不二家やシャトレーゼといった老舗洋菓子チェーンが新たな出店戦略や販売戦略を打ち出している。背景にあるのは「働く女性の増加」「都市部への人口流出」といった社会構造の変化や、コンビニ・ネット通販の台頭だ。国内市場が頭打ちになるなかで、どのような打開策を打ち出しているのか。

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 TPCマーケティングリサーチは5月15日、パティスリー(生洋菓子)市場に関する調査結果を発表した。調査対象は、不二家や銀座コージーコーナーといった路面店・百貨店(駅ビル等を含む)で店舗展開している老舗洋菓子チェーンが中心だ。

 16年度のパティスリー市場は前年度比0.4%減の3616億円だった。中でもカップスイーツ(ゼリーやパフェ)は3.4%減、ハンドスイーツ(ワッフルやスフレ)は3.8%減と特に大きく落ち込んでいる。

●コンビニやネット通販で買うお客が増えた

 パティスリー市場が頭打ちになっている背景について同社は「スイーツの需要が、主要販路である路面店や百貨店等の従来チャネルから、利便性を強みとしたコンビニや通販等のチャネルにシフトしているため」と分析している。

 確かに、コンビニは自社開発のスイーツを強化している。近年は高額化・高品質化も進んでおり、老舗洋菓子チェーンの脅威となっている。例えば、ローソンはGODIVAと共同開発した高価格帯のスイーツを17年6月から投入しており、累計で1000万個を販売している。18年4月には同シリーズで最高価格となる「Uchi Cafe ×GODIVA ショコラパフェ」(税込450円)を発売している。

 老舗洋菓子チェーンの多くは路面店や百貨店で自社商品を販売してきたが、利便性の面でコンビニやネット通販が優位に立つケースが出てきた。働く女性が増えた結果、仕事帰りにコンビニに立ち寄ってスイーツを買うのが当たり前になった。さらに、自分の好きな時間に受け取れるネット通販を利用してこだわりの高級菓子を買うお客も増えている。

●舗洋菓子チェーンの新たな出店戦略

 こういった購買行動の影響を受けて、老舗洋菓子チェーンは出店戦略を見直している。

 シャトレーゼは郊外に出店することで成長してきたが、少子高齢化と都市部への人口流出で03年には505店あった店舗数が09年には431店にまで減った。現在、店舗数は回復基調にあるが、国内事業は頭打ちの状況なので海外事業に力を入れているという(参照記事:日経ビジネスオンライン「シャトレーゼ、郊外で鍛えた力を海外で生かす)。

 路面店や百貨店から軸足を移す動きもある。TPCマーケティングリサーチの調査によると、不二家は近年、関東地方の路面店を中心に不採算店を多数閉店している。一方、増加傾向にあるのが駅ビルやショッピングセンターといったインショップ型の店舗だ。不二家レストランなどを除く約900店のうち、路面型店舗の割合は20%にとどまるが、ショッピングゾーン店舗は68%、駅前の店舗は12%となっている。不二家は変化する消費者のニーズに応えるために「今後新しいタイプの店舗の開発を検討、展開予定」(担当者)という。

 首都圏を中心に約400店舗を展開している銀座コージーコーナーの広報担当者は「路面店より総合スーパーといった複合施設の店舗で購入するお客さまが増えた」と説明する。百貨店に軸足を置いて成長してきたモロゾフは「百貨店の撤退が相次いでいるので、別の販路を強化している」(広報担当者)という状況だ。

●海外とネットに活路

 大手チェーンが新たな販路として強化しているのが海外とネット通販だ。

 シャトレーゼは15年から本格的な海外進出を開始し、シンガポールや台湾などの東南アジアを中心に約50店舗を展開しているという。モロゾフは17年に香港とシンガポールに相次いで新店舗をオープンしている。

 ネット通販については、各社は独自のネットショップを構築しているが、特に挑戦的な取り組みをしているのがモロゾフだ。同社は18年1月、モロゾフオンラインショップに「みみずく洋菓子店」という新ブランドをオープンした。毎日の仕事や家事に忙しいターゲット層のライフスタイルに合わせ、午後9時~12時限定でスイーツを販売する。

 これまで老舗洋菓子チェーンは内需を取り込む形で成長してきた。しかし、人口減少といった社会構造の変化とライバルの台頭を受けて、新しい戦略を次々と打ち出してきている。老舗ならではのブランド力を生かし、新たなお客を取り込めるかどうかが注目される。

百貨店内にあるモロゾフの店舗