3月日本代表欧州遠征(23日=マリ、27日=ウクライナメンバー発表が15日に迫る中、10日に行われた2018明治安田生命J1リーグ第3節、柏レイソルセレッソ大阪戦。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が直々に見守る中、開始4分にいきなり大仕事を見せたのが、前日25歳の誕生日を迎えたばかりのスピードスター伊東純也だった。

 マテイ・ヨニッチの不用意なパスを江坂任がインターセプトした間、背番号14は右サイドを一散に駆け上がり、ペナルティエリア右の深い位置でボールを受けた。

シュートを打とうかと思ったけど、クリスティアーノ)が開いていたんで、そこに普通に出しただけ」と本人が言うように、シンプル折り返しラストパスをヴァンフォーレ甲府時代からの相棒FWが合わせる。まさに電石火の一撃で、は先制点を奪ったのだ。

 このシーンのみならず、伊東爆発的なスピードでたびたび相手ゴール前を脅かした。クリスティアーノの右サイドからのスローインに鋭く反応した39分のチャンス、武器であるドリブル突破からキム・ボギョンがけてマイナスクロスを入れた61分の場面などがその徴。4日前のAFCチャンピオンズリーグACL)・傑志戦での決勝ゴールで実した通り、一の動きで決定的な仕事のできる彼の怖さを、C大阪守備も随所に感じたことだろう。

「何回かチャンスは作っていましたけど、そこでもう1点取れるようにやらなきゃいけないかなと。個人でマークを外したりってところはもっとできると思う。個の打開を増やしていかないといけないですね」と彼は1-1のドロー決着に終わった不完全燃焼感をにじませた。ただ、残念ながら25歳初ゴールもお預けとなったが、最近の自身の好調ぶりには少なからず手応えをつかんでいる様子だった。

 実際、ワールドカップイヤーに突入してからの伊東の快進撃は覚ましいものがある。

 1月30日ACLプレーオフ・ムアントン戦、2月4日ちばぎんカップジェフユナイテッド千葉戦の2試合連続ゴールに始まり、ACLとJ1過密日程をフル稼働。決定的チャンスに顔を出す回数もに見えて多くなり、傑志戦では値千の決勝弾も決めた。今季は積極的なメンバー入れ替えを行っている下監督伊東を全試合に出場させている。それもチームの絶対的と位置付けているからこそだ。

「今季はJリーグで優勝して、ACLでも優勝して、個人的には代表に入っていきたい。スタートから充実していますし、自信を持ってプレーできている感があるので、やっぱりメンタルは重要だと思います」と神奈川大学を出て2015年甲府入りするまで無印だった男はしみじみと言う。

 同じ横須賀出身で逗葉高校同期でもある小野裕二サガン鳥栖)とは対極のような人生を歩んできたが、「10代の時に立たなくてもプロになることが標だった。最終的にプロになれたからそれでよかった」とマイペースを貫き、ここまでやってきた。プロ入り後の成長曲線は凄まじく、代表デビューとなった昨年12月東アジアカップ(E-1選手権)でも大きなインパクトを残すことに成功。一気にロシア行きの有補に躍り出たのだ。

 伊東が争う右サイドポジションは、これまでベテラン本田圭佑パチューカ)を筆頭に、最終予選で活躍した久保裕也(ヘント)、浅野拓磨シュトゥットガルト)がしのぎを削る形になっていた。だが、本田が最終予選後に外れ、久保クラブではセカンドトッププレーしており、サイドでの経験値を積み重ねられていない。浅野に至っては今年に入ってからクラブで一度も試合に出ていない。これにはハリルホジッチ監督も苦言を呈している。指揮官の秘蔵っ子と言われた宇佐美貴史デュッセルドルフ)が新たな右サイド補者として浮上しつつあるものの、やはり爆発スピードで相手をキリキリ舞いさせられる伊東のようなタイプは必要だ。海外組を含めたフルメンバーのいる代表チームで、マリウクライナという屈強なフィジカル誇る相手に彼がどこまでやれるのか。それはぜひとも見てみたいポイントだ。

 酒井宏樹マルセイユ)という先輩が右サイドバック取っているのも、伊東にとっての強みになり得る。

さんは帰するたびにレイソルに顔を出して、らにをかけてくれる。本当に優しい先輩です。代表で右サイドのタテ関係でやれればも嬉しい。ぜひやってみたいです」と彼も意欲を示している。E-1選手権では背後にいた植田直通(鹿島アントラーズ)らとの連携に苦しみ、韓国戦では失点に絡むミスも犯してしまったが、後ろに際経験豊富なDFがいれば、伊東にとっては安心だ。3月欧州遠征でその形が見られれば非常に興味深い。

ハリルさんが来ていたことは知らなかった。特に意識してなかったけど、選ばれれば頑ります」と本人はセレッソ戦後に淡々とコメントしていたが、メンバー入りへの強い意気込みは見て取れた。果たしてその思いは届くのか。指揮官の決断が待たれる。

文=元悦子

ハリルホジッチ監督が視察に訪れたC大阪戦で存在感を発揮した伊東純也 [写真]=J.LEAGUE