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2018年3月10日に開催されたJAWS DAYS 2018の最終セッションは、18人ものコミュニティ運営者が一同に会して、ひたすらコミュニティ紹介とエモい話を続けるというJAWS DAYS 2018の「コミュトーーク!」だ。ひな壇からのツッコミと参加者の笑いで話がよく聞こえない。でも、中身は暑苦しいほどのコミュニティ愛が満載だった。

まずは「コミュニティで人生変わった」トーーク

 テクニカルなセッションが続いたJAWS DAYS 2018だが、夕方くらいになると、あちこちで酒盛りが始まり、会場にアルコール臭が漂うようになる。そんな中、モデレーターのめがねさん(大串肇さん)の第一声から「コミュトーク!」がいよいよスタート。テレビ番組よろしく、ひな壇に17コミュニティの18人の運営メンバーがずらりと並び、会場は嬌声と包まれる。

 会場に向けて、めがねさんが「初めてコミュニティイベントに来られた方、おられます?」と問いかけると、ちらほら手が上がる。続いて、「2回目以降の方は?」と聞くと、「いええええええーい!」の声と大きな拍手が。初めての人は、あきらかに場の雰囲気に気圧されていて、心配になる。

 さて50分のセッションだが、18人が一人ずつ話すと2分半しか話せないという強行スケジュール。自己紹介が終了し、ひな壇からのワイガヤがうるさい中、「コミュニティで人生変わった」というお題で登壇したのはJAWS-UG青森のわれらが立花さんだ。

 一人インフラエンジニアだった立花さんがJAWS DAYSに初めて参加したのは今から5年前。「こんなにインフラエンジニアがマジメに、楽しく学べる場所があるんだと思って感動し、JAWS-UGにコミットし始めた」と振り返る。その後、地元青森にJAWS-UGを立ち上げ、いつの間にかJAWS-UGの全国代表になり、去年は同じく東北の赤塚誠二さんといっしょに韓国へ行き、北京のAWS Summitにも招待された(ここで拍手!)。「JAWS-UGがあるから生きてこられた。みなさんも今日をきっかけにコミュニティに関わってください!」と熱く語る。

 次のSIerが主催するIoTLTのSIerIoTLTに所属するチャラ電Mitzさんはツイートすると光るデバイスとともに登場。2年前はWebすら見ることなく、COBOLしかわからなかったというMITZさんだが、「COBOLしかできない人間でも、初めて参加したコミュニティが楽しかった」とのことで、今は運営側に回っている。「1度コミュニティに参加しただけで、ここまで人生変えられる」と語り、得意の自撮りを会場でキメた。

「サービスが好きすぎて」「私巻き込まれました」なトーーク

 次は「あまりにもサービスが好きすぎて」がお題。札幌在住の中山さんはリモートワークで使っていたChatworkが好きすぎて、テキストコミュニティケーションのノウハウを共有するChatWork Caféを立ち上げた。「こんなに長くやっているサービスなのにコミュニティがなかったので作った。『中の人にやりますー』という言って始めた」(中山さん)ということで、ベンダーに立ち上げを宣言するという点ではkintone Caféと似たようなパターンだという。

 続いて決済サービスstripeのユーザーコミュニティを主催している岩崎さん。使おうと持っていた決済サービスがリリース当日にサービス終了してしまい、Stripeに行き着いた岩崎さんは、Stripeに惚れ込んで、イベントに参加。書いたブログが小島英揮さんの目にとまって、LTに登壇し、そのまま運営側へという絵に描いたようなファーストピンだった。

 Stripeと同じ巻き込まれ案件について語ったのが、SORACOM UG Tokyoの山下さん。社内のエンジニア相手に話していたら、物足りなくなってSORACOM UGに来たが、自身でLTをやるまでの度胸はなかったという。しかし、当時SORACOM UGを主催していたMAX松下さんにLT枠を確保され、ブログ枠を確保され、ついには運営側に引き込まれた。「去年のこの会場で松下さんがソラコムの中の人になってしまったので、あとは山下さんよろしくということで、SORACOM UGを任された(笑)。みなさんもぜひ巻き込まれて欲しい」(山下さん)。岩崎さんに負けないナイスな巻き込まれと言えよう。

 「元小説家だった」という衝撃の自己紹介からスタートしたWordBenchの高橋さん。小説家として干された結果、自分で小説を発信しようということで、WordPressをいじり始めた。「各支部のWordBenchに出入りしたら、獅子舞にかまれたヤツが次の委員長みたいな感じでWordCampの実行委員長になった(笑)」(高橋さん)とのことで、WordBenchでもコミュニティへの巻き込みが根付いている。スポンサーを集める際にも世話役みたいな人がいるので、安心して獅子舞にかまれて欲しいとアピールした。

「巻き込む人」たちがコミュニティに巻き込む理由を語る

 続いて巻き込む側として登壇したのは、いつものkintone Cafeの金春さんといつものCMC_Meetupの小島さん。巻き込む側ならではのダークサイドな気配をまとった二人は、ビジネス面でのコミュニティの効能を語る。

 コミュニティ経由での採用で実績を積んでいる金春さんは「コミュニティに関わった人で食いっぱぐれた人はいない」と第一声。続いて小島さんも、「コミュニティで人に信頼されているのは、ビジネスに換算しやすい。ブログで辞めますとフリーエージェント宣言するだけでオファーがいっぱい来るのであれば、今のうちにコミュニティにコミットした方が経済合理性が高い」と横文字多めな小島節を披露。

 そんな金春さんも最初にコミュニティに来たときは「キモっ!」という感想だったが、行けば行くほど引き込まれていったという。数年前、Facebookで20人だった友達が、すでに1000人近くになっている金春さんは「大人になって友達ができる経験はコミュニティの魅力」と語る。そして、小島さんが「今は企業よりコミュニティの方が力を持っている。コミュニティビルドできる人は、企業といいリレーションが作れる。今や企業はみなさんのことを放っておかない」とアピールする。

 また、「地方とコミュニティ」というテーマでは地元コミュニティを盛り上げる立場として高知県庁の武市さんが登壇し、「参加者の少ない地方のコミュニティは、メンバーが固定され、内輪感が出てしまう」と指摘。自治体職員と仲良くなり、巻き込まれたい大学生を巻き込むことでメンバーを増やせると説明した。

 長野でSORACOM UGを運営している沖さんは、自分の仕事とは関係ないところでコミュニティをよりどころにしているという。「勉強会は複数あるけど、つながりが疎遠なので、SORACOMでコミュニティもつないでいきたい」と語る。

共通の仲間ができるのはうれしい

 「共通の仲間ができるのはうれしい」というテーマで語ったのは、Salesforce.comのユーザーコミュニティであるTokyo SFDCの米井さん。こちらも大阪でUmekita Forceを主催する山田さんに巻き込まれたクチだ。「6年前、Salesforceを使っているエンジニアは少なかったし、一人で戦うのはつらかった。中の人に誘われて、コミュニティを立ち上げたが、仲間も増えて楽しくなった」ということで、気がついたら6年の年月が経っていたという。

 セキュリティコミュニティのOWASP Japanの田端さんは、能動的にセキュリティ分野に飛び込み、「脆弱性が出ると、みんなサイヤ人のようなすごい能力を発揮する(笑)」というパワフルなメンバーに囲まれるようになった。今回のJAWS DAYSでも登壇機会が用意されたが、「開発段階からフレームワークを使ってセキュリティを守っていった方が楽であることを啓蒙していきたい」(田端さん)とのことだ。

 エバンジェリストやアドボケイト同士のコミュニティとして、開発者同士のつながりを重視するDevRel Meetupを主催する中津川さん。参加者に対して「みなさん、会社で浮いている人だと思うんですよ」と第一声を上げると、会場から大きな笑いが起こる。新しいことに頭が行きすぎ、ある意味浮いている人たちが集まって、いい話をするのがDevRel Meetupだという。

 続いての登壇はTwilioJP UGの高橋さんとMasterCloudの堀岡さんのかけあい。高橋さんはAPI型音声サービスとして長らく親しまれてきたTwilioは長らくコミュニティ活動をしてきたが、運営メンバーが欠けてしまったことで、活動も停滞していたと説明。4月から新たにコミュニティを立ち上げ直すと宣言した。一方、MasterCloudの堀岡さんはマシンガントークの高橋さんの息継ぎの間を狙って、「コミュニティ楽しいです!」「MasterCloudよろしくお願いします!」と寸釘コメントを挿入。どう考えても、大きなインパクトを参加者に与えた「MasterCloud得」だった。

コミュニティを続ける秘訣はがんばらないこと?

 ここまで来てめがねさんは、こうしたITコミュニティ勃興の背景にはAWSマフィア勢が存在すると指摘する。JAWS-UGを仕掛けたCMC_Meetupの小島さんや、元JAWS-UGの全国代表である金春さんを引き合いに出すまでもなく、Umekita Forceの山田さん、ヤマムギの山下さんなど、JAWS-UG関係者は確かに多い。

 子どものためのプログラミング道場であるCoderDojo久留米を手がけるJAWS-UG佐賀の杉山さんもそんな一人。「九州にCoderDojoが1つもなく、空白地帯なので作っただけ(笑)。でも1年半で5つくらいできた。イエーイ!」(杉山さん)。高知県庁の武市さんも元SEで、JAWS-UG高知に所属していた。「クラウド立ち上がりのときにJAWS-UGの活動を知って、共感して、今この場に立っています」(武市さん)。全国津々浦々にまでコミュニティがあるJAWS-UGの影響はやはり大きいと言える。

 DevRel Meetupの中津川さんは、「この熱量がすさまじいです。うらやましい」とコメント。ヤマムギの山下さんは、「AWSはプロダクトあっての集まりなので、テーマははっきりしている。AWSむちゃくちゃ嫌いな人はさすがに来ないと思う」と語る。それな。

 コミュニティLOVE度が高いひな壇を見ながら、めがねさんにコメントを振られたゲストのサーバーワークス生井さんは、「とにかく熱量がすごくて、楽しいということがわかりました。なんか、すごい疲れますね(笑)。みなさんも疲れませんか?」と素朴な疑問。これに対して、CoderDojoの杉山さんは「1ヶ月に1回のイベントは確かに疲れるので、がんばるのをやめました。コミュニティに使う時間を決め、資料はコピー。講師はほかから連れてくるし、わからなかったら動画を見ます。がんばってますが、がんばってないです」といい話。

 最後、コミュニティへの参加を促すメガネさんの横から、高橋さんは「WordBenchで結婚したカップル、いっぱいいます」とコメントすると、もちろんJAWS-UGでも「あります!」との返事。どちらかに参加しようという話で、抱腹絶倒のセッションは無事に締まった(締まったのか?)。とにかくコミュニティに入るといいことあるらしいぞ。

コミュニティ愛をひたすら語るJAWS DAYSの「コミュトーーク!」ってどうよ