脱サラ棋士・瀬川晶司五段の自伝的小説を松田龍平主演で映画化した「泣き虫しょったんの奇跡」のヒット祈願が4月9日、東京・鳩森八幡神社で行われ、松田と共演の野田洋次郎(RADWIMPS)、豊田利晃監督、原作者の瀬川五段が会見を行った。

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映画は、2006年に発表された瀬川五段著の同名小説を原作に、1度は将棋の道を諦めサラリーマンとなったしょったんこと晶司(松田)が、再びプロ棋士を目指すさまを描く。晶司は、プロ棋士の登竜門である新進棋士奨励会を年齢制限で退会することに。絶望と喪失感に襲われるが、将棋への強い思いや仲間の支えでアマチュアとして頭角を現し、前代未聞のプロ再挑戦に向けて動き出す。

撮影は2017年8月中旬~10月初旬に行われており、作品は完成済み。勝負の神様として知られる同神社の将棋堂でのヒット祈願を終えた松田は、「素晴らしい映画になった。将棋の神様にヒット祈願をしたので、ほほ笑んでくれたらいいなと思います」と晴れやかな表情を見せた。

豊田監督は、「青い春」(2002)以来約16年ぶりに松田を主演に迎え、「いつも松田龍平主演でどんな映画が作れるか考えています」「面白かったですね。楽しかった」と大満足の様子。一方の松田は、「(撮影中は)結構きつかった。瀬川さんの半生と繋がる部分を感じたし、自分のなかでどこまで出したらいいのか……。そういう意味では、今回の映画でいろいろさらけ出したというか、自分を隠すことなくやらせていただいたという感じで、すごく大変でした」と本音を吐露。それでも、「そういう映画を豊田さんとまたできて良かったし、素晴らしいタイミングだったんじゃないかと思います」と達成感をにじませた。

また松田は、プライベートでも交流があり、映画初共演となった野田の演技について、「やっぱりすごい。才能があふれ出てる」と絶賛。野田は「いい加減にしろよ(笑)」と照れた表情を見せたが、松田は意に介さない様子で「ミュージシャンとは思えないというか、逆に役者じゃないからこういう空気感が出せるのかなと思った」と称えていた。

撮影には途中参加となった野田は、主演としての松田の立ち振る舞いや現場の雰囲気に「圧倒された」と話し、「人の一生っていろんなフェーズがあって、自分がどうしてもシンクロして響いてしまう部分、苦しいとき、嬉しいとき、そういうところが自分に触れすぎてどうしようと(松田が)言っていたときは『なるほど』と思ったし、そこでもがいている姿を近くで見れたのは嬉しかったです」と当時を振り返った。

豊田監督は、「僕は幼いころから奨励会にいて挫折した人間。挫折するまでは瀬川さんの物語に共感する部分があるが、僕は将棋を憎んじゃった。原作を読んだときに憎しみみたいなものが消えて、そういう生き方もあるんだとすごく感動した。ちょうど監督をはじめて20年目、10本目の映画。自分の人生で大きな意味を持っている将棋という世界の映画を作れたことに、すごく感謝しています」と謝辞を述べ、「夢破れた経験のある人たちに届けたいですね」とニッコリ。瀬川五段は、「(映画化を)最初は信じられなかったのですが、素晴らしい監督・キャストでやっていただいて、夢のような話で嬉しかったです」とはにかんでいた。

「泣き虫しょったんの奇跡」は、今秋全国で公開。

脱サラ棋士の自伝的小説を松田龍平主演で映画化