お金の不安を抱えたまま、赤ちゃんとの暮らしをスタートするのは避けたいですよね。おだやかな気持ちで産休・育休期間を過ごすには、出産前に経済的支援制度の流れを把握しておくことも大切です。今回は、手当や給付金をしっかり受け取るために必要な情報をお伝えします。

○まずは出産手当金と育児休業給付金の基本を知ろう!

出産手当金とは

出産手当金は、出産のために仕事を休み、給料を受け取れない時の生活保障として支給されるものです。

支給条件
・勤め先の健康保険の被保険者であること
・妊娠4カ月以後の出産であること(人口中絶・流産・死産・早産も含む)
・出産のために仕事を休み、事業主から給与の支払いがないこと
支給金額(日額)
【支給開始日以前12カ月間の各標準報酬月額を平均した額】÷30(日)×2/3
※休んだ期間に給与の支払いがあった場合、その給与の日額が出産手当金の日額より少なければ、出産手当金と給与の差額が支給されます
支給期間
予定日どおり出産した場合は予定日前後あわせて【98日間】、予定日よりも早くうまれた場合は【98日間-出勤日数】、出産予定日よりも後に出産した場合は【98日間+予定日より遅れた日数】※多胎妊娠の場合それぞれ+56日

育児休業給付金とは

育児休業給付金は、子を養育するために育児休業を取得した場合に支給されるものです。

支給条件
・雇用保険の被保険者であること
・育児休業開始前の2年間で12カ月以上(※)保険に加入していること
・育児休業期間中の1カ月ごとに、休業開始前の1カ月あたりの賃金の8割以上の賃金が支払われていないこと
・就業している日数が支給単位期間(1カ月)ごとに10日以下であること。もしくは10日を超える場合、就業している時間が80時間以下であること
※賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月を1カ月とする
支給金額(月額)
【休業開始時賃金日額】×支給日数の67%(育児休業の開始から6カ月経過後は50%、支給金額は上限・下限ともにあり)
※加入している健康保険組合によっては、独自の付加給付が上乗せ支給される場合もあるので、確認してみましょう
※育児休業期間中に賃金が発生した場合、各支給対象期間中(1カ月)の育児休業給付金と賃金との合計が育児休業給付金の80%を超える時には、超えた額が減額されます
※賃金の額のみで育児休業給付金の80%に相当する額以上になる時は不支給となります
支給期間
原則、養育している子が1歳(パパママ育休プラス制度を利用する場合は1歳2カ月)となった日の前日(誕生日の前々日)まで。
※ただし、子が1歳になる前に職場復帰した場合は、復帰日の前日までとなります。また、一定の要件を満たした場合は、最大で1歳6カ月または2歳となった日の前日まで受給できる場合があります。

○申請手続きはどうしたらいい? 申請期限はあるの??

出産手当金の申請方法

一般的には事業主を通して、所属する協会けんぽ支部または健康保険組合へ申請します。
該当期間分をまとめて申請することが多いですが、産前分、産後分など複数回に分けて申請することも可能です。ただし、複数回に分けて申請する場合、事業主の証明欄は毎回証明が必要です。

医師または助産師の証明欄は1回目の申請が出産後であり、証明によって出産日等が確認できた時は、2回目以降の申請書への証明は省略可能になります。

出産前に必要書類を受け取っておき、入院時には申請書を持参し病院に証明欄の記入をお願いするなど、手続きがスムーズに進むように事前にスケジュールを組んでおきましょう。

協会けんぽの場合 、出産手当金を受ける権利は、受けることができるようになった日の翌日から2年で時効になるので、注意が必要です。

育児休業給付金の申請方法

事業所を管轄するハローワークへ、申請書類、賃金台帳や出勤簿、支給申請書の記載内容が確認できる書類などを提出します。

一般的には事業主が提出しますが、やむを得ない理由のため、事業主を経由して提出することが困難な場合や被保険者本人が自ら申請手続きを行うことを希望する場合は、被保険者本人が提出することも可能です

原則として、2カ月に一度、支給申請を行います。被保険者本人が希望する場合、1カ月に一度、支給申請を行うことも可能です。

育児休業給付金の支給申請は、支給対象期間の初日(育児休業開始日)から起算して4カ月を経過する日が属する月の、末日までに申請する必要があります。次回以降は、ハローワークが指定する期間内に申請しましょう。
○支給はいつ? 早く受け取るためにできることは??

「出産手当金」「育児休業給付金」ともに申請時に指定した口座へ入金されることになりますが、その入金時期については少し注意が必要です。

出産手当金の入金時期

協会けんぽでも支部により、申請書受付から給付金の振り込みまでの期間を「10営業日以内」としているところや、「2週間程度」としているところなど、さまざまです。

少しでも早く受け取りたい場合は、手間は増えますが、産前・産後と分けて申請することも検討してみるといいでしょう。

育児休業給付金の入金時期

概ね支給決定後1週間で指定した口座へ振り込まれます。基本的には2カ月に一度の申請なので、2カ月分がまとめて振り込まれます。少しでも早く受け取りたい場合は、こちらも手間は増えますが、1カ月に一度支給申請することも可能です。

「出産手当金」や「育児休業給付金」について、"出産後すぐにもらえるもの"というイメージを持っていた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実際に「出産手当金」「育児給付金」を受け取るまでには少し時間がかかります。

「出産手当金」や「育児休業給付金」を産休・育休中の生活費に使おうと考えている場合、一時的に家計が厳しい状態に陥ってしまうこともあります。生活費をどうするのかを事前に考えておくことはもちろん、出産前後は何かと物入りな時期だからこそ、優先順位を考えたメリハリのあるお金の使い方を意識したいですね。

※写真と本文は関係ありません

○著者プロフィール

ラーゴムデザイン代表 長谷部敦子
ファイナンシャルプランナー、マスターライフオーガナイザー、メンタルオーガナイザー。父親の看取り介護、自身の結婚を通して、「心」と「お金」の整え方を知ることの必要性を感じ、学びを深める。2012年・2014年の出産を経て、2015年に「しなやかな生き方をデザインする」をコンセプトに起業。家計・起業・扶養などに関わるお金の悩みや、働きたい女性のメンタルについての相談・講師業を中心に活動。働く母の目線で、日々のくらしを快適にする仕組みづくりについての執筆も行っている。「生き方デザイン.com」
(長谷部敦子)

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