亀梨和也主演のドラマ、フジテレビ系「FINAL CUT」(関西テレビ制作、毎週火曜21時~)第8話。

12年前、主人公の中村慶介(亀梨和也)は、ワイドショー「ザ・プレミアワイド」の情報操作によって、保育園の園長を務めていた母親の早川恭子(裕木奈江)を女児殺害事件の犯人扱いされて失ってしまう。時を経て慶介は、幼なじみの野田大地(高木雄也)と共に、番組関係者と真犯人と見られる小河原祥太への復讐を企てる。

あやふやな印象の8話

8話はちょっとよくわからないシーンが多かった。祥太を炙り出すため、小河原家を脅したい慶介。しかし、愛してもいない若葉(橋本環奈)を巻き込まないよう遠ざけたのに、愛しているはずの雪子(栗山千明)を得意のファイナルカットでハメようとする。結局は情にほだされて雪子を追い詰め切れなかったが、それだったら最初から若葉を利用した方が早いし簡単だし楽なはず。

若葉が精神的に病んでいることを察知していたから避けたとしても、事件に詳しそうな小河原兄妹の両親を直接脅せばいいのに、なぜよりによって雪子なのだろう?冷酷なのか情に厚いのかよくわからない。次の段階へ進むために、雪子と決別したかったということなのだろうか。

女児殺害事件の被害者しほちゃんのお母さんの感情もよくわからない。慶介のことをしほちゃん殺しの犯人の息子と思い込んでいることから、敵意をむき出しにするのはわかる。だが、慶介がしほちゃんの折り紙から真犯人のヒントを見つけると、何も疑問を持たずに、しほちゃんのお母さんは急に協力的な態度を取った。娘を失ったことで、精神的に不安定になったという描写なのか。なんだかよくわからない。

そしてラスト。慶介は頑なに若葉の協力を拒否してきたはずなのに、若葉が「兄と連絡を取り合っている」と言い出すとあっさり誘いに乗ってしまう。予告を見る限り、これで慶介は現行犯逮捕されてしまうらしい。第8話は、大きな展開があったものの一つ一つの行動原理がよくわからなかった印象だ。

幼女趣味が動機はちょっと違う気がする

ともあれ、話は整理され、クライマックスへ向けて盛り上がってきた「FINALCUT」。今夜放送の最終回の最大の焦点は、12年前に起きた女児殺害事件の真犯人が誰かということだ。現段階では、幼女趣味の小河原祥太が一番怪しいとされている。これが一番ベタな落としどころだろう。だが、ここがちょっとモヤモヤする。

母を亡くした慶介の復讐心は、純粋なものだ。真実を知りたい。母の無念を晴らしたい。すごくわかりやすい。対する「ザ・プレミアワイド」の百々瀬(藤木直人)も「番組を盛り上げたい」というわかりやすさ。善か悪かはともかく、これもすごくピュアだ。

確かに、恨みつらみ出世欲に自己顕示欲など、人間の汚さが表現されている今作だが、最後に幼女趣味という性癖に寄る犯行っていうのは、なんだか場違いな気もする。幼女殺害というとんでもない悪事でも、何かしらピュアな動機が欲しい。ということで、祥太の犯行は、若葉か雪子をかばうためだったと推測する。

慶介の目的が鍵を握る

もちろん、誰もが想像できない大ドンデン返しの可能性がないわけではない。いや、むしろかなり期待できるし、期待したい。ここで注目したいのが、公式ホームページの文言“慶介の復讐に隠された「ある目的」とは?”という部分だ。

慶介の目的は、関係者への単純な復讐ではなく、他に何かしらの大きな計画があるという意味に見える。つまり、この慶介の目的次第で想像もつかない衝撃的なラストが巻き起こる可能性があるということだ。

本編では触れる回数が極端に少なかったこの“ある目的”は、実は/GYAO!で配信されているチェインストーリー7.5話でも少しだけ触れている。この微かな伏線の張り方、枠が2時間もあるということ、最終回の「FINALCUT」はとんでもないことをしでかしてくれるような気がしないでもない。

(沢野奈津夫)
イラスト/Morimori no moRi