[SIGGRAPH]最先端のリアルタイムレンダリングデモが多数披露される「Real-Time Live!」レポート(1)
4Gamer

 SIGGRAPHでは,看板イベントともいえるいくつかの映像品評会が毎回開催される。後にレポートをお届けする予定の「Computer Animation Festival」だったり,今回レポートする「Real-Time Live!」だったりがそれにあたるのだ。

 前者は,レンダリングやポストプロセス・コンポジットなど,すべての制作プロセスを終えたCG映像作品が世界各国から投稿され,その中から優秀作を選出して上映していく,いわゆる映画祭的なイメージに近いものである。
 後者は,SIGGRAPH 2010から始まったイベントで,実際にリアルタイムレンダリングのデモを実機で走らせ,開発者や制作者らが技術ポイントを解説していくというものだ。

 Real-Time Live!では,MCの呼び込みで次から次へとプレゼンターが登壇する形式で,まるでミュージックフェスティバルやDJイベントのような雰囲気になっている。
 そんなSIGGRAPH 2012のReal-Time Live!から,筆者が気になったデモを紹介していくが,各セッション開始後の数分しか撮影時間がもらえなかったので,ビジュアル素材が少なめな点にはご了承いただきたい。



■Beauty: Real-Time Visuals
■by Pol Jeremias&Inigo Quilez

 最初に紹介するのは,「Beautypi」のデモだ。
 制作者のPol Jeremias氏は,このシステムを,一言でいうならば「リアルタイム・ビジュアライズ・エンジン」だと述べる。

 ゲームを制作するための根幹ライブラリやフレームワークをシステマティックに構成したものがゲームエンジンだが,Beautypiは,その中のビジュアライザを制作するためのエンジンだ。3Dグラフィックスレンダリング部分が完全なリアルタイム用に設計されており,しかも,ハイエンドゲームエンジン並みのクオリティを持っている。Deferred Shadingベースのパイプラインを採用し,大局照明(Global Illumination)エンジンまでを統合しているというのだから本格的といえるだろう。

 さらにあらかじめ設定しておいたルールに基づいて,ユーザーのパフォーマンス(MIDIキーボードやジョイパッド,iPhoneの画面タッチなど)や音楽(マイク入力,ライン入力)に合わせ,3Dグラフィックスの動きへと変換するアニメーションシステムまでもが搭載されている。

 セッションでは,音楽に合わせて,池の畔の草木が咲き,虫が舞うといったパフォーマンスや,きわめてフォトリアリスティックな情景で描かれた広大な雪山の,山頂の1つ1つがグラフィックイコライザーのゲージ表示のように上下するといったパフォーマンスが示されていた。

 ゲームエンジンのように,ランタイム中でもビジュアライザのコンフィギュレーションコードを変更することが可能で,実際にデモが行われると観客からは拍手が巻き起こっていた。

 実際にどのようなシステムかは,Beautypiの公式サイトを参照してほしいとのことだが,本稿掲載時点ではまだ準備中である。


■Uncharted 3 Visual Effects
■by Mohammed Ikram(Naughty Dog)

 Naughty Dogは,PlayStation 3の開発機のデバック機能を使って,「アンチャーテッド -砂漠に眠るアトランティス-」の「炎上する古城からの脱出シーン」からさまざまなエフェクトの裏側を披露していた。
 炎エフェクトが圧倒的な数になるため,開発当初は10fps程度のフレームレートだったそうだが,描画と制御の工夫を行うことで30fpsのフレームレートまで到達できたと,Naughty DogのMohammed Ikram氏は開発時を振り返る。
 一見すると,どの炎も異なる動きと形状に思えるが,インスタンシングなどをうまく使って描画の最適化を図っているとのことだ。下に掲載したムービーで確認してみてほしい。

ムービー(※4Gamerへジャンプします)


■ARCADE: A System for Augmenting Gesture-Based Computer Graphic Presentations
■by Murphy Stein(New York University)

 拡張現実型ビデオ会議システム「ARCADE」は,New York UniversityのMurphy Stein氏が所属する研究グループによって開発されているものだ。

 パナソニックのテレビ「VIERA」シリーズなどですでにSkype対応が訴求されているように,現在,ビデオチャットは家電製品にも組み込まれるほど普及が進んでいるが,ただ顔が映るだけのコミュニケーションでは物足りなくなってきている現状がある。
 そこで,実写映像のジオメトリ空間とつじつまが合うようにCGを合成したうえで,話者同士がこのCGに対して相互にインタラクトできるようにしたのがARCADEというわけだ。

 ARCADEでは,教育やエンターテイメントなど,さまざまな用途が検討されているとのことで,今回のデモではそういったすべての要素を含んだ総合的なプレゼンテーションが行われている。具体的には,CGキャラクターのぬいぐるみを2人でいじったり,はたまた分子構造モデルを回転させて物質の構成を話し合ったり……と,少々「デモのためのデモ」感が否めないものだったが,それでも十分に未来を感じられた。ちなみに,ジェスチャー入力,およびビデオチャット用の映像取得には,Kinectを採用しているとのことだ。



■UNIGINE Engine Render: Flexible Cross-API Technologies
■Denis Shergin(Unigine LLC)

 ベンチマークソフト「Heaven Benchmark」のイメージが強いロシアのUnigineだが,実は歴としたゲームスタジオである。最近では,PC向けにタワーディフェンス系の「Oil Rush」という自社開発ゲームをリリースしていたりもする。


 Heaven Benchmarkは,ゲームエンジン「Unigine Engine」のショーケースデモだったわけだが,今回のReal-Time Live!で披露された「Valley」は,新たに開発中のテクノロジーデモとなる。ゲームエンジンにはUnigine Engineが用いられているとのこと。

 詳しいリリース時期は語られなかったが,Valleyも,Heaven Benchmarkや「Tropics」と同様にベンチマークソフトになる可能性が高い。
 ともあれ,下にValleyのデモムービーを掲載したのでまずは見てみてほしい。

ムービー(※4Gamerへジャンプします)

 このデモを見る限り,Unigine Engineは,サバイバル戦闘を題材にしたFPSゲームや,広大な未開な土地を冒険していくオープンワールド型RPGのようなシーン描写に適しているように感じられる。

 Valleyで注目すべき技術は,プロシージャル技術への対応だ。植物や山のような地形,マテリアル表現に用いられるテクスチャなどの一部が,内蔵されたアルゴリズムによりプロシージャル生成されてレンダリングされている。
 天候の変化,昼夜の天球の変化なども盛り込まれており,雨が降れば,石や草木には水がたまり,そして流れ,霧が出始めて視界が悪くなるといった表現までもが盛り込まれるとのこと。夜になると星が輝き,雲の合間から月が見え隠れして幻想的な月明かりの夜景が浮かび上がるのだ。



 今回はReal-Time Live!で行われたデモの中から4つを紹介したが,第2弾も掲載するお届けする予定なので,楽しみに待っていてほしい。

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