自分の趣味を仕事にすることに対して、「待った」をかける声は多い。僕もその「待った」をかけたがる1人だったりする。

趣味で楽しんでいることにお金が絡んだり、それで食っていくようなことになると、もう趣味を趣味と見ることはできなくなってしまう。純粋に趣味を楽しめていた時期が過ぎて、どうにも辛くなってしまうことが多いからだ。

しかし、だからといって全く興味のない業種を仕事として選んでも、それはそれで何の解決にもならないようで……。(文:松本ミゾレ)

気力、体力の限界…35歳スレ主はなぜ仕事を辞めたのか?


人は勝手なことを言いますからね。全部真に受けると損するのは自分です

先日、5ちゃんねるに「趣味を仕事にしないほうがいいって言うから嫌いなことを仕事にしたら人生詰んだ」というスレッドが爆誕していた。どう突っ込んでいいものやら、といった感じだが、このスレッドを立てた人物曰く「35歳にして限界が来て退職した」のだという。

さらに「再就職するにしても、もうやりたくない。でも未経験の業種じゃ今更採用されない」とも書き込んでいる。相当落ち込んでいるようだ。

別にやりたくない仕事を、あえて選んでやる必要はない。だけどきっとこの人は、極端な発想で「この業種なら元々嫌いだし、せいぜいもっと嫌いになるぐらいだろ」と思って就職しちゃったんだろう。

そういう発想は嫌いではないんだけど、このような結末になる可能性だってきっと高うわけで、なぜもっと早く退職しなかったのかと思えてしまう。

が、スレッドを読み進めていくと、そもそもどうして嫌いな業種を選んだのか、理由が書かれている。他のユーザーが「好きなことより得意なことをやるのがベスト」と書き込むと、この35歳スレ主は「そうやって騙された。得意でも嫌いなことじゃ心を病む」と返しているのだ。

つまり仕事そのものへの心得はあったようだ。だけど結局、得意であっても好きではないので、モチベーションが落ちる一方だったのだろう。これで35歳まで引っ張ってしまった理由が、何となく理解できた。

好きでもなんでもない上に「やりがい搾取」をされたら続けられるわけはない

話は変わるが、最近になって就職情報を見るという趣味ができた。というのも、求人段階ですげえ厚かましいことを書いている職場が、割と多いからだ。

たとえば「やる気さえあれば徹底的に指導します!(研修期間は1年で、その間は時給800円)」とか「やりがいあふれる職場で、責任感も養えます!」とか。要は待遇の悪さを「やりがい」という曖昧な言葉でごまかしているのだ。

件のスレッドを立てた人物も、辞めた理由、限界を感じた理由に「いわゆる"やりがい搾取"があった」と述べている。精神的にも時間的にも搾取をされ、限界を感じたとしても無理はない。

世の中、好きでもない仕事をしているせいで疲弊している人が多い。それなのにそういった職場では、さらにその仕事を嫌いになるような指示が出されがちだ。

そのくせ報酬も大したことはないのだから話にならない。そんな職場に残っていても意味がない。35歳で退職するのは勇気がいることだが、個人的にはその判断には拍手とエールを送りたい。

嫌なことを無理して続けても誰も評価なんかしてくれないし、自分の心が死ぬだけだ。みんな分かっているはずなのに、勇気がないから行動しない。それだからひどい職場も現状にふんぞり返るのだ。