SPECIAL OTHERSアコースティックプロジェクトSPECIAL OTHERS ACOUSTICとしては2作となるアルバム『Telepathy』を完成させた。2006年メジャーデビュー以降、インスト編成のジャムバンドとしてメインストリームを切り開いてきたスペアザ。そんな彼らのシーンにおける独自の立ち位置と芳醇な音楽性にあらためて迫るべく、メンバー4人に話をいてきた。

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メンバー
宮原“TOYIN”良太(ドラム/Drums&Percussions,Guitar
又吉“SEGUN”優也(ベース/Bass&Mandolin)
下“DAYO”武史(ギター/Guitar
澤“REMI”優キーボード/Melodion,Glockenspiel)

ーー皆さんはここ10年の音楽シーンにどんな変化を見出していますか。スペアザメジャーデビューした2006年頃とべると、きっと状況はかなり変わったと思うのですが。

宮原:たしかに今の状況はらもまったく予想してませんでしたね。それこそフェス・ブームみたいなものがなければ、俺らはここまで注されてなかったんじゃないかな。

下:そうだね。らみたいなインストバンドにとっては、まずライヴを見てもらうことが一番の宣伝だったので、それこそ昔はフェスを「大規模なストリートライヴ」みたいに捉えてたんです。それによって「インストってこんなに楽しいんだよ」ってことをちょっとずつ広めてこれたのかなって。

ーーフェス・カルチャーの盛り上がりと並走してきた実感があると。

宮原:それはありますね。ただ、昔は「ヒットチャートに入ってる曲はダサい。それよりもフジロックとかに出てる人の方がカッコいい」みたいなもあった気がしてて。俺ら、そういうのはイヤだったんですよ。売れてようがなんだろうが、良いモノは良いと認めたいし、自分らもそこで気取らずにやりたいなと。

澤:それこそたちは洋楽志向でもなければ、J-POP志向でもないんですよね。そこは柔軟にやっていきたいなって。

宮原:実際、たちの音楽って多ジャンル感がすごいというか。アルバム一枚のなかにジャンル的な幅もすごくあると思うんです。なにかコンセプトを立てることもないし。

ーーたしかに。でも、不思議とサウンド全体に統一感があるんですよね。

澤:多分それって、どの曲にもちょっとずつ醤油を入れてる感じだからじゃないかな。らはそのほうが美味いと感じる舌になっているというか。

ーーその「醤油」というのは何をしているんでしょう?

下:たとえば、俺らは曲ごとに楽器を持ち替えたりしないんですよ。それにオーヴァーダビングを一切してないから、音色に統一感があるんですよね。で、確かにそれは「醤油」なのかもしれないなと。あとは構成もA→B→サビみたいなやつがけっこう好きだし、それこそらは「J-POP生まれ、洋楽育ち」みたいなところがあるから、洋食でも醤油を使いたくなるタイプというか(笑)

ーーなるほど。非常にわかりやすい例えですね(笑)

下:でも、それこそ以前は洋楽邦楽のあいだにもっと隔たりがありましたよね。今でこそ定額制サービスとかの影で、みんなの音楽の聴き方が変わってきてる感じはするけど。

ーー確かにここ10年はSNSサブクリプションが音楽の聴き方を変えた時代でもありますよね。そのような変化はどう捉えていますか。

下:そこは特になにも意識してないんですけど、それこそフェス・ブームにしてもそうだし、時代の流れがたまたま自分達の音楽と合ってたんじゃないかなっていう気はしてます。今は試聴してもらえるチャンスも増えたし、みんながいろんな音楽を向けるようになった。それってちみたいにちょっとマニアックなことをやってるバンドからすると、非常にありがたいっていうか。

宮原趣味が多様化しましたよね。それこそ昔はもがビートルズを聴いて、皆がドリフターズの番組を観てたわけだけど、今の時代はそうやってひとつに集中することがないぶん、ちみたいなバンド興味を持ってくれる人も少なからずいるわけで、それはありがたいよね。

又吉2013年日本武道館やらせてもらったときは、まさか自分たちにそういう日がくるとは思ってもいなかったけど、ああいう状況になったのは確かに時代の影もあったのかもしれない。かといって、理に大きな標を立てようとしたこともないんです。あくまでも地にやっていった結果として、そうなればいいなと。

宮原BUMP OF CHICKEN東京ドーム演の写真とかを見ると「うらやましー!」とは思いますけどね(笑)。彼らとは年齢も同じだし。

下:まあ、そういう気持ちは論あるけどね(笑)。だからといって、「じゃあ、もっと売れそうな曲をつくろう」みたいな発想にはならないというか。あくまでも自分たちから自然に出てくるものを作っていきたいんです。

澤:でも、それこそフェスによって間口は広がったよね。ロック・フェスにEDMが混じってたり、ソウルシンガーがいたり、そうやってひとつのジャンルにとらわれない場所で演奏してこれたのは、らにとっても大きかったんじゃないかな。実際、らの音楽自体もそれによって構築されたところはあって。それこそロックバンドに感化されてロックっぽい曲が生まれたときもあったし。

ーーアコースティックアルバムをつくったのも、そういう自然発生的なアイデアだったのでしょうか?

宮原:これに関しては、「アコースティックでやってほしい」というオファーをよく頂いてたというのが、まずひとつの理由ですね。あと、マイス・パレードのアコースティックセットを観たことがあるんですけど、それがめちゃくちゃよかったんですよ。それでみんな奮しちゃって、だったら俺らもやってみようよと。結果としてそれがこういう作品に至ったというか。

又吉アコースティックは機材が少ないところもいいんですよね。それこそエレクトリック編成のときは搬入と準備だけで1時間くらいかかっちゃうんですけど、アコースティック編成のときはそれが2030分で終わっちゃうから、そういう気軽さもすごくよくて。

ーーSPECIAL OTHERS ACOUSTICとしては、今回が2作となります。

宮原:元々これはアルバム一枚だけで終わるようなものだとも思ってなかったんです。やっぱりアコースティック楽器きってすごくいいし、ダイナミクスもエレクトリック楽器より全然あるんで、そういうところにもハマっちゃったというか。

ーーすごくダンサブルな作品に仕上がっていますよね。

宮原:そこはすごく意識してますね。アコースティックアルバムっていうとしんみりした作品をイメージするひともいるだろうけど、そうはならないようにしたというか。それこそマイス・パレードのライヴがそうだったみたいに、ちゃんとかっこよくて盛り上がるような音楽にしたいなと。

澤:らは常にライヴでやることを想像しながらつくっているので、そこの影も大きいんじゃないかな。それこそクラブでよく演奏してたときは、いつもフロアのことを意識してたし。

ーーあくまでも現場でめられているものが重要だと。

宮原はい。それにらは自分たちがかっこいいと思われたいんじゃなくて、音楽がかっこいいと思われたいんですよね。多分その気持ちは皆すごく強いんじゃないかな。

澤:うん。もっと音楽そのものに注を向けてほしいよね。

宮原そういえば、今ふと思い出したんですけど、見たがいいのにマズい飯屋ってけっこうあるじゃないですか。、今それにめちゃくちゃイライラしてて。

ーーははは(笑)。最近そういう店にあたったんですか。

宮原:よくあたるんですよ、これが(笑)。で、やっぱり飯屋は見たよりも美味しさを優先してくれなきゃイヤだなと。たぶんたちの根底にもそういう魂があるんですよね。だからこそ曲が大事っていうか。

澤:らは人を先導したいんじゃなくて、みんなと音楽が楽しみたいんです。それこそクラブ・カルチャーってそうじゃないですか。パーティの場では演者もお客さんも関係ないというか、そういう匿名性の高さがDJのかっこよさと思うんですけど、なんかたちもそういう感覚に近いというか。

下:それにライヴじゃないと伝わらないこともありますからね。それこそ今回のアルバムで良太がバスドラを踏みながらギターを弾いてるのとかさ。

宮原:たしかに(笑)。そこは音だけじゃわからないもんね。

下:うん。そこはぜひツアーで確認してほしいな。


interview:渡辺裕也
photo:Yuma Totsuka

◎「STEADY」MUSIC VIDEO+特典DVD予告編
https://youtu.be/WKKa1RWxWJs

リリース情報
『Telepathy
2018/5/16 RELEASE
初回限定盤(CDDVD)>
VIZL-1367 3.780円(tac in.)
<通常盤(CD)>
VICL-64989 3.024円(tax in.)
<収録曲>
01. WOLF
02. Wayfarer
03. STEADY
04. IDOL
05. My Home Town
06. Birdie
07. ローゼン
08. CP
09. Mirage
10. Telepathy