『寺門ジモンの取材拒否の店』(フジテレビ系)といえば、ジモンを悪意たっぷりにいじる遠藤達也ディレクターとの掛け合いが見どころの一つとなっている。「KAMINOGE」(東邦出版)vol.75でインタビューを受けた遠藤ディレクターは、ジモンのことを「おかしいよ、あの人(笑)。でも、ボクらにとってはごちそうだよね」と断言。寺門ジモンを面白がるスタンスは、演出半分、本音半分といったところだろうか。

“芸能界のグルメ”として弟子筋にあたるアンジャッシュ・渡部建も、ジモンを敬愛はしつつ「たまに面倒くさい」「お笑いのことでは一度も尊敬したことはありません」ときっぱり。

 多くの者は、奇人変人を見るようなまなざしでジモンと接触する。当然だ。「山の中では俺が世界で一番強い」断言し、厨房の奥に届くくらいの大声で「うまい!」と言わない者を叱る男が、奇人変人でないわけがないのだから。

 

■椎名林檎より寺門ジモンと誕生日が一緒なことに喜ぶ太田

 

 渡部以外にも、ジモンには弟子がいる。フェンシングの日本協会会長で北京、ロンドン五輪銀メダリストの太田雄貴だ。

 太田のグルメっぷりも半端じゃない。年間200件もの新規店舗に足を運び、予約日前に何度かお店へ訪れて食材の確認をするなど、食へのモチベーションは偏執狂の域。渡部ですら「日本で一番うまいモノ食っているかもしれない」と評価するマニアなのだ。

 4月7日に放送された『SUZUKI presents 極上空間 小さなクルマ、大きな未来。』(BS朝日)にて、寺門ジモンと太田雄貴という座組が実現した。

 太田がジモンに接する態度は、他の者とは明らかに異なる。恐縮しっぱなし、頭下げっぱなし。茶化しの要素はまったくなく、純度100%でリスペクトを表明する。

 まず、2人は誕生日が同じだ。

「11月25日生まれの人の性格が書かれた本があって。著名人一覧を見たら、まず椎名林檎さんがいて、その下の方に寺門ジモンって書いてあったんですよ。『ジモンさんだ、すげーっ!』って、一番興奮して。これはご縁だと、仲良くなれるんじゃないかと思って」(太田)

 太田にとっては、椎名林檎よりも寺門ジモン。食通からすれば、ジモンは何より勝る大家なのだ。

 

■大人気なくマウンティングするジモン

 

 この日、2人は各々が愛する麺料理の名店を紹介し合う対決を行った。まずは、太田がオススメの蕎麦店へ車を走らせる。しかし「蕎麦に一際のこだわりがある」と、ジモンは脅しをかけに行く。

ジモン 子どもの頃にお蕎麦が好きで、お蕎麦屋さんで修行したこともある。お蕎麦は、俺の食感を目覚めさせてくれた食べ物の一つなんだよね。

太田 うわぁ~、不安! やめましょうか? ハンバーグ行きましょう(笑)。

ジモン ハンバーグもいいよ!

太田 ハンバーグ一番ダメだ。何を言ってるんだ、僕は!

 ジモンは芸能界屈指の肉通でもある。行くも地獄、戻るも地獄。覚悟を決めて、太田はオススメの蕎麦店へジモンを連れて行った。

 お店に入ると、なぜか蕎麦ではなく玉子焼きを注文するジモン。こういうところが、いちいちだ。

ジモン ……あっ、おいしいです! まったくいらんことをしてない。玉子自体の美味しさ。

太田 良かった~!

 太田オススメの蕎麦店は、ジモンの御眼鏡にも適ったよう。もちろん、お蕎麦も食す2人。蕎麦に対しても、ジモンは満足げであった。

太田 どうでした、お蕎麦?

ジモン 良かった! さすが、我が弟子。

太田 師匠、ありがとうございます! いやぁ~、師匠に誉められるとうれしいですよ、僕も本当に。

■太田の婚姻届の証人になっていた寺門ジモン

 

 太田がジモンに頭が上がらない理由は、もう一つある。昨年12月にTBS・笹川友里アナウンサーとの結婚を発表した太田だが、この2人を結びつけたのはジモンらしいのだ。

太田 今の妻ともともと友だちで、僕は一方的に好意があったんですけど、相手にされてなくて。そしたら、ジモンさんが出演したイベントに、レポーターとして彼女が行って。

ジモン 「太田君、知ってる? 俺、知ってるんだけど」って話になって。共通の友だちとして、太田君の名前が上がったんだよ。

太田 それで「雄貴君、今日ジモンさんにお会いしました。よろしくお伝えください」って連絡が入って。

ジモン 初めて相手側から電話があったのが、寺門ジモンきっかけだったんだよね。

 なんと、2人の婚姻届の証人もジモンが務めているという。ジモン自身は、独身なのに……。

 

■ジモンを全く茶化さない純粋な弟子・太田

 

 この日の対決でジモンはお好み焼き屋へ太田を連れ出し、同店の絶品焼きそばを紹介している。師匠自慢の一品を食し、「うわお! おぉ~、これはうまい!」と身悶えする弟子・太田。師匠の面目躍如といったところだろうか。

 エンディングで「ジモンさんと、いつかテレビ出てみたいと思っていたので、ムチャクチャうれしいです!」と、太田は素直に師匠への敬意を表していた。五輪2大会連続銀メダリストがリアクション芸人に見せる平身低頭な態度には、いささか面食らってしまう。ちょっと過剰にも思えるリスペクトっぷりだが、体育会系だからと思えば合点もいくだろうか。

 料理を媒介に、ジモンへのいじりを前面に押し出す『寺門ジモンの取材拒否の店』。ジモンの本分は、やはりあちらにあると思うが、純粋にリスペクトされるだけのジモンの姿も新鮮である。それも、芸能界の垢にまみれていない弟子・太田雄貴あってこそ形になったものなのだが。

 今回のような立ち位置のジモンも、意外にアリか。リアクション芸人×五輪メダリストの掛け合いで起こったケミストリーだ。
(文=寺西ジャジューカ)

YouTUbe「BSAsahi」チャンネルより