総務省の平成29年度情報通信白書によると、国内のスマートフォン所持者は20~30代で90%を超え、全世帯でも71.8%と高い数字を記録しているという。これは、スマホに内臓された4K動画などの高画質ビデオカメラを、誰もが使える環境にあることを示している。ただ、今もなお伸び続けているスマホ所持者の一方で、まだまだその高機能性を活用し切れていないのが現状だ。

そうした中、アプリ「NHKプロフェッショナル 私の流儀」などで知られる株式会社DigiBookでは、NHKの番組制作者とスマホユーザーが番組コンテンツを一緒に制作できる公式アプリ「NHKテレビクルー」を企画・開発。その第一弾が3月11日に放送される。

監督の“ミッション”のもと、ユーザーが″テレビカメラマン″として撮影するこのサービス。その開発の意図は。アプリと番組の関係性とは。株式会社DigiBookのプロデューサー・野村 絵里奈(のむら えりな)氏に話をうかがった。

番組制作者とスマホユーザーとの“価値共創”

Q1:あらためて「NHKテレビクルー」の特徴や仕組み、また、開発に至ったきっかけを教えてください。

2016年に、スマホユーザーと番組制作者とのコクリエイション(価値共創)ツールを制作したいという依頼をNHKさんよりいただき、プロトアプリを制作したのがきっかけです。

今回公式アプリとして一般リリース化するにあたり、大勢のユーザーが同時に利用することや生放送番組への対応など、共創をよりスムーズに行うことが不可欠と想定されたため、アプリ単体ではなく『テレビクルーシステム』として開発することを提案しました。撮影指示をリアルタイムに簡単にプッシュ通知できる配信ウェブツールや、100万人同時投稿対応オートスケールサーバーなどを「システム」として提供することで、世界で初めてスマホユーザーと番組制作者の共創を現実に運用できるレベルにまで対応できたと思っています。

Q2:NHKには「スクープBOX」という動画投稿サービスがありますが、本アプリの差別化ポイントはどのようなものでしょうか。

本アプリは、スクープ映像を番組に投稿することではなく、“監督とユーザーが番組を共創すること”を目的としています。そのため、監督の撮影指示を「ミッション」として明示し、ユーザーを「テレビカメラマン」として目覚めさせ、共創することを楽しんでもらえるよう工夫しました。

たとえば、ユーザーとのコミュニケーション手段であるプッシュ通知を監督に活用してもらうため、ウェブツールを制作しました。監督自身にこれを利用してもらうことで、ユーザーとの距離がより近くなり、リアルタイムに共創することを実現しました。また、画角や撮影秒数を番組ごとにコントロールしたり、監督が撮影情報を参照しやすいような仕組みも提供するなど、”ユーザーの撮りやすさ”だけでなく、”監督の作りやすさ”も考慮されているところがポイントです。

誰もが「テレビカメラマン=表現者」に

Q3:番組の第一弾テーマは「♯311246 大切なものは何ですか?」。アプリと番組の関係性について教えてください。

「♯311246 大切なものは何ですか?」という番組では、本アプリを通じて様々な想いをのせた動画を同時多発的に集め作品にしていきますが、これはアプリ活用の「一事例」であると思います。番組によっては、「量」「テーマ」「場所」「人」など様々な切り口でアプリを活用することができます。

また、ユーザー側も、ミッションに従って様々な楽しみ方をします。ロゴも無限大(インフィニティ)マークをあしらっている通り、無限の共創の可能性があるのが本アプリの特徴です。本アプリを番組制作者の皆さんに十二分に使いこなしていただき、新しい映像文化を作っていってほしいです。

Q4:今後の展望をお聞かせください。

DigiBookは「もっと、伝わるをつくる」ことをミッションとして、だれもが表現できる世界を応援しています。まさに、『テレビクルーシステム』は誰もが「テレビカメラマン」として表現者となれるチャンスを後押しするプロジェクトです。今後もアップデートを予定し、共創する力を高めていきます。

映像の世界は進化を続けている。それにリンクするように、これまでは観るだけだった人が、自らの価値観をもって映像を発信していく時代に進んできた。同社の『テレビクルーシステム』は、そうした人たちの新たな可能性を育む、貴重なステージともなりそうだ。
(取材・文 onokeita)

NHKテレビクルー

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