日本勢初の総合優勝、ハラハラだったデビット氏「もっと落ち着いて見られた」

 スピードスケートの世界選手権(アムステルダム)第2日は10日、2種目が行われ、平昌五輪で金、銀、銅メダルを獲得した高木美帆(日体大助手)が4種目合計166.905点で、男女を通じ、日本勢初の総合優勝を果たした。五輪金メダル5つを獲得している女王イレイン・ブスト(オランダ)を破って達成した快挙に対し、オランダ人コーチのヨハン・デビット氏は「私の緊張も無駄だった」と教え子の高木を手放しで称えている。オランダメディアが伝えている。

 恩師の母国で、高木が歴史的快挙を成し遂げた。500、1500、3000、5000メートルの4種目で争う今大会。総合首位で後半2種目を迎えると、最初の1500メートルは1分58秒82で1位。最終種目の5000メートルは4位と奮闘し、総合優勝を射止めた。2位は過去6度優勝のブスト。スケート大国の英雄を抑え、アムステルダムの地で日本人が輝いた。

 歓喜したのは、日本を指導するデビッド氏だ。レース後、地元テレビ局「NOS」のインタビューに応じ、「本当に嬉しい。特に、ここでワールドチャンピオンになれることは最高だ」と自身の母国で教え子が世界女王になったことを喜んだ。前回は3種目を終えて首位に立っていながら、最後の5000メートルで逆転され、優勝を逃していた。

「最後まで緊張した。特に、この気候では何が起こってもおかしくない。だから、最後の最後まで緊張していた。最終的にはかなりの差をつけて勝ったんじゃないかな。だから私の緊張も無駄だったけど、もっと落ち着いて見ることもできていたんだなと」

 このように笑みを交えながら振り返った。見守ったデビット氏にとってはハラハラの展開だったようだが、高木は堂々たる滑りで7度目の優勝を目指したブストら、並みいる強敵を抑えてみせた。

今後の去就は「まだ話してない」も…「今回のことがプラスに働くかもね」

 インタビューの途中には高木が加わり、「とてもとても幸せです」と英語でにこやかに答えた。その後で、教え子との英語によるコミュニケーション方法を聞かれたデビット氏はこう明かした。

「まあ、今あなたがやっていたような感じと同じ。ただ、私たちはもう3年間、一緒にやっているから彼女が話したいことも少し分かる。冗談半分で彼女たちの英語が少し良くなって、私の英語が少し下手になったからちょうど合うようになったと、たまに言っている。お互い分かり合えていると思う」

 最後にインタビュアーから「日本に残る?」と聞かれたデビット氏は「何度か話し合いはしているけど、それは今後の方針、組織についてで契約に関してはまだ話していない。今回のことがプラスに働くかもね」と話していた。

 地元紙「テレグラフ」では、高木について「彼女が見せた(500メートルの)スタートは素晴らしかった。もしかしたらW杯スプリントでも面白い結果を残せたかもしれないが、そこは選択しなくてはいけなかった。結果的に見れば良い選択だった。彼女は500メートルもうまい」とポテンシャルの高さも絶賛していた。

 平昌五輪でパシュート(団体追い抜き)で金メダルに導くなど、15年の就任以来、手腕を発揮してきたデビット氏。五輪に続き、またしても教え子が世界の舞台で最高の輝きを放った。(THE ANSWER編集部)

高木美帆【写真:Getty Images】