●「Xperia Ear Duo」はなぜ革新的なのか
4月12日、ソニーモバイルコミュニケーションズがワイヤレスヘッドセットの新製品として「Xperia Ear Duo」を国内向けに発表した。

一見すると、最近急増している左右が独立した完全ワイヤレスイヤホンのようだ。だが、その中身はこれまでにない革新性が注目を浴びている。普通のワイヤレスイヤホンとは何が違うのだろうか。
○ソニー独自技術で「耳を塞がない」イヤホンを実現

ソニーが販売する完全ワイヤレスイヤホンとしては「WF-1000X」などが人気を博している。だがソニーモバイルのXperia Ear Duoは用途が大きく異なっている。その背景には、Xperia Ear Duoが耳を塞がない構造を実現し、周囲の音と音楽を同時に聴けるという特徴がある。

その形状は、イヤホンとして特異なものだ。ソニーの研究開発で実現した「音導管設計」により、耳の下に位置するドライバーユニットからパイプを伝わるように音が鼓膜に届くという。耳の穴に入る部分はリング状になっており、周囲の音はそのまま入ってくる仕組みだ。

音楽も会話も同時に楽しめる特徴を最大限に活かせるのが、スマート機能だ。マイクを通した音声コマンドでスマートスピーカーのように使えるほか、Androidスマホと連携すれば音声だけでLINEメッセージを送ることも可能。通勤時や出社時には、天気や今日の予定を自動的に読み上げてくれるアシスタント機能も搭載した。

スマホが普及したことで、歩きスマホに代表されるように画面に没頭しすぎる問題にソニーモバイルは着目。イヤホンにスマート機能を搭載し、画面を見ることなく耳から情報を得られるようにすることで、顔を上げたコミュニケーションの機会を増やそうというのがXperia Earシリーズの狙いだ。

ただ、いくら耳から情報を得られるとはいえ、イヤホンをしたまま外を出歩くのは危険も伴う。前モデルのXperia Earは安全性を考慮して片耳だけのイヤホンとして発売したが、音楽の視聴には物足りない製品だった。

そこでXperia Ear Duoでは、ソニーの独自技術を駆使することで周囲の音を取り込めるイヤホンを実用化し、この課題をクリア。最初のコンセプトの発表から1年あまりの時間をかけ、両耳に装着できるモデルとして登場したというわけだ。

●利用シーンの拡大に期待
○ハンズフリーの特徴を活かしたビジネス展開に期待

ソニーモバイルはXperia Ear Duoのビジネス展開も狙っている。最初に発表したのが日本航空との実証実験で、ハンズフリーで利用できるメリットを活かし、客室乗務員の飛行機内での業務におけるコミュニケーション目的で導入するという。

これまで客室乗務員の情報共有は、固定式のインターフォンや口頭に頼っていたという。だがXperia Ear Duoなら、ソニーモバイルが提供する特別仕様のアプリを用いて、機内のどこにいても情報共有ができるようになる見込みだ。

ここで役に立ちそうなのが両耳に2基ずつ、合計4基のマイクによる「クアッドビームフォーミングマイク」だ。雑音の多い環境でもノイズを分離し、的確な集音が可能になるという。騒音の大きい飛行機内で使えることが実証されれば、さまざまな現場に応用できそうだ。

もうひとつは観光需要だ。結婚式場としても知られる八芳園では、観光ガイドにXperia Ear Duoを実験的に採用。自然の音を楽しみつつ、同時にガイドの音声も聞き取れる。観光地では配布する通訳レシーバーを置き換えることもできそうだ。

これまでソニーモバイルは「Xperiaスマートプロダクト」としてスマート機能を搭載したプロジェクターやロボットを出してきたが、その中でも特に実用性の高い商品が登場してきた感がある。Xperiaブランドは国内で大きな支持を得ているだけに、そこで培った技術をスマホ以外の市場に拡大しようという試みに注目したい。
(山口健太)

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