フランス自動車大手ルノー2月15日に開催した取締役会で、カルロス・ゴーン最高経営責任者(CEO)の再任を決めた。6月総会を経て正式決定する。任期は4年。

 取締役会は続投のゴーン氏に「日産自動車三菱自動車を含めたグループ戦略の監督を優先する」ようめた。席となっていた最高執行責任者(COO)には2月19日付でティエリーボロレ最高競争責任者(CCO)を充てた。これにより、ボロレ氏は“ポスト・ゴーン”の最有補に浮上した。

 今回の決定の背景には、ルノー式の15を保有する大であるフランス政府、とりわけエマニュエルマクロ大統領との確執が複雑に絡み合っている。

 ゴーン氏とマクロ大統領は因縁の間柄だ。マクロ大統領経済産業デジタル相時代に、フランス政府はルノー式を買い増し、ゴーン流経営に異議を唱えた。ゴーン氏の高額役員報酬批判の急先鋒だったことでも知られている。

 15年には、2年以上保有する式の議決権を2倍に増やすことが可となるフロランジュ法を使って議決権を増やし、ルノー日産の経営統合を強引に進めようとした。しかし、この時は、日産ルノーへの出資率を引き上げて対抗することを検討するなど、しい抵抗に遭って断念した。ゴーン氏が西川氏を日産の後継社長名したのは「この時の交渉を買ったから」(日産役員OB)といわれている。

 フランスでは企業経営者の高額報酬に対する批判が高まっており、2016年に約700万ユーロ(約8億6800万円)だったゴーン氏の役員報酬をフランス政府は問題視していた。ルメール経済・財務相は「ゴーン氏は続投に当たり、自身の報酬の3割減に応じた」ことを明らかにした。

 また、フランスの失業率は10と高いままだ。そのため、マクロ大統領経済再生を最優先に掲げており、ルノーの利益を守ることはフランス経済にとって不可欠だ。ルノー日産に43.4出資。日産三菱式を34保有している。

フランス政府は、ゴーン氏がやがて退任の時を迎えてもルノー日産連合が存続できるよう、日産との連携強化をルノーに迫ってきた。マクロ大統領は13日、『ルノーの利益や企業連合、フランス内の工場を守る明確なロードマップ』をめると表明した」(2月15日ロイター)

 マクロ大統領は、ルノーの生殺与奪権を握る権者になり、「ゴーン氏のCEO再任というもっとも効果的な人質をとった」(現地の全記者)と評される。ゴーン氏のCEO再任を認める代わりに、4年間の任期中に「企業連合を不可逆的なものにするために確実な歩みを進める」(発表文)ことをめた。簡単に言えば、「日産三菱自を経営統合して、ルノー下に置け」という使命を与えたのだ。

ルノー日産の経営統合の可

ルノー日産全な統合の可性もある」と現地の自動車ナリストは分析しているが、事はそう簡単ではない。

 ルノー日産子会社にするには困難がつきまとう。なぜなら、ルノーにとって日産企業規模は大きすぎるからだ。“小が大を飲み込む”といったレベルはるかえる差がある。

 合併の原則から考えると、中長期的に見れば従業員数が多く、さらに稼いでいる側が導権を握ることになる。つまり、日産導権を持つことになる可性が高い。フランス政府は受け入れられないだろう。

 ゴーン氏は2月16日パリで開いた記者会見で、「ルノー日産三菱三社連合(アライアンス)は持続可かという疑問に答えていきたい。ルノー日産三菱に加え日政府の支持が必要だ」とった。さらに「フランス政府がである限り、日本政府は現在の連合より緊密な構造を認めないだろう」と付け加えたと現地では報じられた。

 ゴーン氏は「フランス政府がルノーである限り、ルノー下に日産を置く可性も、ルノー日産を合併する可性も限りなくゼロに近い」と言いたかったのだろう。それにもかかわらず、ゴーン氏の“敵”といえるマクロ大統領はCEOの続投を認めた。

「ゴーン氏以外では日産を抑えられないという判断だろう。彼は18年間、日産を支配してきて、すべて思い通りに操れる。フランス政府はゴーン氏を信用していない。ルノーのことだけを考えれば、今回で交代させたかった。しかし、日産コントロールするためには“重石”が必要と判断した」(日本自動車メーカーの首

 ルノー1712月期通期の営業利益は38.5億ユーロ日産ルノーへの利益貢献は27.9億ユーロで、前期より60.3増えた。日産ルノーけの7割以上を叩き出しているという、“おんぶにだっこ”の構図はより深化している。ゴーン氏が退任することで、日産に好ましくない動きが出ることを避けたというのが実情だ。

 このような事情から、次のような予測をする向きもある。

日産社長は、較的く交代する可性があるのではないか。ゴーン氏の日産会長退任とセットで新しい社長を送り込めば、日産に対してフランス政府のコントロールが利く。フランス人でなくてもいい。フランス政府の意向を尊重して、“ルノーファースト”を実践してくれる経済人の“下り”ならOKということだろう。日本人以外が日産社長になる時がゴーン氏退任の時となる」(内の自動車ナリスト)

 ルノー日産三菱自連合が“ルノーファースト”に変質することになれば、アライアンスと呼ばれてきた、ゆるやかな連合体は崩壊する。3月64歳になるゴーン氏に過度の依存を続ける3社連合は厳しい経営のカジ取りを迫られることになる。「ゴーン氏はルノーのCEOの任期4年はまっとうしない」(現地の全記者)との見方も広がっている。一両年のうちに、ゴーン氏のCEO続投の際の“密約”の結果を出さなければならないということだ。

 もっとも、ゴーン氏自身が“マクロン・シナリオ”に納得しなければ、日産日本人社長が続き、ゴーン氏も居座ることになる可性が高い。
(文=編集部)

カルロス・ゴーン氏(写真:AP/アフロ)