SUBARU(スバル)の主力スポーツタイプ多目的車(SUV)の新型「フォレスター」が3月末、米国で初公開された。SUVの需要が伸びる米国市場に2018年秋に投入し、ファミリーユーザーを取り込む。日本での発売に向けても、期待が高まっている。

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 SUV競争が激化する米国市場で、どのように価値を高めていくのか。開発コンセプトやデザインについて、開発責任者の商品企画本部プロジェクトゼネラルマネージャー、布目智之氏と、デザイン部の大関透氏に聞いた。

●子育て世代に照準、後席も快適に

――フォレスターは米国でどのように使われているのですか。

布目氏: 米国では50代以上の方が使われることが多いです。一方、もっと下の世代にも使ってもらえると考えています。今回の新型車では、子育て世代の方々が快適に使えるようなものを提供できるように意識しました。

――新型フォレスターについて、従来と大きく変えた部分はどこでしょうか。

布目氏: 安全性など、従来の良さを引き継ぎながら、乗る人全員の快適性をより重視しました。前席だけでなく、後席でも広く快適に乗ってもらうため、前後の座席間のスペースを広くしています。これまでよりもゆったりとした姿勢で座れるようにしました。また、後席用の空調やUSBポートなど、後席に座ったときに快適に使える装備も備えています。

――それでは、車両全体としては大きくなっているのですか。

布目氏: 前後のタイヤ間の長さは約30ミリ広がっているのですが、車両全体の長さは、約15ミリしか増えていません。居室空間は確保しながら、エンジンなど部品のスペースやバンパーなどの部分で寸法を詰め、全長が大きくなるのを抑えています。室内は広くして、全体はできるだけ小さくする、ということに取り組みました。

 小さなことの積み重ねによって、内寸が大きくて外寸が小さいクルマができたと思います。

――後席の快適性を高めたのは、ファミリーユーザーを意識しているからですか。

布目氏: 子どもが1人でもいれば、後席を使います。その子が成長する過程で、ずっと快適に乗っていられることが、このクルマには求められているのです。そのような意見が調査によって出てきたので、それを具体化することを大事にしました。

●使いやすく、力強く

――デザイン面でも、これまでより若い世代を意識しているのですか。

大関氏: より活動的なイメージにすることに注力してやってきました。ただし、室内の広さを最大限にして、かつ、取り回しのしやすいクルマでないといけないので、工夫が必要でした。室内空間は箱のようなフォルムですが、外観は、活動的でどこへでも行けそうな力強さを表現しています。

 それを実現するために、「モダンキュービックフォルム」という考え方でデザインしました。車体を後ろから見ると、全体的に一体感がある形になっていますが、フェンダー(タイヤを覆う泥よけの部分)だけがギュッと外に出たような印象になっています。そうすることで、空間の大きさを表現しながら、足が踏ん張った、力強い形に見えるようにしています。

 また、ウインドウグラフィックも動きが出るようにしました。クルマをアクティブに見せようと思うと、サイドウインドウの下端線の傾きを後ろに跳ね上げると動きが出ます。しかし、そうすると視界が悪くなってしまいます。なので、窓の下のボディーの部分を少し削がれたようなデザインにして、その線がクルマの後方でギュッと跳ね上がるようにしました。そうすることで、視界が良く、動きも感じられるようなデザインにしています。

――使い勝手の面では、荷室の開口部の幅も大きくしたそうですね。

大関氏: 荷物を載せたり降ろしたりするときの煩わしさを少しでも軽減するために、開口幅は極限まで広げています。

布目氏: 出し入れする部分を大きくするということは、本来なら全体が大きくなってしまいます。ですが、全体を大きくしないで、内部だけを大きくするというのがポイントなんです。このクルマのどの部分の寸法も、全体の大きさをできる限り変えずに、使い勝手が最大になる広さを確保できるようにチャレンジしています。

●SUV競争激化、フォレスターの個性とは

――日本と米国で、求められるデザインに違いはあるのでしょうか。

大関氏: 米国でも日本でも、グローバルを通じて求められているものは変わらないと思います。フォレスターのユーザーのライフスタイルを考えると、アクティブな趣味の場でたくましく見えること、アウトドア活動のときにしっかりと頼れるような骨格、見え方をしていることが求められます。

――米国でSUV人気が続いていますが、ニーズに変化はあるのですか。

大関氏: 幅が広がっていると思います。以前は、悪路を走破するようなSUVが起点になっていたと思うのですが、今は街で乗るようなSUVも増えてきています。クーペのようなものも出てきました。種類が増えてきた、というのが今の動きだと思います。

 そういった流れがある中で、実際にフォレスターに乗るお客さまは、家族で移動したり、後ろに荷物をたくさん積んでアウトドア活動をしたりする方が多くなっています。そのようなライフスタイルに合わせてクルマを作ると、ちゃんと容積がありながら、アウトドアでも頼れそうな、力強いデザインになります。SUVが増えている中で、それがフォレスターの個性になるのではないか、と考えています。

3月末に初公開された新型「フォレスター」