東京都江戸東京博物館(東京都墨田区、以下:江戸東京博物館)は、この度、半年間の全館休館を経て、4月1日(日)に、再オープンいたしました。4月1日から7日まで、再オープンを心待ちにしていただいていた国内外からのお客様約22.000人にご来館いただきました。

4月1日(日)・7日(土)には、再オープン記念WEEK「EDO→TOKYO VISION 江戸東京の歴史・文化とつながる一週間」と銘打ち、トークセッションやライブパフォーマンスなどの催物を開催し、再オープンを盛り上げました。
江戸東京博物館では、今回の再オープンを機に、歴史ファンの方々に加え、これまで江戸東京博物館を訪れたことがない方や、東京観光に訪れた外国人の方にも、江戸東京の歴史・文化、そしてそれらの上に成り立つ現在、さらにはこれからの東京にも興味関心を持っていただけるよう、東京の文化創造の拠点として、今後も様々な取組を進めていきます。

再オープン記念WEEK「EDO→TOKYO VISION 江戸東京の歴史・文化とつながる一週間」イベント事後レポート 4月1日(日)実施テーマ:「受け継ぐ美意識」
実施時間:14:00~15:30 ライブパフォーマンス・トークセッション
【ライブパフォーマンス出演】しりあがり寿(漫画家)・鶴澤 寛也(女流義太夫三味線)
【トークセッション出演】橋本 麻里(ライター・エディター)※コーディネーター
しりあがり寿(漫画家)・鶴澤 寛也(女流義太夫三味線)・天明屋 尚(現代美術家)・岡塚 章子(東京都江戸東京博物館 学芸員)

鶴澤 寛也さんの軽快な義太夫三味線の演奏に合わせてしりあがり寿さんが中村座から登場。約30メートルにも及ぶ和紙に墨で、ライブドローイングを披露しました。細長い巻紙を隅田川に見立て、「女義太夫」「ペリー」「弥次喜多」など江戸の150年間の歴史を感じさせるモチーフを描いていきました。義太夫三味線の叩きつけるような力強い音が鳴り響く中、しりあがり寿さんの流れるような筆運びに会場からは熱い視線が集まりました。最後は墨田区を象徴するスカイツリーと花火を大胆に描き上げ、完成した作品を館内の「日本橋」から吊るして展示しました。完成後、しりあがり寿さんは「誰かと一緒に(ライブドローイング)をやったのは、初めての経験でした」、鶴澤 寛也さんは、「ドローイングのモチーフに合わせ、演奏の調子を変えるなど、次の展開を考えながらの演奏でした」と感想を述べ、拍手が起こりました。

ライブパフォーマンスの後は、橋本 麻里さんをコーディネーターに迎え、天明屋 尚さん、岡塚 章子(当館学芸員)を加えて、「受け継ぐ美意識」をテーマに5人のトークセッションを行いました。各出演者が、自身の作品・活動紹介を行い、学芸員の岡塚は錦絵の「江戸名所百人美女」と明治24年に浅草の凌雲閣(明治23年に建てられた12階建ての高層タワー)で行われた東京の芸妓の「百美人」展を例に挙げ、江戸から変わらない、人々の「美」への関心を紹介し、文化はなぞられ、伝承されることを語りました。「百美人」展にあわせて行われた芸妓の人気投票では、当時の旦那衆がAKB48の総選挙のように、ひいきの芸妓の順位をあげようとするなど、時代を越えて変わらない人間模様も。

近代芸術のテーマとして「自己表現」の誕生が挙がり、「自己表現」についての考えがそれぞれの立場から語られました。しりあがり寿さんは、「自己表現をしようとすれば、自分を何かに固定しなければいけなくなる。積極的に自分を表現しようとすることは、(自分としては)まずいのではないかと思う。消しても消しても見えちゃうのが自分なんだな」とコメント、鶴澤 寛也さんは「伝統芸能においての一番大事なことは、自分を表現することではなく、これまで途切れることなくつながってきたものを、これからもつないでいくこと。250年以上一回も途切れてない。自分はたとえ小さな輪だとしても、芸をつないでいきたい」とコメントしました。
また、続けてトークテーマに挙がった「後世に残るもの・残らないもの」について、しりあがり寿さんは、「形がかわっても残っている・つながっているのは嬉しいこと。なくなったら終わり、は何事においても悲しいことなので、できるだけ続けていきたいとは思うが、淘汰されるのは仕方ないとは思う」、鶴澤 寛也さんは、「(やりたい演奏ができる環境のために)まずは義太夫節があることを知っていただき、“できる環境”を作っていくことが大事」とコメントしました。岡塚は、学芸員としての立場から、「江戸博は伝統を受け継ぐ・伝えるのが大事な役割。様々なことがめまぐるしく移り変わる現代においては、今、目の前にあるものをとっておく・残しておくことは、より大事なことであると感じる」とコメントしました。天明屋さんは、現代美術家としての立場から、「(現代において)アーティストはその数が多すぎると思う。バランスがちょうどいい“ありがたみ”のある文化であることが大事だと思う」、と各々の考えを述べ、それぞれの立場・視点からの意見が活発に交わされた、実りあるトークセッションとなりました。

■4月7日の模様
4月7日(土)実施テーマ:「サステナブルな暮らし」
実施時間1.:14:00~15:45 落語・クロストーク
実施時間2.:18:00~19:00 スペシャルライブ
実施会場:東京都江戸東京博物館 5F 中村座前特設会場
【落語出演】古今亭菊千代(一般社団法人落語協会 真打)
【クロストーク出演】 辻 信一(文化人類学者、環境運動家)※コーディネーター / アズビー・ブラウン(デザイナー・作家)/ 古今亭菊千代(一般社団法人落語協会 真打)/ 末吉 里花(一般社団法人エシカル協会代表理事)/ ソーヤー海(共生革命家・東京アーハ゛ンパーマカルチャー創始者)/ 藤森 照信(東京都江戸東京博物館館長・建築家)
【スペシャルライブ出演】レキシ

<落語レポート>
はじめに催された落語では、お囃子が鳴り響く中、女流落語家初の真打、古今亭菊千代さんが登場。前座噺としても寄席で頻繁に演じられる江戸落語の演目の一つである『垂乳(たらち)根(ね)』を披露しました。江戸時代、長屋暮らしをしている独身男性・八五郎は、大家の紹介で、美人で器量が良いものの、丁寧すぎる「お屋敷言葉」を使う風変わりな妻を娶(めと)ります。夫や、長屋に出入りする行商とも噛み合わない嫁の会話を面白おかしく描いたストーリーを通じて、江戸の暮らしぶりや人情味あふれる人間関係がうかがえます。シーン・描写の丁寧な解説をはさみながら、大変わかりやすい落語となりました。会場からは笑い声が漏れ、オチを迎えると会場からは大きな拍手が起こりました。

<クロストークレポート>

■今こそ大切な江戸に学ぶ「サステナブルな暮らし」
落語の後は、辻 信一さんをコーディネーターに迎え、アズビー・ブラウンさん、古今亭菊千代さん、末吉 里花さん、ソーヤー海さん、藤森 照信館長の6名で、クロストークを行いました。披露された落語について、自ら落語を学んでいるというアズビー・ブラウンさんは、「落語から当時の人間関係や生活の価値観がみえてくる」と話し、「長屋」というひとつのコミュニティの中での人と人との距離の近さを江戸の特徴として挙げました。会場からは笑いが漏れ、終始軽妙かつ和やかな調子で進んでいきます。末吉さんは、「落語ははじめて聞いたが、感動した。人とのかかわり方含めて、江戸の暮らしぶりがすごくイメージできる」と、コメントを述べました。また藤森館長は、「結婚式の前に行く場所が風呂と床屋というところがまさに江戸の文化を体現している」とコメントし、風呂屋・床屋、寄席が江戸っ子にとって、情報が集まる日常的なたまり場であったことを指摘しました。

続いて、アズビーさん、末吉さん、ソーヤー海さんによる、各自の活動に関するプレゼンテーションと、それぞれのプレゼンテーションテーマに関連したクロストークが繰り広げられました。
アズビーさんは江戸から学ぶ考え方として、「つながりの大切さ・全体で見ることの大切さ」について紹介しました。「吾唯足知(われたるをしる)」をキーワードに挙げ、江戸の食糧事情や銭湯、建築をイラストとともに紹介しつつ、いかにリサイクルやリユースなど循環性・シェアの考え方・ものを大切にする精神が根づいていたかに触れ、「土台としてマナーが大事であると思う」と述べました。それを受けてソーヤー海さんは常に豊かさを求める現代人に対しては、「『吾唯足知』よりも『吾唯、豊かさに気がつく』といったほうが伝わるのではないか」とコメントしました。

■サステナブルと美が結びつく未来とは?
末吉さんは、サステナブルな暮らしのための『エシカル消費(倫理的な消費)』について紹介し、「消費者と生産者双方の顔が見える社会」を目指す考えを伝えました。江戸時代にあった消費者と生産者双方の顔が見える社会を参考に、現代でもモノの背景をしっかりと意識することの大切さを伝えました。そして、古くから日本人がもっていた「三方良し」の先に、「作り手良し」と「未来良し」を加えた「五方良し」がこれから重要ではないかと指摘しました。辻さんは「エコロジー、サステナブル、エシカルなど環境に関する言葉は横文字が多いですが、改めて日本語に置き換えて紐解くと江戸から変わらない考えであることがわかりますね」「自然と他所への影響を考えながら行動していた、江戸の人はすごいと思う」とコメントしました。

ソーヤー海さんは「自然とつながる文化の再生」をテーマにプレゼンテーションを行いました。自らの海外経験をふまえ、トイレを例に、江戸時代に使われていたシンプルな循環の仕組みを解説しました。江戸の考え方に通ずる、海外の新たな取り組みとして、ポートランドのエコビレッジを事例に、コンポスト・トイレを使った循環型の社会を紹介しました。若者を巻き込んだソーヤー海さんの活動を受けて、サステナブルな暮らしのための「美しさ」「生かし合う」ことの大切さについて、それぞれの経験や視点からの意見が活発に交わされました。
トークセッションの最後には、藤森館長が持続可能な社会のモデルとしての江戸の魅力について改めて触れ、「サステナブルと美が結びつく未来がくるのではないか」とコメントしました。現代の生活・ライフスタイルを改めて考えさせられる、実りの多いクロストークとなりました。

<レキシライブレポート>
続いて行われた「レキシ」スペシャルアコ-スティックライブでは、事前抽選で招待されたお客様300名が集まりました。中村座から、法螺貝と太鼓の音に合わせて紋付袴姿のレキシが登場すると、「江戸博のみなさーん!」とファンに呼びかけ、息つく間もなく、ライブ演奏が超速攻でスタートし、会場からは大きな歓声が沸き起こりました。1曲目は、俵のレプリカを頭上に掲げながら、”年貢の納めどき”をウェディングソングにしたためた「年貢 for you」を披露し、レキシ節全開のトーク・アレンジをはさみながら会場は大盛り上がり。2曲目は、江戸から更に時代を遡り、平安時代をテーマにした楽曲「SHIKIBU」を披露し、会場中がサビに合わせて拳を掲げると一体感が生まれました。MCでは、「江戸博は、昔近くに住んでいたときに、曲作りに煮詰まったら来ていた俺にとってのパワースポットのような場所。レキシの活動はこういうときのためにあるといっても過言ではない。」と紹介し、江戸博で一番のお気に入りという「江戸東京地層模型」の展示をアピールしました。
3、4曲目には、彼のライブの人気定番楽曲「狩りから稲作へ」「きらきら武士」を立て続けに熱唱し、「どっちが好き?江戸東京博物館が好き~!」と今回ならではの替え歌も披露しました。「江戸博、また来てね!」というコメントでライブは締めくくられ、拍手と大歓声のなかライブは終了しました。

セットリスト
1.年貢 for you / 2.SHIKIBU / 3.狩りから稲作へ / 4.きらきら武士

■江戸東京博物館再オープンについて
江戸東京博物館は、江戸・東京400年の歴史に触れ、理解を深めることができる場所として、国内だけでなく、国外からも数多くの方々にご来館いただいています。今回の再オープンでは、より多くの方々にご来館・お楽しみいただける場所づくりを目指し、ミュージアム・ショップ、レストランが新しくオープンするほか、快適にお過ごしいただけるよう、エレベーター、トイレ等の館内施設の更新を行いました。今回の再オープンでは、本イベント(再オープン記念WEEK「EDO→TOKYO VISION」江戸東京の歴史・文化とつながる一週間)を実施するほか、東洲斎写楽の「市川鰕蔵の竹村定之進」、喜多川歌麿の「歌撰恋之部 物思恋」を、常設展示室にて初公開します。

施設名称:東京都江戸東京博物館
再オープン日:2018年4月1日(日)
開館時間:平日9:30~17:30 (土曜日は9:30~19:30)※入館は閉館の30分前まで
休館日:毎週月曜日(月曜が祝日または振替休日の場合はその翌日)、年末年始
所在地:東京都墨田区横網一丁目4番1号

常設展観覧料(企画展観覧料を含む)
一般: 600円 / 480円(20名以上の団体)
大学生・専門学校生:480円 / 380円(20名以上の団体)
高校生・中学生(都外)・65歳以上:300円 / 240円(20名以上の団体)
都内在学または在住の中学生・小学生・未就学児童:無料(個人・団体共通)
アクセス
JR総武線 両国駅西口下車 徒歩3分
都営地下鉄大江戸線 両国駅(江戸東京博物館前) A3・A4出口 徒歩1分
公式WEBサイト: https://www.edo-tokyo-museum.or.jp



配信元企業:東京都江戸東京博物館

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