15日に行われたアニメーション監督・高畑勲さんの「お別れの会」。同じスタジオジブリで作品を作り続けてきた巨匠・宮崎駿が、お別れのあいさつで「僕らは精一杯、あの時、生きたんだ」と語った思い出のアニメーション映画『太陽の王子 ホルスの大冒険』について振り返る。

 主人公の勇敢な少年・ホルスが、人間や動物を苦しめる悪魔・グルンワルドに立ち向かう姿を描いた本作は、スタジオジブリが発足する以前、東映動画(現・東映アニメーション)に務めていた高畑さんと宮崎監督が作り上げ、今なおファンの間で語り継がれる名作。アイヌ民族の伝承を題材にした深沢一夫の戯曲「チキサニの太陽」を原作に、高畑さんが演出を務め、宮崎が場面設計・原画を担当し、3年をかけて総作画枚数が15万枚に及んだアニメーション長編だ。

 同作の敵・グルンワルドは、ただ暴力的に人間を襲うだけではなく、人間の心の弱い部分を攻撃する。相手を疑う心や、差別を助長するようなことにも決して屈しないホルスの姿に、周囲の人々も立ち上がろうと決意。主人公のホルスは、一人ひとりが心に潜む弱い部分に打ち勝ち、一致団結することで敵に勝つことができると証明する。

 岩でできた巨人や、大カマス、氷でできたマンモスなどアニメならではのキャラクターなども登場し、荒れ狂う海や、吹雪など自然が猛威を振るうシーンは大迫力。ほかにもホルスやグルンワルド、ホルスが出会う孤独な少女・ヒルダといった登場人物たちの心理が表情などで細かく表現されており、高畑さんたちが「精一杯、あの時、生きた」色あせない作品となっている。

 作画監督には映画『パンダコパンダ』、アニメ「じゃりン子チエ」作画監督の大塚康生、原画は「アルプスの少女ハイジ」のオープニングの作画を手がけた森康二さんが担当している。声優を務めたのは平幹二朗さん、市原悦子といった名優たちだった。(編集部・梅山富美子)

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