人気スマートフォンゲーム「Fate/Grand Order(FGO)」の名物プロデューサー、塩川洋介さんの記者会見での発言が話題を呼んでいる。会見は5月15日に開かれ、塩川さんがこのゲームのプロジェクトの「クリエイティブプロデューサー」に就任、合わせて総合プロデュースチームを発足させメンバーも募集するという内容。その中で飛び出したのが「“FGOのある生活”をデザインする」という宣言だ。

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 ゲームの運営が「生活をデザインする」とは一体どういうことなのか。Twitterなどでも盛り上がっているこの発言、背景にはゲームの世界観をスマホの外に積極的に“輸出”してユーザーを増やしてきた、FGO流のコンテンツ戦略があるようだ。

●「ゲーム外を制する者がゲームを制す」

 FGOはディライトワークス(東京都目黒区)が開発・運営しているスマホゲーム。プレイヤーはゲーム内で「マスター」となり、英霊(サーヴァント)と呼ばれるキャラクターを従えて世界を救う旅に出る。著名なクリエイター陣を起用してのストーリー展開や、歴史上や伝説の英雄をもとにしたキャラクターなどが受け、国内だけで1200万ダウンロードを突破。塩川さんはゲームの開発・運営側を代表してメディアに登場しており、これまでも「弟子入りプロジェクト」などのユニークな取り組みや発言で話題を集めてきた。

 今回の会見で塩川さんは「ゲーム外を制する者がゲームを制す」と説明した。というのも、元々FGOはゲームの外、リアルとリンクさせた仕掛けで何かと話題を呼んできたからだ。ゲームの舞台が何者かに占領されてしまうというストーリーが公開されたときは、同じタイミングで公式サイトやTwitterのアカウントが“封鎖”された。こうした工夫がSNSなどで盛り上がって既存のファン以外からも広く認知されてきたこともあり、「ゲーム以外のことも含めて付加価値を提供できるかがこれからのゲームに求められる」(塩川さん)と考えた。

●「FGOがいかに生活の一部になるか」

 今もまさにゲームの世界観をリアルに展開するイベントを仕掛けている。今月にはミステリーを題材にしたリアルイベント「謎特異点1 ベーカー街からの脱出」(1はローマ数字)をスタート。同時にゲーム内でも連動して本格ミステリーのストーリーを展開。今夏にはアーケードゲームやボードゲーム化も予定している。

 ただ、塩川さんによるとこれは単純なマルチメディア展開ではないという。「FGOがいかに生活の一部になるか。いかにして遊んでくださる皆さんに、マスター(ユーザー扮する主人公)としての生活が充実するかを考えている」(塩川さん)。今回、新しい具体的な取り組みの発表はなかったが、塩川さんは「FGOのある生活をスマホの中でも外でも感じてもらいたい」と意気込む。

 無数のタイトルがしのぎを削っているスマホゲームの世界。いつでもどこでも遊べるという特性から、ゲームの運営側はユーザーにいかに頻繁にログインしてもらい、長時間遊んでもらってユーザーを“占有”することで、ライバルのコンテンツと差を付けられるかかが重要になってくる。まさに単純なマルチメディア展開に留まらず、ユーザーが「いつでもどこでもFGOに触れられる」レベルにまで多種多様なコンテンツに広げていけるかが問われる。 

ユーザーは歴史上の英雄などを率いて世界を救う旅に出る