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2018年5月15日、日本の自動車メーカー9社と、トランスミッションメーカーのアイシンAW、JATCOの11社が共同し、各社の垣根を超えて動力伝達系の基礎研究を促進する「自動車用動力伝達技術研究組合」(Transmission Reseach Assosiation for Mobility Inovation:略してTRAMI)が発足した。

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TRAMIの目指す理念は、産学官の英知を集め、将来も有望な動力伝達技術の基盤を強化し、世界をリードする日本の産業力を永続的に向上させること。産学官の相互啓発による研究推進により、日本の動力伝達技術に関する専門技術力の向上を図り、技術者及び将来にわたり産学官を推進するリーダーを育成することとされてる。

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このように多数のメーカーが共同で基礎研究を行なう組織としては、すでに「自動車用内燃機関技術研究組合」(AICE)がある。AICEは2014年4月に発足し、政府の戦略的イノベーション・プログラム(SIP)の一環として、次世代の高効率エンジンの基礎研究を、産学共同で展開しているものだ。

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今回発足したTRAMIは、大枠ではAICEと同じで、動力伝達に関わる技術の基礎研究を充実させ、次世代の高効率なトランスミッション、特に電動化に対応できる高効率のトランスミッション開発の基盤となる基礎研究を、全国の大学の研究室、さらには計測器メーカーや、海外のトランスミッションメーカーも巻き込んで展開するシナリオとなっている。

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今回のTRAMIの発足により、ようやく日本でもパワーユニット、パワートレーン全体の共同研究体制が整ったということができる。なお、AICEと同様にTRAMIも研究成果はモデルベース化し、各社や各研究室で共有できる体制も目指しているが、当面は各社のモデルベース・システムが異なるため、緩やかなモデル化で対応するという。

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TRAMIは3年前に自動車技術会の内部にTRAMIの推進委員会が設けられ、準備を整えた上で今回の正式発足となった。AICEとの違いは、SIPの対象項目には採り上げられていない分野のため、現時点では政府の補助金はなしで、各社が分担してTRAMI運営事業のための資金、約26億円を投入することだ。

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TRAMIの理事長に就任した前田敏明氏(本田技術研究所・4輪R&Dセンター上席研究員)は、TRAMIを設立した理由に「今しかない」というタイミングだという。例えば、ドイツでは駆動系技術組合が50年前に発足し、産学官で基礎研究を積み重ねており、近年では中国が政府資金を投入し、ヨーロッパの技術開発会社と中国の大学が連携し、ドイツと同等レベルの技術の獲得、人材養成を行なうという枠組みが確立しているという。

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電動化の波が押し寄せる現在、動力伝達系、つまりパワートレーンの重要性は高まり、その基礎技術の底上げは日本にとって急務となっているというのだ。さらに自動車メーカーの実情でいえば、電動化技術や自動運転技術に技術要員が集中し、トランスミッションなど動力伝達系の、しかもより地味な基礎研究にエンジニアを割く余裕もなく、また各自動車メーカーで実行したところで幅の狭い研究に終止するという危機感もあるのだ。

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また、全国の大学でも動力伝達系の研究室はきわめて少ないため、TRAMIとの産学連携により、動力伝達技術に関する基礎的な研究体制を拡充することも直面する課題である。

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基礎研究のテーマは、金属摩擦、ギヤ、潤滑、CVTベルト挙動の解析、気液混相状態の解明など科学的な現象の解明、メカトロニクス関連技術の向上など多岐にわたり、こうした基礎研究を積み上げることで駆動系の伝達ロス、重量、NVを半減させることを目指し、各メーカーが独自で製品に落とし込むことを目指す。

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動力伝達系の基本的な要素である、摩擦や、潤滑などトライボロジー分野での研究の大幅な進化に期待したい。