全国キャラバンツアー2018ファイナル~ぼっちカノエの武者修行、終わりと始まりのキョウカイセン~
2018.3.31  渋谷WWW

「みんな帰ってきたよー!」。アコースティックギターを抱えたカノエラナがひとりでステージに現れ、『全キャラバンツアー2018ファイナルぼっちカノエの武者修行、終わりと始まりのキョウカイセン~』が幕を開けた。今年2月リリースしたアルバム『「キョウカイセン」』を引っさげて、カノエがギターと身ひとつで全各地の路上やショッピングモールで開催してきた、全フリーライブツアーファイナル。そんな今回のツアー一のライブハウス演として、弾き語り編とバンド編の二部構成で行なわれたこの日のライブでは、2月から全25本の武者修行ツアーを駆け抜け、シンガーとして一段とタフに進化したカノエラナの姿を見せてくれた。

弾き語り編の1曲は、約2ヵ間にわたるツアーの凱旋ライブに相応しい「トーキョー」だった。泥臭く掻き鳴らすアコースティックギターにのせて、会場から湧き起こるハンドクラップ。<帰る場所があるから あたしはきっと頑れる>というサビの“帰る場所”とは、もとはカノエの地元・佐賀していたのだろうが、この日は“東京”をすようにも聴こえる。自由テンポを変えながらフロアを揺さぶった「たのしいバスト数え歌」のあと、「する地縛霊」と「地縛霊をした」の2曲をつないだ“地縛霊ラブソング二部作”で会場をカノエ色に染めると、「ひとりぼっちの第一部、どうなるかわからなかったけど、盛り上がってくれて良かった」と、カノエは嬉しそうに顔をほころばせた。

長かったツアーでは音が出なくなることも、に濡れながら歌ったこともあったという。それを「“みなさん優しかねえ”って、ウルウルしながら回ってますよ」と振り返ったカノエ。弾き語り編の後半のメドレーコーナーでは、「ヒトミシリ」にはじまり、『「キョウカイセン」』で新たに加わったライブアンセムエスカレーターエレベーター」や30ソング「なかなか鼻水が止まらない」などを、まるで面相のように次々に色を変えながらつないでいく。ただ歌を届けるだけではく、お客さんを参加の楽しいライブカノエの魅だが、路上という聴き手の反応がシビアな環境ツアーを続けてきた今のカノエだからこそ、よりお客さんの反応を繊細にキャッチしながら楽しい空気を作り上げていた。弾き語りコーナーの最後を締めくくったのは、「大事な曲を歌います」と紹介した「キミコイしてニジュウネン」。大人になることへの葛現実のなかにある痛み、そこから救い出してくれた音楽への想い。その感情をつぶさに拾い集める切実な歌は、とても胸に迫るものだった。

5分ほどの休憩を挟んで、ツアー各地のオフショットドキュメンタリーのようにスクリーンに流れると、アップテンポな「カノエラナです。」から後半のバンド編がはじまった。木英Gt)、木谷将夕(Ba)、片山タカズミDr)、eji(Key)というお染みのサポートメンバーが繰り出すパワフルロックサウンドん中でカノエの歌が伸びやかにきわたる。「仲間が増えた(笑)」とを弾ませたカノエは、久々バンド編成のステージを心から楽しんでいる様子。そして、中盤はストレートラブバラード「サンビョウカン」や「嘘つき」など、ドラマチックに聴かせる楽曲が続いた。弾き語り編がエンターテイナーなカノエの楽しいショータイムだとしたら、バンド編はカノエラナが豊かな表現で様々な感情を映し出し、シンガーとしての価を発揮するステージだった。なかでもアコーディオンアコースティックギターが温かな音色を奏でた「あーし気になぁれ」は、アンハッピー毎日のなかでも、小さな希望の願わずにはいられない私たちに寄り添う優しい歌だった。

「私がどうしてもバンドで歌いたかった曲です」と紹介したインディーズ時代の楽曲「太陽」のあとは、それまでのしっとりとした雰囲気からは一転して、和テイストロックナンバー「ツキウサギ」、ゲームミュージックデジタルサウンドに合わせたコミカルな振り付けでも盛り上げた「エスカレーターエレベーター」で、ライブは最高のクライマックスに向けて熱量をあげていく。ラストは「祭りのわっしょい歌(か)」。フロアに様々な色のカラフルがぐるぐるとまわり、笑顔と歓喜に包まれてライブは幕を閉じた。

男性が「カノエ!」、女性が「ラーナ!」と叫ぶコールで、再びカノエを呼び込んで突入したアンコールでは、季節を飛び越えて渋谷WWWを炎下のビーチへと変えた「に片想い?」と、歩くような穏やかなテンポにのせて“一歩踏み出す勇気”を歌った「START」を届けてライブは終了。ドラムが抜け、ピアノが抜け、少しずつバンドの音数を減っていくなか、最後には集まったお客さんのだけで作り上げた大合唱はあまりに感動的だった。

この日、3月31日は2年前にカノエが初めてワンマンライブを行なった日だった。そんな大切な日だからこそ、カノエは「この『「キョウカイセン」』から、また私の歩くを示していけたらなあと思います」と新たな決意も口にした。ステージの去り際には、「これから先どんなことがあっても、カノエについて来てほしいです」とも言っていた。かつてはひきこもりで、ぼっちだった女の子が、音楽という決して裏切らない味方を得て、これから先どんな場所に私たちを導いてくれるのか。これからのカノエラナが楽しみでならない。


取材・文=理絵 撮影=スズキメグミ

カノエラナ