(C)MBC&iMBC All Rights Reserved.


 『宮廷女官 チャングムの誓い』や『朱蒙[チュモン]』といった大型作品が紹介されてから10年以上がたち、日本でもすっかり定着した韓国時代劇。07年に制作された『イ・サン』も、そうしたドラマと並ぶ名作だ。


 主人公となるのは、14世紀後半から20世紀のはじめまで500年以上にわたって続いた朝鮮王朝の第22代王・正祖(チョンジョ)。歴代の王の中でも特に優れた業績を残し、波乱の人生を送ったことで知られる王の一生がドラマティックに描かれていく。全77話ということで、「長いドラマは見るのは大変かな?」と思う方もいるかもしれないが、敵対する者たちから命を狙われ、数々の危険をくぐり抜けながら成長していく凛々しい主人公の姿、幼き日に出会った女性への身分を越えた甘酸っぱい恋心、コミカルなエピソードで笑わせる個性豊かな助演俳優たちの活躍など、見どころがぎっしりと詰まっているので、一度、見だしたらやめられなくなってしまうに違いない。

(C)MBC&iMBC All Rights Reserved.


 舞台となるのは、18世紀も半ばを過ぎた朝鮮時代後期。年老いた第21代王・英祖(イ・スンジェ)は、党派争いの続く中で起こった謀反の首謀者が息子である思悼世子(イ・チャンフン)だと信じ、彼を罪人として“米びつ”の中に閉じ込めてしまう。そのことを知った思悼世子の息子サン(子役:パク・チビン)は、祖父である英祖の命令に背いて父のもとへ行こうとしていた途中で、自分と同年齢の少女ソンヨン(子役:イ・ハンナ)と少年テス(子役:クォン・オミン)と出会い、友情を育む。しかし、その後、思悼世子は無念の死を遂げる。9年後、王の世継ぎとして成長したサン(イ・ソジン)は、彼の存在を嫌う何者かに命を狙われる日々を送っていた。


 ドラマの演出を手がけたのは、70年代から活躍し、『ホジュン 宮廷医官への道』『宮廷女官 チャングムの誓い』『トンイ』『オクニョ 運命の女』など、数々のヒット作を生み出してきた“時代劇の巨匠”イ・ビョンフン監督。きめ細かい時代考証と、感情に訴える演出、ダイナミックなストーリー展開で、視聴者を引きつけるドラマを作り続けてきた。『イ・サン』でも、子どもの頃に親しくなった友人たちがすぐ近くにいることに主人公がなかなか気付かなかったり、クセのある悪役たちが次々と悪事を企んだりと、「これから、どうなるっていくの?」というポイントが次々と登場。また、イ・サン役のパク・チビンをはじめ、第4話まで主人公たちの子ども時代を演じる子役たちのすばらしい演技によって、一気にドラマの世界に引き込まれる。

(C)MBC&iMBC All Rights Reserved.


 イ・ビョンフン監督はお気に入りの俳優を何度も器用することでも知られているが、今回のドラマにも『宮廷女官 チャングムの誓い』の出演者たちが揃って出演。チャングムの親友を演じたパク・ウネが、イ・サンの正室、チャングムをいじめ抜いた女官役のキョン・ミリがイ・サンの母、チャングムの師匠役のキム・ヨジンが王の正室と、一味違う姿で登場しているので、比べながら見るのもおすすめだ。


 主人公イ・サンを演じているイ・ソジンは03年の時代劇『チェオクの剣』でブレイク。11年の『階伯[ケベク]』で6世紀、百済の武将に扮したこともあり、時代劇の経験が豊富な俳優だ。『イ・サン』では、王となることが運命付けられた人物の「人間的な部分を表現しよう」と思ったとのこと。王の世継ぎとして緊張が続く毎日の中で、美しい女性へと成長したソンヨンとの再会に喜んだり、護衛武士としてそばにいてくれる親友テスを茶目っ気たっぷりにからかったりする姿は思わず「かわいい!」と言いたくなってしまう。

(C)MBC&iMBC All Rights Reserved.


 そんなイ・サンの最愛の人ソンヨン役は、『宮廷女官 チャングムの誓い』にも出演していたハン・ジミン。イ・サンへの密かな思いを胸に抱えながら、王室や国の行事の様子を絵で記録する仕事などを担当する図画署という部署で働き、絵の才能を開花させていく。イ・ビョンフン監督は『宮廷女官 チャングムの誓い』で朝鮮時代の料理や韓方(医療)を取り入れて話題を呼んだが、『イ・サン』では「絵画」という側面から、朝鮮時代の文化を紹介。清楚なルックスと落ち着いた演技のハン・ジミン演じるソンヨンのサクセス・ストーリーとしても、楽しむことができるドラマとなっている。

(C)MBC&iMBC All Rights Reserved.


 敵の多い宮中で、イ・サンが最も信頼する人物となるテスも魅力的な人物だ。幼なじみであるソンヨンへの思いを胸に隠しながらイ・サンを支える姿が、頼もしくも切ない。テス役のイ・ジョンスは、その後も、『百済の王 クンチョゴワン』や『大王の夢』といった時代劇に出演している。


 そして、比較的若い俳優たちを支え、中盤にいたるまでドラマの中心となってしっかり支える役割を果たしているのが、威厳に満ちた英祖役のベテラン俳優イ・スンジェ。王としての立場を守ろうとするばかりに息子を殺すことになってしまった苦悩や、孫であるイ・サンへの愛情を表現する姿に感情を揺さぶられる。

(C)MBC&iMBC All Rights Reserved.


 豪華な衣装やセットに囲まれた王室の人たちの権力争いを中心に、ラブストーリー、アクション、友情、家族愛、コメディと、多彩なジャンルが詰め込まれた『イ・サン』。韓国時代劇ファンはもちろん、「まだ、時代劇は見たことがない」という方にもぜひ、おすすめしたい1本だ。韓流ドラマ『イ・サン』はAbemaTV【韓流・華流チャンネル】にて4月19日(木)23時30分より放送。


テキスト:佐藤結