モーテルでその日暮らしを送る母娘の姿を描いた映画「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」のジャパンプレミアイベントが4月9日、東京・新宿バルト9で行われ、来日中のショーン・ベイカー監督が観客とのQ&Aに臨んだ。

全編iPhoneで撮影した映画「タンジェリン」で話題を集めたベイカー監督が全編35ミリフィルムで撮影した最新作で、第90回米アカデミー賞では助演男優賞にノミネートされた今作。シングルマザーのヘイリー(ブリア・ビネイト)と6歳の娘ムーニー(ブルックリン・キンバリー・プリンス)は、フロリダ・ディズニーワールドのすぐ側にあるモーテル「マジック・キャッスル」で暮らしている。管理人ボビー(ウィレム・デフォー)は、ムーニーや子どもたちを厳しくもあたたかく見守っていたが、ある出来事をきっかけに日常が大きく変わりはじめる。

「日本での公開は2本目。大変嬉しいです」と笑顔で挨拶したベイカー監督。今作誕生のきっかけを「共同脚本家が、新聞記事を送ってくれたのがきっかけでした」といい、「書かれていたのは、子どもにとっては世界で最も幸せであるディズニーワールド、その真横の安モーテルで、家族や子どもたちがホームレス同然に暮らししている。その対比が鮮烈でした」と明かした。

そして、「この現象はアメリカ各地でも見られ、"隠れホームレス"と呼ばれています」。アメリカでは住宅価格高騰の煽りを受け「安モーテルや友だちの家、キャンピングカーで寝泊まりしている方が非常に増えています。私たちの目にあまり触れられず、私たちの考えが及ばないから"隠れ"なんです。彼らは、屋根の下で寝るためには何でもする。そういう状況に陥っています」と述べ、「リサーチを始めたとき、僕は企業に責任があると思っていました。しかし実際に調べると、ディズニー社は中央フロリダのホームレスをなくすための基金に、50万ドルの寄付を行っています。問題に対して、できることをしようとしているんです。だから私としては、最終的には国が動かなければいけないと思っています」と見解を示した。

また、ある観客は子役の熱演を称賛。子役の演出に長けた是枝裕和監督を引き合いに「是枝監督の『誰も知らない』はご存知でしょうか」と問うと、「もちろん知っています。この作品を撮影する前にも、改めて見直しました」。続けて「子役の芝居について、撮影方法に工夫はありますか?」という質問には、「この年齢層の子どもたちとは初めての仕事だったので、アクティングコーチに入ってもらっています。『基礎をつくらないとアドリブは無理だよ』と言われたため、是枝監督(のセリフや演出を口伝えする手法)とは違い、しっかりと脚本を与え、セリフは頭に入れてもらいました。(アドリブは)ブルックリンが非常に上手でした」「とにかく楽しんでもらえるような現場を心がけていて、ワークショップも行いましたが、子どもたちが"仕事"と感じないように、ゲーム仕立てで参加してもらっていました」と回答していた。

「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」は、5月12日から新宿バルト9ほか全国で公開。

ショーン・ベイカー監督