ポステコグルー監督の「ハイライン&偽SB戦術」に見事にマッチ

 J1横浜F・マリノスは今季、アンジェ・ポステコグルー監督を迎えて「アタッキングフットボール」を掲げている。ハイラインを志向するスタイルは、時にGKがペナルティーエリア内から出てパス回しに加わるのが特長だが、もう一つのカラーは攻撃時に両サイドバック(SB)が中央に入り込む可変システムだ。左SBの重要な役割を担い、リーグ戦全試合フル出場を続けるDF山中亮輔は、「攻撃で僕が違いを出さないといけない」とさらなる飛躍を誓った。

 横浜FMは6節終了時点で2勝2分2敗の13位。開幕3戦未勝利から一転、第4節の浦和レッズ戦(1-0)以降は2勝1分と少しずつギアを上げ始めている。

ひと際目を引き、注目を集めたのがポステコグルー監督の戦術だ。攻撃時にディフェンスラインを高く保ち、選手同士の距離感を近くしてショートパスをつなぎ、両SBは中央に絞って積極的にボールをさばく。プレミアリーグの強豪マンチェスター・シティを率いるジョゼップ・グアルディオラ監督も採用する攻撃的なサッカーと山中は見事にマッチしている。シティの試合は率先して観戦し、左SBの動きを見ているという。

「新しいチャレンジは刺激になります。最初は(ついていくのに)必死でしたけど、攻撃の部分で通用するのは分かっていたし、そこは自信を持ってやっている。レイソル時代とそこまで変わっていませんよ」

 柏レイソル下部組織出身の山中は、パス主体のポゼッションサッカーに免疫がある。切れ味鋭いドリブルと精度・破壊力ともに抜群の左足が武器だが、柏時代には左SBだけでなく、試合途中にはサイドハーフやウイングでもプレーしており、“変わっていない”という言葉は中盤の役割も十分こなせるという思いの裏返しだろう。

「まだまだ成長段階。もっとできると思う」

 実際、“偽SB”としての成果も出ている。「中央」に入っていくことで、2月25日の第1節セレッソ大阪戦(1-1)のミドルシュート弾は生まれた。第5節の清水エスパルス戦(1-0)でも、前半11分にMF扇原貴宏がロングフィードに抜け出して絶妙なトラップからクロスを上げてFWウーゴ・ヴィエイラの先制弾を演出したが、これも高いポジション取りが奏功した結果だった。

 それでも、「まだ監督が求めていることは全然できていない」と自己評価は厳しい。

「僕は結構自由にやらせてもらっているので。ゴールやアシストと少しずつ結果が出てきていますけど、まだまだ成長段階。もっとやらないといけないし、できると思います。攻撃の部分で僕が違いをどんどん出していきたいですね」

 2015年には東アジアカップの予備登録メンバーとしてA代表のリストにも名を連ねた山中。リオ五輪世代屈指のポテンシャルを秘める男が、ポステコグルー監督の下で“完全開花”の時を迎えようとしている。(小田智史(Football ZONE web編集部) / Tomofumi Oda)

横浜FM山中亮輔【写真:Getty Images】