欧州遠征を実施しフランス、オーストラリアと対戦

 日本代表は3月23日にマリ戦(1-1)、27日にウクライナ戦(1-2)と国際親善試合2連戦に臨んだなか、ロシア・ワールドカップ(W杯)グループHのライバル国も自チームの強化を進めていた。グループリーグ第1戦で対戦するコロンビア代表は、23日にフランス戦(3-2)、27日にオーストラリア戦(0-0)を実施。W杯本大会に向けて強化を進める南米の強豪の姿を、データ分析会社「InStat」社が集計したこの2試合のデータを用いながら、コロンビアの攻守の特徴や弱点などを「攻略への10のポイント」としてまとめた。

 まずは、コロンビア代表の特徴から見ていきたい。

【Point 1】コロンビア最大の強み、智将ホセ・ペケルマン

 フランス戦では4-1-4-1からスタートしたものの、2失点を喫した後にはMFカルロス・サンチェス(エスパニョール)を最終ラインに下げて3バックにし、FWルイス・ムリエル(セビージャ)がFWラダメル・ファルカオ(モナコ)の周りを動く3-5-1-1にシステムを変化させた。DFサンティアゴ・アリアス(PSV)の裏を狙われていると察知した後半には、アリアスを一列上げて3-3-2-2にシフトするなど、一つのシステムや戦術に固執せず、多彩なアプローチを持ち合わせている点が、智将ホセ・ペケルマン率いるコロンビアの最大の強みとなっている。

 W杯南米予選のブラジル戦では、後半から4-4-2に切り替えて相手が苦手とする空中戦を主体とした戦いに持ち込んだり、オーストラリア戦では4-1-2-3を軸にするなど、代表レベルでポジショナルプレーを体現するチームを作り上げている。

【Point 2】最も代えの利かない“10番”ハメス

 中央に位置するMFハメス・ロドリゲス(バイエルン)は、フランス相手にもロングパスを10回中10回成功させるなど、試合内で別格の数値を誇っている。フランス戦、オーストラリア戦ともにペナルティーエリアへのパスを5本通すなど、両チーム合わせたチャンスメイク数はダントツの数字を誇っていた。

高精度ロングパスとサイドアタックに警戒

【Point 3】75%以上の空中戦勝率を誇る堅固な守備陣

 フランス戦ではDFジェリー・ミナ(バルセロナ)とDFダビンソン・サンチェス(トットナム)、オーストラリア戦ではDFクリスティアン・サパタ(ACミラン)とDFオスカル・ムリージョ(パチューカ)が先発したが、ミナ以外は75%以上の空中戦勝率を誇る。両センターバックとも攻撃時に相手ゴール前へ赴かずに自陣エリアを保っている点も一つの特徴と言える。

【Point 4】ハメスを生かすための中盤の人選

 ハメスを攻撃面で生かしきるため、フランス戦ではボール奪取能力の高いMFアベル・アギラール(デポルティーボ・カリ)を隣に配置し、奪取後即パスを供給していた。またオーストラリア戦では、MFマテウス・ウリベ(クラブ・アメリカ)を中央に配置してボールの受け手とするなど、選手の特徴を掴んだうえで互いの武器が被らない戦術補完を行っていた。

【Point 5】サイドに依存しやすい攻撃性

 中央は堅固な守備陣で固めつつ、両サイドから攻撃を仕掛けてくるケースが2試合ともに見受けられ、フランス戦ではサイドアタック率が83.8%(左31回、中央11回、右26回)、オーストラリア戦では84.5%(左40回、中央13回、右31回)と高い割合を示している。

 特に、ハメスが中央からサイドに流れて起点となるケースや、サイドアタッカーがスペースを突いた後に、ファルカオやハメスがエリア内に侵入してくるケースが大半となっている。オーストラリア戦におけるペナルティーエリアへのパス数が顕著であり、左サイドバックのDFホアン・モヒカ(ジローナ)とハメスがともに7本中5本を成功させていることからも窺える。

【Point 6】高精度ロングパスも大きな武器

 ドリブル突破やポゼッション以上に、前方へのフィードやサイドチェンジの成功数が多い。フランスの22回中14回の成功に対し、コロンビアは27回中23回と実に85.2%のロングパスを成功させている。

 オーストラリア戦ではシステム変更に伴い、キーパスの成功率を高めているが、オーストラリアが5本中1本しか通せなかったのに対し、コロンビアが25本中13本を通している点からも、キック精度の高さが窺える。

日本代表が突くべきポイントは両SBか

 ここからは、データから見えた攻守両面の弱点について触れていきたい。選手の特徴が反映された武器の裏には、必ず裏があるものだ。

【Point 7】攻撃時にフィニッシュワークにかける人数が少ない

 左サイドでムリエルがドリブル突破を試みたり、ハメスのサイドチェンジ後にウリベやアリアスが中央へのパスを送り込むことで得点機会を作り上げているが、中央にはFWが1枚残るのみ。ファルカオはフランス戦で空中戦8戦1勝と競り合いの弱さを露見し、オーストラリア戦では攻撃時のチャレンジで全敗した。

【Point 8】守備時にできる右SBの裏のスペース

 フランス戦においてアリアスのポジショニングのズレが散見され、裏に広大なスペースができている。ウリベがサポートに回るものの、アリアスは守備時に6戦1勝(勝率16.7%)と対応に後手を踏んでしまうケースが幾度となく見受けられた。

 オーストラリア戦では、6戦5勝(83.3%)と劇的な改善が見られたものの、主に逆サイドからの攻撃が多かったことや、ウイングの選手との距離感が良かった点に起因する。

【Point 9】守備時にできる左SBのアンバランスさ

 フランス戦で左サイドバックを務めたDFフランク・ファブラ(ボカ・ジュニアーズ)は、マッチアップしたフランス代表FWキリアン・ムバッペ(パリ・サンジェルマン)の対応もあり、この試合では終始守備意識を高めていた。その甲斐あって11戦7勝(63.6%)と守備面での貢献度はあったものの、攻撃時のデュエルは全敗とバランスを欠いた。

 オーストラリア戦では同ポジションをモヒカが務めたが、14戦6勝(42.9%)と高パフォーマンスを発揮したとは言えず、攻撃面でも7戦1勝(14.3%)と後手を踏む場面が多く見られた。

【Point 10】失点を助長するファウルトラブル

 コロンビアはW杯南米予選で一時2位に浮上したものの、好不調の波が目立ってしまった。最終的に4位で出場権を勝ち取ったが、守備陣の不安定さを露呈している。

 今回のテストマッチ2試合で浮き彫りとなったのは、一定の時間帯におけるファウル率の高さだ。フランス戦ではファウル数が14回(前半6回・後半8回)、オーストラリア戦では16回(前半7回・後半9回)記録されたが、どちらの試合でも前半20~30分頃と後半30分~40分頃に連続してファウルが発生している。試合展開にもよるが、チームとして一つの傾向となっている可能性もある。

 日本はコロンビアのサイドバック裏のスペースを執拗に攻め入って相手の集中力を削ぎつつ、自分たちの時間を保持することが必要となる。特にブラジルW杯で屈辱の敗戦を喫したメンバーや、リオデジャネイロ五輪で決勝トーナメント進出を阻まれたメンバーたちには、強い気持ちでコロンビアに挑み積極的なプレーを貫いてリベンジしてもらいたい。(Evolving Data labo)

日本代表がグループリーグ第1戦で対戦するコロンビア代表【写真:Getty Images】