中国当局は13日、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)に対して、最高行政機関である国務院の機構改革案を提出した。金融・市場管理当局などを重点にした組織統合、新たな反腐敗組織の設立が盛り込まれている。

 中国共産党機関紙・人民日報がこのほど、習近平国家主席の経済ブレーンで、国務院副首相に就任する予定の劉鶴氏が執筆した評論記事を掲載した。劉氏は、中国共産党および政府機関の機能や職責が重複し、また権限と責務を明確化していないなど多くの問題を挙げ、機構改革の必要性を強調した。

 劉氏は「党と国家機構改革の深化」を通じて、経済・社会・政治・文化・環境などの分野での改革を続けていくべきだとの認識を示した。

 独メディア「ドイチェベレ」(13日付)によると、中国経済学者の胡星斗氏は、中国の行政機関が多すぎるため、余剰人員の整理と官庁の弱体化が必要だと指摘した。

 胡氏によると、現在中国31の省と市のうち、財政黒字である省と市の数はわずか6つだ。「25の省と市の政府は財政赤字になっており、公務員への賃金給付も難しくなっている」という。

 また、胡氏は中国の行政コストが歳出の45%を占め、先進国の10倍に相当すると指摘した。胡氏は、国民の医療や教育により多くの資金を充てられるよう、大規模な行政改革が不可欠だとの見解を示した。

 金融・市場管理当局の合併

 国務院機構改革案によると、国内銀行や金融機関を管轄する中国銀行業監督管理委員会(銀監会)と、保険業の管轄当局である中国保険監督管理委員会(保監会)が合併し、中国銀行保険監督管理委員会になる。

 この合併計画は同改革案のなかで最優先課題と位置付けられてる。

 証券業を管理する中国証券監督管理委員会(証監会)は統合されない。

 市場管理当局である国家工商行政管理局、国家品質監督権検験検疫総局、国家食品薬品監督管理総局も合併を行い、国家市場監督管理総局とする。

 胡星斗氏は、証監会も新「中国銀行保険監督管理委員会」に合併されるべきだとした。

 ロイター通信によると、中国北京市にある市場調査会社、策緯(Trivium China)のアンドリュー・ポルク氏は、当局が証監会を新組織に合併しないのは、「株式市場の管理機関とマクロ経済政策を実施する機関とはっきり分けるためだ」と分析する。

 国家監察委員会などの設立

 公職員らの腐敗撲滅を目的に新しく設立される「国家監察委員会(国監委)」に、現在の監察部と国家予防腐敗局が編入される。

 11日全人代で憲法改正案が通過したことで、国監委に関する詳細が憲法に明記された。なかでは、国監委は、裁判官の同意がなくても、容疑者を最長6カ月勾留することができるなどと記されてる。国監委は、現司法制度の枠組みの外で独自に行動するとみられる。

 待遇問題をめぐって、近年退役軍人らによる抗議活動が多発しているため、当局は今後退役軍人事務部を設立する意向だ。

 機関改革案によって、これまでマクロ経済政策調整を担い、大きな権限を持つ国家発展改革委員会は、独占禁止、都市計画、温室効果ガス排出規制などの分野の権限が縮小される。

 改革案は、台湾や香港・マカオ政策を担当する国務院台湾事務弁公室、香港・マカオ事務弁公室など各部署の再編に言及していない。

 ロイター通信によると、匿名希望の中国当局高官が、機関改革案によって一部の既得権益集団が権益を失うことに対して抵抗があると話した。

 中国全人代は17日、国務院機構改革案に関して投票を行う予定。来週全人代の閉幕日に、各新部署の責任者人事が公表される。

(翻訳編集・張哲)

全人代に出席した習近平国家主席。(Lintao Zhang/Getty Images)