豪メディアに手記を寄稿 契約満了、政治的理由でクラブを追われ「最悪の事態も覚悟」

 J1浦和レッズは3月5日、オーストラリア代表FWアンドリュー・ナバウトの加入内定を発表した。チームリーグ戦開幕3試合未勝利と苦しいスタートを切ったが、新助っ人は移籍に際して地元メディア「プレイヤーズ・ボイス」に手記を寄稿。壮絶なキャリアを振り返りつつ、「浦和はビッグクラブで常にタイトルを義務付けられている。これまでで最高に力を試される瞬間が来る」と決意を表している。

 25歳のナバウトは、2014-15シーズン終了後にオーストラリアの名門メルボルン・ビクトリーを契約満了となり、半年間に渡って所属チームがなかったという。その後、マレーシア2部のヌグリ・スンビランに加入し、ゴールとアシストを量産したものの、クラブの政治的な理由で解雇。母国のニューカッスル・ジェッツからのトライアルへの誘いを命綱にプロキャリアを続けるという、苦難に満ちたサッカー人生を送ってきた。

 象徴的なのは、マレーシアからの帰国時に言及した一説だ。

「俺は最悪の事態も覚悟し始めた。プロとしてのキャリアが終わってしまう、と。俺には物事がこんな風に上手くいかない時の“プランB”なんてなかった。俺の人生に、プロサッカー選手であること以上の望みなんてない。周りの奴らは『プロとして頑張れ』『選ばれし才能だ』と言ってくる。いつだって俺もそうでありたかったよ。それが、最悪な日々も努力してきた理由なんだ」

 強烈なハングリー精神を植え付けられるのに十分すぎるほどの体験を振り返った。


「俺は浦和をトップに戻す力になりたい」

 一方で、ナバウトは浦和への移籍が決まった経緯も赤裸々に書き記している。

「数カ月前、(代理人の)トニーは浦和が俺に興味を持っているって情報をキャッチして、コンタクトを取った。浦和は俺のパフォーマンスに興味を持って、追い続けていると。ただ、状況は停滞していたし、俺はこのチャンスはもう行ってしまったと感じていた。だけど、俺が(ウェスタン・シドニー・)ワンダラーズからナイスなゴールを決めた時、全ては突然動き始めた。その興味が戻ってきたんだ。浦和はスタッフをオーストラリアに派遣して俺のプレーをチェックさせた。彼らとは電話で話したよ。それから、全てはトントン拍子だった」

 浦和がどのような位置づけのクラブなのかを示す言葉は、新天地での強い決意を感じさせる。

「(妻の)サムに話した。このオファーはマジで逃せるものじゃないって。浦和がどれだけ凄いクラブかなんて、説明する必要もないだろう。Jリーグはすごく注目されていて、素晴らしい選手たちが揃うリーグだ。そして、浦和はビッグクラブで常にタイトルを義務付けられている。俺にとって、これまでで最高に力を試される瞬間が来る。浦和は去年AFCチャンピオンズリーグ(ACL)を優勝したが、リーグ戦は7位だった。俺は浦和をトップに戻す力になりたい」


波に乗れないチームの救世主となれるか

 浦和は昨季から続くリーグ戦の不振を脱却し切れていない。「アジア枠」として獲得してきたナバウトにも、フィットするまで何カ月も待つような余裕は与えられないだろう。3月中にデビューを果たせたとしても、4月1日から5月19日までは全てのミッドウィークと週末にゲームがある15連戦を迎える。実戦のなかで連携を高めつつ、結果を出していかなくてはいけない。

 それでも「これがスタートに過ぎないことも理解している。まだ、長い旅路の途中なんだ」と決意を示すナバウト。キャリアの地獄から這い上がった不屈の精神を持ち男は、波に乗れない浦和の救世主になれるだろうか。


(Football ZONE web編集部)

浦和加入内定のFWナバウト【写真:Getty Images】