日本のお笑い界の頂点に立つ芸能事務所といえば、やはり「よしもとクリエイティブ・エージェンシー」だろう。しかし、その牙城を崩すべく猛攻をかけているのが、ワタナベエンターテイメント、通称・ナベプロだ。

 ナベプロといえば、ここ数年、多くの人気ピン芸人を輩出。サンシャイン池崎、平野ノラ、ブルゾンちえみと、それぞれ“一発屋”感は否めないものの、ナベプロから連続してブレーク芸人が出ているということは、特筆に値するだろう。お笑い事務所関係者は、こう話す。

「ネタのクオリティーやセンスは二の次で、とにかくYouTubeなどで拡散しやすくて、わかりやすい芸人を売り出すというのが最近のナベプロです。使い捨てでもいいから、バラエティー番組内での“ナベプロ芸人比率”を上げようという戦略のようですね」

 質より量で攻めているナベプロ。フジテレビの新人育成番組『新しい波24』から選ばれたメンバーによる『AI-TV』(3月で終了)にも、多くのナベプロ芸人が登場した。

「『AI-TV』は『めちゃ×2イケてるッ!』や『はねるのトびら』の後継にあたる番組で、これまでであれば、吉本のほか、人力舎や松竹芸能の芸人が数組入っているのが通例でした。しかし、『AI-TV』では吉本とナベプロの芸人のみが出演。3月5日の放送では入れ替え戦と称して、非レギュラーの芸人が登場し、レギュラーメンバーとネタ対決を行ったんですが、そこに登場した挑戦者たちも吉本とナベプロで固められていた。もともとフジテレビと関係が強いナベプロということもあって、なんらかの力が動いているといわれています」(同)

 そんなナベプロだが、一部の関係者からは「お笑いに対する倫理観があまりに低い」と批判されているという。バラエティー番組に携わる放送作家は、こう話す。

「通常お笑いの世界では、事務所に関係なく、誰かがやっているようなネタはやらないし、先輩とキャラをかぶせてくるということも基本的にはしない。先輩ではなくても、すでに売れている芸人とキャラをかぶせるのもご法度です。これは単純に芸人としてのプライドに関わってくるところでもあるんですが、ナベプロの場合、そこを余裕で飛び越えてくるんですよ。正直ありえないですね」

 具体的には、どんな芸人が批判の対象となっているのだろうか?

「ナベプロには、ロバート秋山のモノマネをする丸山礼という女性ピン芸人がいます。“芸人のモノマネをする芸人”は辛うじて成立したとしても、丸山の場合は“ロバート秋山のネタをモノマネする芸人”になっている。これは完全にネタをコピーしているだけですからね。秋山本人から『公認』されていますが、お笑い的にはNGですよ。そんなことを許すナベプロが信じられません」(同)

 さらに、個性派女性コンビについても、こんな意見が。

「ナベプロには太った女性コンビの『どんぐりパワーズ』がいますが、これは完全に吉本の『おかずクラブ』と丸かぶり。この2組は同期で、どちらが先というわけではないものの、おかずクラブが先に売れているのだから、どんぐりパワーズがキャラをかぶせないようにするのが基本ですよ。むしろ乗っかって、さらには、おかずクラブを蹴落とそうとしている感じは、ちょっとどうかと思います。あと、『まんぷくフーフー』という夫婦コンビがいて、これはコンビ名が吉本の『パンクブーブー』にかぶっている。本人たちが決めたコンビ名だとしても、ナベプロがしっかり指導しないといけないはず。そのあたりの配慮がなさすぎるのも問題だと思います」(同)

 ナベプロは昨年の『キングオブコント』(TBS系)で話題となった男女コンビ・にゃんこスターや、今年元日の『ぐるナイおもしろ荘』(日本テレビ系)に出演した親子コンビ・完熟フレッシュをすぐさまスカウトし、自社の所属タレントとしている。

「面白いとか将来性があるとか、そういうことはどうでもよくて、とにかく話題性先行で芸人をプッシュするのがナベプロです。たしかにそれなりに結果は出るのでしょうが、本気でお笑いをやっている人にしてみれば、うっとうしい存在だと思いますよ」(前出・お笑い事務所関係者)

 ルール無用でお笑い界に攻め込んでいるナベプロ。果たして覇権を握ることはできるのだろうか──。

ワタナベエンターテインメント公式サイトより