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北朝鮮外務省が5月16日、朝鮮中央通信を通じ「アメリカが一方的に核放棄を要求するなら、来月に予定していた米朝首脳会談を再考する」との警告を発した。

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「過去に何十回も続いてきた北朝鮮の陽動作戦とみられます。やはりこの国は少しも変わっていません」(朝鮮半島ウオッチャー)

北朝鮮はさらに「アメリカは核放棄と引き換えに経済的な補償と恩恵を与えるというが、わが国の経済建設を進めるのにアメリカの支援を期待したことはなく、今後もそういう取引をするつもりはない」と強調していた。

「米朝会談の日程が取り沙汰されていた4月22日の夜、北朝鮮南西部の黄海北道の山間部の下り坂で、1台の観光バスが橋から30メートル下に転落し、乗っていた中国人観光客32名と北朝鮮関係者4名が死亡するという事故が起きました。翌23日に金正恩委員長自らが平壌の中国大使館を慰問に訪れ『ご遺族のことを思うと悲しみを抑えきれない』などと弔意を表す映像を世界中に配信しています。25日には犠牲者の搬送と負傷者帰国のための特別専用列車を編成し、自ら平壌駅に出向いて列車に乗り込み、寝台車の患者に寄り添いながら見送るという映像も流れました」(北朝鮮ウオッチャー)

金委員長は一観光バスの事故に対してなぜここまで丁寧な異例の対応をしたのだろうか。

 

金正恩「中国人観光客バス事故死」に自ら慰問した秘密

中朝首脳会談の内容を反映

「正恩委員長が事故を重視したのは、3月下旬にあった訪中が理由です。核・ミサイル問題で米国と対話すると中国の習近平国家主席に伝え、非核化の意思も示した中朝首脳会談で、中朝協力の先陣を切って示されたのが『観光交流の強化』で、例年冬季に中止される平壌方面の観光ツアーが前倒しで再開されたのです」(同・ウオッチャー)

北朝鮮観光は国連安全保障理事会が決議した対北朝鮮制裁の対象外だったが、減少傾向にあった。そのため、中国という格好の“上客”を逃すまいという計算が働いていたのだ。それと同時に、金委員長にも思惑があったという。

「正恩委員長の異例の対応は、改善した対中関係への悪影響を最小限に抑えたいという思いがあったに違いありません。もちろん、米朝首脳会談を前に中国という“後ろ盾”の機嫌を損ねたら大変だという考えもあったでしょう」(同・ウオッチャー)

史上初の米朝首脳会談は6月12日、シンガポールで行われる“予定”だ。

 

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