今年、デビューから10年目を迎える松下優也が、ミュージカルの大役に大抜擢された。オペラで有名な「カルメン」を、意欲的な舞台作りを続ける演出・振付家の謝 珠江が新たな視点で描くミュージカル「Romale(ロマーレ)~ロマを生き抜いた女カルメン~」。4月8日に東京公演を終え、11日(水)からいよいよ大阪公演が開幕する。

【画像】公演期間中は基本的に同じスタイルで動きたいと話す松下

19世紀に描かれたメリメ原作「カルメン」をベースに、カルメンがジプシーと呼ばれたロマ族として、当時の社会でどのように生き抜いて来たかに焦点を当てる作品だ。ロマ族の誇りを持ち、自由のために命を賭けて生きるカルメンには、宝塚歌劇団上演の「激情-ホセとカルメン-」でもカルメンを演じた花總(はなふさ)まり。そして、カルメンの魅力に翻弄されながら愛を貫き通したホセに松下優也。地元・西宮市の出身で、歌手活動をはじめNHK連続テレビ小説「べっぴんさん」の栄輔役や舞台などで活躍中の松下だが、今回のようなミュージカルは初体験だ。来阪会見では作品への想い、稽古や舞台への取り組み方、さらに個別取材では恋愛観も語ってくれた。

【オファーを受けて】

素直に、とてもうれしく思いました。でも、なぜ僕なのかなって(笑)。僕がやっていたミュージカルは漫画原作のものだったり、今までの作品とは全然違うし、花總さんが主演の作品でこんなにもすごい役で出演できるなんて、恐れ多い部分もすごくあります。自分より歌やお芝居が素敵な人っていっぱいいるんですよね。でも、その中で僕がやるからには、新しいものを何か見つけ出せたらいいなと思って。自分のこれからの長い人生において、とても大切な作品になるんじゃないかなと感じているので、とても楽しみです。

【作品と役柄について】

「カルメン」については名前を知っていたぐらいでしたが、日本人にはない情熱的な部分が印象的だなと、台本から感じました。ホセは、男らしい部分だけでなく弱い部分もあり、演じがいのある役。カルメンに翻弄される様は、完璧でないところがとても人間らしいと思います。演じる上で難しいのは、人と人との距離感かな。物語の中で重要な人種の問題は、何かを感じ取ってもらえるように大切に演じないと。そこも難しい部分です。カルメンはすごく強い女性ですね。自分の運命を受け入れて生きて行く姿は、男から見てもカッコイイなって思います。

【歌、ダンス、お芝居。得意なものは?】 

歌、ダンス、お芝居、3つともOK、なはずです(笑)。今回は歌が重要になってくると思うので、歌かな。僕、普段はR&BやJ-POP、ポップスとかを歌っているんですけど、それらとは全然違いますから、すごく楽しみ。歌の面で、この「ロマーレ」を通して、自分自身すごく成長できるんじゃないかなと思っています。

【稽古場で】

舞台の稽古に入る時は、基本的に何も決めて行かないのが僕のスタイル。自分を基本的にゼロにした上で、稽古しながら作っていくのが、自分に向いているやり方かなと思っていて。基本的には演出家の方がすべてだと思うので、頭の中で同じものを共有できているかどうか、できるだけ演出家の方が描いているものを理解したいと思っています。

僕は、稽古中は何をやってもいい場所だと思ってるんですよ。これしちゃいけないかなって止めるのが一番よくないと思うので、いろいろ試してみたい。だから、やりながら作っていくっていう、謝先生の稽古はすごく楽しみです。初めから答えを出されてしまうと、見つけ出していくおもしろ味がない。楽しくやりたいなと思ってるんです、何でも。

で、初日に一番いいものを持ってくるのが大事だと思う。初日にある程度の緊張感を残して幕が開く方が、いいスタート切れると思うんです。

【公演中は】

稽古と違って、僕は公演期間中は基本的に同じスタイルで動きたいんです。役柄や作品にもよりますが、ご飯を食べる時間とか寝る時間とか、家から劇場での生活もルーティーンするように。もし失敗した時、あれをやらなかったからとか、前の日酒を飲んだから、とか思うのがイヤなので。リピートして来ているお客様もいるかもしれないけど、その日だけ来てる人が多いと思うんですね。その人たちに一番いいものを観せるには、決まったフォームをやるべきだと思うんです。だからなるだけブレずに、って言っても人間やから絶対変わるんですけど、なるだけ変えずにやる。なので千穐楽やからって、僕はあんまり千穐楽モードで芝居はしたくないんで、普通にやります。

【お客様へのメッセージ】

舞台には出ていましたが、ミュージカルは2年ぶりです。僕以外はみなさん完璧と呼べるような方ばかりなので、僕もその完璧に近づけるように頑張ります。来てくださる方はカルメンはもちろんご存じでしょうし、すごく好きな方も多くいらっしゃると思いますけれど、今回は新たな発見がたくさんあると思います。共演のみなさんが素晴らしいですから、良い舞台になるに決まってます。是非劇場に足をお運びください。

【10年前と今】

デビューから5年目ぐらいまでは、ただただがむしゃらにやってきました。今は感覚が全然違いますね。がむしゃらにやることも大事ですけど、これだけやってきたら当時よりは自分自身を客観視できるようにもなってきたと思うし。それで頭が固くならないのが一番いいですね。

【恋愛について】

どっちかというと、追いかけさせるより追いかけたいタイプだと思います。相手がすごく人気者で高嶺の華の場合? 最初って大事なんですよ。いっぱいライバルがいたとしても、自分に最初からちっとも興味を示さなかったら…追いかけたいとは思うけど、無理と思ったら引く。多分、めんどくさくなる前にブレーキをかけて引きます。これ以上行ったら、いいことはないなと思って。僕はホセみたいな生き方はしないですね。

【危険な匂いのするセクシーな美女は】

あ~、全然好きじゃないです(笑)。僕は、ごく一般的な普通の人がいいです。あんまり恋愛にドラマを求めてないんで。見た目はいいかもしれないけど、生活感がなさすぎる人は、あんまり。実際もそうだったらしんどいです(笑)。こんなカロリー消費量の大きい芝居やって、家に帰った時にもカルメンと同じような人がいたとしたら、疲れるでしょ(笑)。

【チャレンジャー?】

常に挑戦はずっと続けているつもりでいます。何をするにしても常に怖さ、恐怖心はもちろんあるけど。僕、初めてのフィールドに飛び込むのが、昔からすごく苦手なんですよね。だから、稽古初日が一番嫌いなんです。稽古の最初の方とか、ほんとに自分の居場所がわからなくて。僕自身が人見知りやし、どうしよう、みたいな。だから、この仕事では顔合わせが一番苦手。慣れるまで時間がかかるタイプです。慣れたら、こっちのもんなんですけど(笑)、なぜか仕事ではチャレンジャーなところはありますね。多分、根拠のない自信みたいなのがどこかにあるんでしょうね。できるでしょという楽観的な部分と、いままでもそれを乗り越えてきたわけやしって思える過去から来る自信と、どっちもあるから。

【関西に来たら必ずすること、行くところは?】

あんまりないなぁ~(笑)。友達も同じ仕事の子が多くて、ほとんどみんな東京に行ってるので。ライブで関西に来たら、毎回ではないけど家族が観に来てたりするので、帰れる時は西宮の実家に帰って親とご飯に行くこともあります。今回はもちろん観にきますよ。大阪も地元みたいなもんですし、家族や友達とか出演が決まった時からすごく楽しみにしてくれていて、きっとみんな観に来ると思うので頑張ろうと思ってます!(関西ウォーカー・高橋晴代)

カルメンの魅力に翻弄されながら愛を貫き通したホセ役に抜擢された松下優也