医薬品などを製造販売する「メルスモン製薬」(東京都豊島区)から不当な雇い止めにあったとして、東京地裁に労働審判を申し立てていた元非正規社員の女性が5月16日、東京地裁による労働審判で出された審判内容に異議を申し立てた。今後、東京地裁での本訴訟に移行する。女性らが東京・霞が関の厚労省記者クラブで同日会見し、明らかにした。

女性は島津葉子さん(50)。金銭解決ではなく復職を求め、労働審判を2018年1月に申し立てていた。ところが和解交渉は決裂し、裁判所からは、(1)島津さん及び会社は2017年9月15日での雇用契約終了を確認する(2)会社は島津さんに対し300万円を支払う、などの審判が出た。会社側が和解条件として提案してきた内容とほとんど同じだったという。

島津さんは、勤続14年で雇用契約の更新が19回にのぼるベテラン契約社員。「金銭解決は求めていなかった。納得いかない」。今後、本裁判での主張を粘り強く続けていくという。

●「金銭解決は全く求めていない」

代理人を務める河村健夫弁護士は、労働審判で示された裁判所の判断に苦言を呈した。

労働審判法20条2項は、「労働審判においては、当事者間の権利関係を確認し、金銭の支払、物の引渡しその他の財産上の給付を命じ、その他個別労働関係民事紛争の解決をするために相当と認める事項を定めることができる」と規定している。

これについて、河村弁護士は「民事裁判の判決みたいにイエスかノーではなく、相当な範囲ならいろんな決め事をしてもいいですよ、という条文になっている。ただ、我々は金銭解決を全く求めてこなかった。余計なおしつけはやめてほしい」と話した。

●雇用契約終了なのに、なぜ300万円支払うのか

労働審判の内容は、雇用契約の終了を確認する一方、島津さんの年収相当額にあたる「300万円」を会社が島津さんに対して支払うなどというものだった。河村弁護士は「雇い止めが有効なら、1円も出ないはず」。半年更新の契約社員である島津さんに対し、1年分の給与に相当する300万円を支払うことと矛盾する点を指摘した。

労働審判は、裁判官と労働審判員2人(労働者側代表と使用者側代表の1人ずつ)で構成される労働審判委員会が、原則として3回以内の期日で審理するもの。調停による解決に至らなければ、労働審判が下される。異議があれば、通常の訴訟に移行することができる。

(取材:弁護士ドットコムニュース記者 下山祐治)早稲田大卒。国家公務員1種試験合格(法律職)。2007年、農林水産省入省。2010年に朝日新聞社に移り、記者として経済部や富山総局、高松総局で勤務。2017年12月、弁護士ドットコム株式会社に入社。twitter : @Yuji_Shimoyama

(弁護士ドットコムニュース)

雇い止めされた更新19回のベテラン、労働審判「300万円払うから退職」に反発…訴訟に移行へ