3月下旬、国土交通省2018年1月1日時点の示地価を発表した。東京大阪名古屋三大都市圏以外の地方圏で、商業地が前年プラス0.5と26年ぶりに上昇したこと、訪日客のリゾート関連需要の高まりで、ニセコを抱える北海道倶知安町が商業地のトップ35.6上昇)となったことなどがニュースになった。

 そのなかで見落とせないのが、中核的な4札幌仙台広島福岡)の地価上昇だ。三大都市圏の商業地の上昇率が3.9だったのに対し、4は7.9の大幅上昇となった。再開発や外国人旅行者向けのホテル建設などが活発化していることが要因だ。

 4のなかでも注を浴びているのが福岡市だ。同は、24年までに一等地・天神地区の民間ビル30棟を建て替えるプロジェクト天神ビッグバン」を推進中。この数年、オフィスの再開発や、ホテル建設ラッシュがすごい勢いで進行している。17年以降の計画では、25棟のホテルオープンするという。

 3月下旬には、天神地区の西側にある小学校跡地の再開発事業計画で、積水ハウス西日本鉄道などでつくる企業グループを優先交渉権者に選定した。同グループは、跡地北側にオフィスホテルが入る24階建てビルを、西側に企業向けの住居や公民館、保育施設などが入る18階建てビルを配置する提案をした。また、高級ホテル「ザ・リッツカールトン」が進出する予定で、2212月の開業を見込んでいる。

 活況を呈するホテル業界だが、その一方で、客室清掃スタッフが不足するといった事態まで起きているほど人手不足だ。

人も企業福岡に流れる人気の秘密

 福岡市パワー物語るのは、人の流れだ。3月1日現在の推計人口は1571067人で、前年同1万3965人の増加。1989年の人口は122万人強だったから、約30年間で35万人以上増えたことになる。

 2010年10月から15年10月までの5年間の人口増加数は7万4938人で、20政令指定都市1位。人口増加率は5.12%増で、政令市均の約5倍となっている。15年の総人口に占める10代、20代の若者が占める率は22.05で、これまた政令市トップである。17年の人口移動報告でみても、福岡市は転入過8678人と全自治体で4位となっている。人が確実に流れてきているのだ。

 経済活動も活発だ。福岡市というと、かつては札幌と並び「支店経済都市」のイメージが強かった。しかし、14年に国家戦略特区に選定されたこともあり、流れが変わってきている。

 特区に選ばれてから福岡市は、創業支援拠点の「スタートアップカフェ」を開設、スタートアップを対にした法人減税制度や創業関連保の拡充といった創業支援事業を行うなどの取り組みを行っている。15年度の開業率は7.04となり、政令市東京23区21都市トップとなっている。もっとも、業率も5.07とかなり高めである点も見過ごせない。

 また、起業者に25歳から34歳の若者が多いことも特徴。こちらは12年と少々古いデータだが、福岡市の起業者総数に占める若者の割合は12.3で、21都市中のトップである。

 企業誘致件数も高準だ。12年度は35社だったのが、翌年度以降は53社、52社、62社、58社と4年連続で50社を突破。5年間で1万1638人の雇用を創出した。福岡市内に新たな拠点を進出する事業者に向けた「土地交付制度」などが後押ししているようだ。

アジアゲートウェイとしてのFUKUOKA

 最近は、首都圏から本社機や拠点を福岡市や周辺に移す企業が増えている。帝国データバンクの特別レポートによると、17年の移転企業は18社で前年の4社から大幅に増えた。

 税優遇措置などの影もあるだろうが、成長が続く経済、増え続ける人口、若者人口の多さ、手ごろなビジネスコスト、震災リスクの低さなども要因として摘されている。

 さらにもうひとつ、忘れてはならない大きな魅が、「アジアゲートウェイ」(アジアとの交流で日本の役割、地位を高める)としての存在感である。ソウル上海台北など東アジアの諸都市と近い福岡は、アジアとの交流が昔から盛んな土地だ。17年の博多港、福岡空港における貿易額は、輸出2兆9782億円、輸入1兆4767億円で2年ぶりのプラスな相手は輸出が中国23.3韓国22.9香港10.5、輸入は中国29.9台湾17.0韓国7.8と、アジア5割す。

 外国人観光客も増え続けている。16年の博多港・福岡空港外国人者数は約2575000人。前年で約497000人の大幅増となった。入者の内訳をみるとアジアからが大半で、特に韓国人博多港で上陸した人の9割福岡空港でも同5割に達した。17年の博多港のクルーズ船寄港回数は326回で、3年連続全1位

 17年の福岡空港の乗降客数は2380万人(うち際線617万人)で過去最高。東京国際空港羽田空港)、成田国際空港関西国際空港に次ぐ第4位である。際線は18路線、週720便で、アジアを中心に8カ・地域19都市を結ぶ(2月現在)。福岡市での会議開催件数も増加の一途で、16年は383回と過去最高だった。こちらは全都市別で8年連続の2位である。

 このように、アジアの玄関口としての存在感をいかんなく発揮していることがわかる。19年のラグビーワールドカップでは本大会予選プールの開催地にもなっているだけに、しばらくは福岡ブームが続くことになりそうだ。
(文=山田稔ジャーナリスト

開業率はナンバー1(「福岡市 HP」より)