◆ゲームコラムニスト・卯月鮎の絶対夢中★ゲーム&アプリ週報

 発表時から話題になっている『Nintendo Labo (ニンテンドー ラボ) 』が4月20日に発売されます。段ボール製のキットを組み立てて、その中にJoy-Con(コントローラ)や本体をセットして遊ぶというアナログとデジタルを融合させたまったく新しい提案です。

 『Toy-Con 01:バラエティキット』は、「リモコンカー」「つり」「おうち」「バイク」「ピアノ」の5種セット。特に「ピアノ」は内部は空洞なのに、段ボール製の鍵盤を弾くと音が鳴るという魔法のようなおもちゃ。段ボールの波形カードを読み込ませれば音色も変えられます。

 そして同時発売の『Toy-Con 02:ロボットキット』は、体に装着すると体感操作ができるロボットを作るキット。こちらはテレビモニターを見ながらロボットになりきって遊べます。

 ゲームボーイやバーチャルボーイを生み出した任天堂の名開発者・横井軍平さんが遺した哲学に、「枯れた技術の水平思考」というものがありますが、19世紀中頃に発明された段ボールを21世紀の“ゲーム”の素材として活用するとは! 誰もが思わず触ってみたくなる、任天堂らしいプロジェクトです。

 この『Nintendo Labo』は、“ゲームの常識”を変える一歩になるかもしれません。これまでのテレビゲームは、モニターのなかに作られた仮想世界に私たちをいかに引き込むかという方向性を軸に進化を遂げてきました。その最先端がVRと言えるでしょう。

 しかし、『Nintendo Labo』はその逆で、日常にあるアナログ的な遊びにどうすればコンピュータが自然に溶け込めるかを意識しているように感じます。“ゲーム”に遊ばされるのではなく、“ゲーム”を使って自由に遊ぶ。遊びの原点を思い起こさせます。

 少しコンセプトから外れるかもしれませんが、たとえば「センサーのかたまりであるJoy-Conをアナログのおもちゃに活用する」というくくりで考えれば、プラモデルと組み合わせたり、amiiboのようなフィギュアを利用したり、車や鉄道のおもちゃとマッチングさせたり……と秘めた可能性は大きいと言えます。ライセンス次第ですが、玩具会社からJoy-Conを組み込む形でのコラボおもちゃが発売される、といった未来も想像できます。

 さらにもうひとつ、『Nintendo Labo』では「Toy-Conガレージ」というモードで簡単な遊びのプログラミングも可能です。たとえば「画面をタッチしたら→Joy-Conが振動する」「Joy-Conを10回振ったら→爆発音が鳴る」「Joy-Conが裏向きになったら→画面が光る」といった具合に、入力と出力の条件を簡単に設定できるのです。

 アラフォー・アラフィフ世代はMSXでBASICを打ち込んだという人も多いと思いますが、今やゲームが複雑になりすぎて、作る人と遊ぶ人が完全に分かれてしまった状況で、基礎的ではあるもののゲームを作る楽しさが体感できる貴重な機会になるのではないでしょうか。プログラミング教育との兼ね合いで、教材としての側面に光が当たる場面もありそうです。

 『Nintendo Labo』は「01」「02」とナンバリングされています。「03」以降はどういった切り口のキットが登場するのか、早くも楽しみです。携帯機と据置機の壁を取り払ったNintendo Switchが、『Nintendo Labo』によってアナログとデジタルの垣根をも越えようとしていると言えそうです。

【卯月鮎】
ゲーム雑誌・アニメ雑誌の編集を経て独立。ゲームの紹介やコラム、書評を中心にフリーで活動している。著作には『はじめてのファミコン~なつかしゲーム子ども実験室~』(マイクロマガジン社)がある。ウェブサイト「ディファレンス エンジン

『Toy-Con 01:バラエティキット』のピアノ