだったのですが、私は唖然としてしまい、そのまま2人分のコーヒーのおかわりを買って、席に戻りました。(色々と不安でポテトは買い忘れました。)

 結局、約3時間をモスバーガーのコーヒー二杯のみでお話ししながら過ごして、お店に向かいました。

 このときのことを、私は凄く反省しています。I様にはこの後も同伴を誘っていただいておりますが、お断りをさせて頂いております。きっとI様は私が喜ぶと思って無理をしてまで同伴をしてくれたのでしょう。ただ、私は銀座の街は、余裕のある方に余裕をもって飲んで頂く街だと思っています。余裕のない方に無理をさせてまで来ていただく訳にはいきませんから、こちらもお客様に気を遣わなくてはいけないのです。当時の私には、その配慮が足りませんでした。

 それからは、お客様に余裕があるかどうか、しっかりと見極められるよう努力しています。それもすべて、楽しく末永く、私とお酒を飲んで欲しいからです。ちなみに、私はモスバーガーはもちろん、マックのポテトが好きです。ポテトって食べだすと止まらなくなりますよね……。とうかでした。

【桐島とうか】
’92年生まれ。’15年に学習院大学経済学部卒業。学生時代に起業して失敗し、水商売の道に進む。銀座にあるクラブ「Monterey」でママを務め、銀座のママとしては現在最年少。お店に来ている顧客数は2500人、個人の月間売り上げは1000万を越える。習い事はフラメンコ、ゴルフ、料理。趣味は仮想通貨投資、競馬、着物など