『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』は、クソバカアクション大作でありながら爽やかな青春映画でもあるという、奇跡的な映画である。ロック様ことドウェイン・ジョンソンは何をやっても面白い状態に突入し、2018年の映画らしい目配せもちゃんとある。もうほんと、大好き……!

今度の舞台はジュマンジの"中"、ゲームをクリアして脱出しろ!
前作『ジュマンジ』は1995年に制作された映画。元々は1982年の絵本が原作で、ジュマンジは不思議なパワーを秘めたすごろく型のボードゲームの名称。ゲームの盤面に書いてあることが現実世界でも引き起こされ、冷酷なハンターや食虫植物や巨大な動物が街に解き放たれてしまうというアドベンチャー・ファンタジーだった。何度かテレビ放映されていたので、現在アラサーの人にとっては懐かしいタイトルなのではないだろうか。おれも大好きな映画だ。ちなみに初代『ジュマンジ』監督のジョー・ジョンストンは『スター・ウォーズ』に第1作から参加したデザイナーであり、『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』の監督でもある。

初代『ジュマンジ』のラストでどこだかわからない海岸に流れ着いた謎のゲーム"ジュマンジ"。『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』では、1996年にこのジュマンジがまたしても拾われたところから始まる。当時は初代プレステが登場した時期。拾われた先でテレビゲームに姿を変えたジュマンジは、プレイした少年をゲーム世界に引きずり込んでしまう。

時は流れて2018年。ヒョロガリのオタク学生スペンサーは、フットボール部のフリッジの宿題を代わりにやらされたことから、2人揃って居残りで学校の地下室を掃除させられるハメに。一緒に居残りを命じられたのは、モテと自撮りにしか興味がないベサニーと、ガリ勉で地味でクソ真面目なマーサ。4人は掃除中にテレビゲーム版ジュマンジを発見、サボってプレイしようとする。案の定、ゲームを起動してプレイするキャラを選んだ瞬間、4人はテレビ画面に吸い込まれる。

彼らがたどり着いたのは、どことも知れないジャングルの中。おまけに全員、体が選んだキャラのものになっている。ヒョロヒョロのスペンサーはムキムキのブレイブストーン博士に。ガタイのよかったフリッジはチビで動物学者のフィンバーに。地味なマーサはセクシーなルビー・ラウンドハウスに。そしてモテモテの美人だったベサニーは髭面のデブオヤジのオベロン教授に……。現れたNPCに「ようこそジュマンジへ! 奪われた宝石を見つけて密林の奥にあるジャガーの像に戻し、『ジュマンジ』と唱えてこの世界を救え!」と説明される4人。ゲームをクリアしないと一生このまま。なんとかしてジュマンジから脱出すべく、4人の悪戦苦闘が始まる!

爽やか青春群像とハチャメチャなロック様が両立している……
「見た目も性格もバラバラな学生たちが居残りを命じられる」という部分でピンときた人もいるかもしれない。というのも、今回の『ジュマンジ』のストーリーは1985年の青春映画『ブレックファスト・クラブ』とほぼ同じなのだ。『ブレックファスト・クラブ』もタイプが異なる5人の学生が居残りを命じられ、自分とは全く環境も性格も違う他人とぶつかり合ったり打ち解けたりすることで自他に対する理解を深める……というお話だった。『ジュマンジ』も同様に、居残りがきっかけで4人の学生が自分の可能性に気づく物語である。

4人はそれぞれの個性とぶつかり合って成長すると同時に、ゲーム内のアバターを通して今まで気づかなかった自分と出会う。地味なガリ勉女子がセクシーで格闘が得意なキャラになることで「自分には意外にガッツがあってやれる時はやれる」ということに気づいたり、自撮りばっかりしていた女子が髭面のおっさんになることで自らの感受性を再発見したりする。

しかし同時に、『ジュマンジ』はアクションコメディである。大量に散りばめられたギャグからは「ヒョロヒョロのオタクがいきなりドウェイン・ジョンソンになったら」「イケてる女子がいきなり髭面のジャック・ブラックになったら」という面白要素を骨までしゃぶり尽くそうという強い意志を感じる。

特にロック様ことドウェイン・ジョンソンは凄まじい。今回ドウェインの中身はゲームオタクなので「童貞のドウェイン・ジョンソン」という二度と見られない概念が爆誕。自分の頭を撫でて「髪の毛がない!」と驚愕するロック様、ビビって「泣いちゃダメだ……泣いちゃダメだ……」と繰り返すロック様、キメ顔になると効果音が鳴るロック様、格ゲーのコマンドを小声で唱えながら人間を殴り倒すロック様、キスをしようとするとキモいことになるロック様……。ここ数年のドウェイン・ジョンソンは「何をやっても面白い」というチート俳優と化しており(そして本人も恐らくそれを自覚している)、『ジュマンジ』ではその中でも飛び抜けて奇怪なドウェインを見られる。

2018ならではの、女子同士が連帯する爽やかさ
もうひとつ、「2018年の映画だな〜!」と思ったのが、女子同士の関係だ。『ジュマンジ』にはべサニーとマーサという性格が全く異なる女子が登場する。片方はスクールカーストの頂点にいるモテカワ系、もう片方は真面目なだけが取り柄のガリ勉というキャラなので、従来の映画なら何回か喧嘩して打ち解ける流れになりそうだ。しかし、『ジュマンジ』では彼女らは1回も喧嘩しない。

べサニーとマーサは学校ではほとんど接点がなかったものの、別に仲が悪いわけではない。というか、喧嘩するほどお互いに対して悪感情がない。なのでジュマンジに放り込まれてすぐ、「あなたはイケてたよ」「あんたも別に悪くないと思う」と互いを認め合い、割とすぐ打ち解けるのだ。スペンサーとフリッジの男子チームは結構後までギクシャクしてたのとは対照的である。おまけにべサニーがマーサに対してモテテクを必死に伝授するシーンまである。ここは『ジュマンジ』でも屈指のギャグシーンだが、女子同士の連帯と共闘を描いた名場面でもある。

「女同士ってドロドロしてんでしょ〜?」という定説に風穴をあけるこの手つきは、まさに2018年の映画。最新の考証が盛り込まれた成果である。作り手たちの「女子とか男子とかアバターが変われば関係ねえ! 自分は自分! お前はお前! ロック様はロック様だ!」というメッセージを、劇場で感じるべきなのだ。
(しげる)

【作品データ】
「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」公式サイト
監督 ジェイク・カスダン
出演 ドウェイン・ジョンソン ジャック・ブラック ケヴィン・ハート カレン・ギラン ほか
4月6日より全国ロードショー

STORY
居残りの最中、"ジュマンジ"という古いテレビゲームを起動した4人の高校生。テレビの中に吸い込まれた4人は、奪われた宝石を元の場所に戻すゲームをクリアしないと現実世界に戻れないことを知る。混乱しつつも、なんとかゲームクリアを目指す彼らの前に、猛獣や盗賊集団が立ちふさがる。