「鮮魚店直営」を謳う居酒屋は数多くあれども、“ワケあり”な魚を使う店というのはなかなかありません。東京の下町・門前仲町に4月2日にオープンした「○魚(まるっと)」は、市場に出回らない「もったいない魚」や、天然モノに劣らない「養殖魚」を提供する、一風変わった居酒屋です。

 海の恵みを“まるっと”提供することをコンセプトに、リーズナブルに魚料理が楽しめるお店で、インパクトに溢れたメニューが満載なのだとか。一体どんな料理が楽しめるのか、さっそく取材してきました。

規格外や傷が付いた魚が安くおいしく食べられる

『○魚』で提供されているのは、プロが目利きした旬の魚だけではありません。規格外であることを理由に廃棄される魚や野菜をおいしく調理する飲食店を中心としたアクション「もったいないプロジェクト」の理念に基づき、サイズが小さすぎたり、傷が付いてしまったりした魚を使った料理を提供しています。

 たとえば「葱まみれ!! まぐろ中落ち」は、まぐろの捨てられてしまう部位を買い取り、骨と骨の間に残った身を削ぎ落として、生の本まぐろの中落ちと合わせて作られています。本来は捨てられる部位とはいえ、味はまったく問題ありません。しかも、これだけボリューミーなのに1,280円というのですから、次々に料理を頼みたくなりますよね。

「葱まみれ!! まぐろ中落ち」は1,280円(税抜)。本醸造濃口生醤油「紫峰の滴」をかけていただくと、まぐろのまろやかさが際立つ
「葱まみれ!! まぐろ中落ち」は1,280円(税抜)。本醸造濃口生醤油「紫峰の滴」をかけていただくと、まぐろのまろやかさが際立つ

 入荷される魚は日によって異なり、この日は「本日の塩焼き」として「真鯛の塩焼き」、「本日の煮魚」として「金目鯛の煮付け」をいただきました。

「真鯛の塩焼き」は780円。たしかにスーパーなどで見る鯛に比べるとひと回り小ぶりだが、身が引き締まっていて味が濃厚
「真鯛の塩焼き」は780円。たしかにスーパーなどで見る鯛に比べるとひと回り小ぶりだが、身が引き締まっていて味が濃厚
「金目鯛の煮付け」は1,280円。身にしっかりだしが染みており、思わず白ごはんが食べたくなる
「金目鯛の煮付け」は1,280円。身にしっかりだしが染みており、思わず白ごはんが食べたくなる

 鯛は1kgを下回ると値段が下がるらしく、市場では残りがちなのだとか。とはいえ、実際に食べてみると身がギュッと引き締まっており、大きい鯛との違いはほぼわかりません。

 金目鯛に関してもサイズが重要で、こちらも市場では売れない小ぶりなものを仕入れて煮付けにしているそうです。通常、金目鯛の煮付けといえばかなり値の張る料理なので、これが1,280円で食べられるとは、なんともありがたい限り!

 ほかにも、殻が少し欠けてしまったことで値が付かない南三陸産の大きな牡蠣を使った「殻付き!!丸ごとカキフライ」や、季節外れで売れ残ってしまう魚を使った「魚屋のサンドイッチ」など、文句なしにおいしい魚料理のオンパレードが続きます。

「殻付き!!丸ごとカキフライ」は大粒の牡蠣が5個も載って580円でいただける。殻が欠けたからこそのリーズナブルな値段設定に感謝したくなる
「殻付き!!丸ごとカキフライ」は大粒の牡蠣が5個も載って580円でいただける。殻が欠けたからこそのリーズナブルな値段設定に感謝したくなる
その日手に入った魚を使ったフライのサンドイッチ。柴漬け、金山寺味噌が塗り込まれたパンとの相性はバッチリ
その日手に入った魚を使ったフライのサンドイッチ。柴漬け、金山寺味噌が塗り込まれたパンとの相性はバッチリ

 ユニークなのは「お刺身7点盛り」。7点盛りと書かれているものの、実際に運ばれてきた魚を見ると10点あるんです。これは実は○魚ならではのサービス。筆者が参加したのはメディア向けの試食会だったので特別にやってくれたのかと思いきや、普段もこのサービスをしてくれるそうです。なんと太っ腹な!

「お刺身7点盛り」は4人前で2,480円。刺し身の内容は日によって変わるが、とにかく新鮮でボリューム満点
「お刺身7点盛り」は4人前で2,480円。刺し身の内容は日によって変わるが、とにかく新鮮でボリューム満点
刺し身に合わせるなら○魚特製の「○魚ロック」(500円)。日本酒をロックで飲むオリジナルドリンクで、ライムを絞ると爽やかな味わいに変化する
刺し身に合わせるなら○魚特製の「○魚ロック」(500円)。日本酒をロックで飲むオリジナルドリンクで、ライムを絞ると爽やかな味わいに変化する

 締めにぴったりな「貝汁」は、約300gの貝を使って780円。こうなると、この店だけ価格破壊が起きているような感覚になるほど、とにかくどのメニューもおいしいのにめちゃくちゃ安いんです。“もったいない”精神で扱う魚介類のポテンシャルをここまで高めてくれるとは、いい意味で期待を大きく裏切られるはず。

「貝汁」は3~4人前で780円。貝を食べ進めるとなかには焼きおにぎりが。貝のエキスをたっぷり吸った焼きおにぎりは雑炊感覚で食べられる
「貝汁」は3~4人前で780円。貝を食べ進めるとなかには焼きおにぎりが。貝のエキスをたっぷり吸った焼きおにぎりは雑炊感覚で食べられる

店頭ではおすすめ鮮魚の販売も

 居酒屋だけかと思いきや、○魚では店頭の軒先で鮮魚や干物も販売されています。この日は大きなタラバガニが3,000円という大特価で売られており、つい目を留めてしまいました。干物も立派なものが並んでおり、魚を買いに訪れるだけでもワクワクしますよ。

軒先に並ぶ魚も日によって変わる。決して種類が多いわけではないが、鮮魚店が営むからこその目利きへの安心感がある
軒先に並ぶ魚も日によって変わる。決して種類が多いわけではないが、鮮魚店が営むからこその目利きへの安心感がある

 もったいない食材をとにかくおいしく、安く楽しめるラフな居酒屋「○魚」。“魚が食べたい日に行く居酒屋リスト”に加えてみませんか?

(取材・文◎今西絢美)

●SHOP INFO

○魚(まるっと) 外観

店名:○魚(まるっと)

住:東京都江東区富岡1-23-4
TEL:03-5875-8557
営:16:00~23:00
休:不定休

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