平昌冬季五輪が終わった途端、文在寅大統領が日本非難の声を上げた。1日に行われた抗日独立運動記念日「3・1節」の99周年式典での演説だ。

 竹島問題では日本の領有権主張を「帝国主義侵略に対する反省を拒否するもの」。

 慰安婦問題については「加害者が“終わった”といってはいけない」「戦時の反人倫的人権犯罪行為は、終わったという言葉で隠すことはできない」などと声高に“ご高説”を垂れた。

「3・1節」は恒例の反日デーだから日本非難はいつものことではある。左翼的な文在寅でなくても、保守系の朴槿恵・前大統領だって就任最初の演説では「加害者と被害者という歴史的立場は千年経っても変わりえない」といって日本を驚かせている。

 ただ文大統領は07年の盧武鉉以来、誰も触れなかった竹島問題まで持ち出してきた。この島の韓国名「独島」は韓国では最大の愛国シンボルになっており、それを語れば愛国者として子供から大人まで全国民が認めてくれる。

 文大統領が今回、不動の愛国テーマで日本批判をしたのは、北朝鮮への“ゴマすり策”と深く関係している。焦眉の課題である北朝鮮の核開発問題では、日米韓協力体制のため反日は控えるというのが常識だが、彼は平昌五輪を機に北朝鮮の要人を大歓迎し対北接近に血眼だ。

 閉会式には、韓国の哨戒艦撃沈や延坪島砲撃など過去の軍事挑発の責任者と目される金英哲まで招いて歓待した。

 だが「非核に向け北を説得する」と看板を掲げる文大統領のあまりの対北融和ぶりに、保守派を中心に世論の不満は強い。実は「3・1演説」と同じ日、ソウルの都心は数万人規模の“反・文在寅”デモで埋まり、韓国国旗と星条旗を掲げた参加者は「文在寅は韓国を北に売るのか!」などと叫んだのである。

 だからこそ文大統領としては“売国行為”と非難されかねない対北接近策の免罪符として、「3・1演説」で手垢のついた反日パフォーマンスを行い、自らの愛国者イメージを誇示したのだった。

 国のトップが日本非難をしなければ愛国者になれないという、今なお「日本離れ」できない韓国政治は限りなく切ない。

(黒田 勝弘)

「3・1独立運動」を再現した行進にも参加 ©共同通信社