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美しくあれ、高性能であれ…。1935年に登場した「SSジャガー100」以来、ジャガーの名を冠したクルマは常にこの言葉とともにあった。text:岡崎五朗 [aheadアーカイブス vol.116 2012年7月号]

「美しくあれ、 高性能であれ」
アヘッド 「美しくあれ、 高性能であれ」

ルマン24時間レース(通算5勝)をはじめとする数々のモータースポーツでの栄光も、もっともエレガントなクルマを送り出しているメーカーという不動の評価も、美しさと高性能をひたすら追求し続けたジャガーの創始者、サー・ウイリアム・ライオンズの信念が生みだしたものだ。

77年間に及ぶ歴史の過程で数々の名車を送りだしてきたジャガー。とくに有名なのは中型サルーンのMk('59年)、スポーツカーのEタイプ('61年)、上級サルーンのXJ('68年)の3台。これらは現在へとつながるジャガーの基礎を築いたモデルであり、EタイプはXKに、MkはSタイプを経てXFに、XJは4世代目となる現行XJへと進化。ジャガーの伝統を現代へと伝えている。

とりわけ、昨年生誕50周年を迎えたEタイプは、あのエンツォ・フェラーリをして「世界でもっとも美しいクルマ」と言わしめ、ニューヨーク近代美術館にも常設展示されている名車中の名車だ。

昨年には、生誕50周年を記念してスイスのジュネーブモーターショーや英国のグッドウッド・フェスティバル、米国でのペブルビーチ・コンクールデレガンス、ドイツのニュルブルクリンクでのオールドタイマー・グランプリといった世界各国のイベントに参加。多くの人々から惜しみない喝采を浴びた。

目まぐるしく変わる自動車の世界において半世紀もの時を超え愛され続ける…この奇跡的な事実こそ、Eタイプがいかにクルマの歴史を大きく変えたエポックメーカーだったのかを雄弁に物語っている

▶︎ジャガーEタイプは1961年に登場した。昨年は生誕50周年に当たる年。英国のグッドウッド・フェスティバル、アメリカのペブルビーチ・コンクールデレガンスを含め、世界各地でファンが50年の節目を祝った。 

初心に返った新生ジャガー
アヘッド 初心に返った新生ジャガー

●JAGURE『XFR』 
車両本体価格:¥12,000,000
総排気量:4,999cc
最高出力:375kW(510ps)/6,000-6,500rpm
最高トルク:625N・m(510ps)/2,500-5,500rpm
ジャガーコール TEL: 0120-050-689 www.jaguar.com/jp/ja/

その一方で、あまりに多くの名車を輩出したがために、ジャガーのイメージは固定化される傾向があった。冒頭で書いたように、創始者のサー・ウィリアム・ライオンズは「美しくあれ、高性能であれ」とは言ったが、決してクラシカルであれとは言っていない。

しかし、多くのジャガーファンは変わることを望まず、いつしか多くの人はジャガーに対し「年配の人が乗るエレガントでラグジュアリーなクルマ」というイメージを抱くようになったのだ。実際、'90年代後半から2000年初頭に発売されたXタイプ、Sタイプ、先代XJはクラシックジャガーの要素を積極的に採り入れたデザインを採用していた。

そんな中、初心に立ち返り「美しくあれ、高性能であれ」という理想をゼロから問い直した意欲作が、2008年に発売されたXFだ。大きく傾斜したウィンドスクリーンと美しい弧を描くルーフラインはクーペのように美しく、モダン。

従来のジャガーは、どちらかといえばツイードのジャケットを着た英国紳士に似合うクルマだったが、XFが似合うのはダークスーツ姿でロンドンの金融街を闊歩するエグゼクティブ…そのぐらい大きなイメージチェンジである。そこには、過去を断ち切り、新しい時代における「美しくあれ、高性能であれ」を追究したジャガーの姿が如実に表れている。

ドライブフィールも変わった。世界屈指のパフォーマンスと官能性を誇る5ℓV8エンジンやスポーティーな走りを約束するサスペンションなど、そこには現代のスポーツサルーンに求められる要素が惜しみなく投じられている。

しかしXFのスポーツ性は決してこれ見よがしのものではなく、ドライバーがそれを望んだときのみ発揮される。とてつもないパフォーマンスを持ちつつも、普段はゆったりとした気持ちで快適なクルージングを楽しむことができる。こういった懐の深い大人のスポーツに仕上がっているのがジャガーのジャガーたる所以であり、XFの魅力でもある。

ジャガーの〝ALIVE〟が意味すること

先日、ジャガーはグリーンだったCI色をボルドーレッドに変え、ロゴもモダンなものへと変更した。これは単なる看板の掛け替えではなく、彼らが新たな一歩を踏み出したことを示す宣言に他ならない。

その上で、ジャガーは自らのブランドDNAをInnovative(革新的)、Seductive(官能的)、Performance(高性能)という3つのキーワードによって再定義した。これらは果たして顧客に何をもたらすのだろうか?

それを明快に表現しているのが、広告等に度々登場する〝ALIVE〟という単語だ。直訳すれば「活き活きとした」となるが、「活き活きしたクルマ」というよりは、むしろ「活き活きとした人生を楽しむための最高の相棒こそがジャガーである」と意訳するのが正解だろう。

そう、彼らが目指すのはオーナーの感動を究極の目的としたクルマづくりであり、スペックはあくまでそれを実現するための手段にすぎない。こうしたハートフルな姿勢こそが、〝ALIVE〟なライフスタイルをもたらすジャガーワールドの神髄だ。年齢を問わず若々しい気持ちをもっている人、ALIVEな人生を送りたいと願う人にXFをお薦めする理由もそこにある。

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text:岡崎五朗/Goro Okazaki
1966年生まれ。モータージャーナリスト。青山学院大学理工学部に在学中から執筆活動を開始し、数多くの雑誌やウェブサイトなどで活躍。テレビ神奈川の自動車情報番組『クルマでいこう!』に出演中。

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岡崎五朗的『ジャガー論』「美しくあれ、 高性能であれ」