盗難の被害に遭った際、警察などの捜機関に提出する「被害届」。犯罪被害警察に伝え、盗難された物をできるだけく見つけるための、一般的な方法です。ところが、「自分の出した被害届で自分が捕まる」という不思議なケースもあるようです。例えば、自転車を盗難されて被害届を出した場合、盗難された自転車を見つけて勝手に持ち帰ると、自分が盗難の“犯人”になるといいます。

 SNS上などでは「加者と被害者が同一人物ってこと?」「どう対応するのが正解なんだ」など、さまざまなコメントが寄せられていますが、実際のところはどうなのでしょうか。オトナンサー編集部では、芝綜合法律事務所牧野和夫弁護士に聞きました。

盗まれた物を発見したら、まず出頭

Q.そもそも「被害届」とは、どのようなものなのでしょうか。

牧野さん「被害届とは、犯罪被害に遭ったと考える者が被害事実警察などの捜機関に申告する届け出をいいます。盗難(窃盗)を含め、強盗、器物破損等犯罪被害を受けた場合の警察署への届け出をします。盗難届は、被害届の一つであり、自分の所有物が第三者に盗まれた(窃盗された)と考える者が行う届け出です。

被害届は、被害者に対して警察による十分な対応がめられてはいますが、告訴とは異なり犯人の処罰をめる性格を持ちません。したがって、刑事事件の起訴で告訴が要件となっている親告罪(例えば、器物破損)では、被害届だけでは検察は刑事事件の起訴を行うことができず、起訴を行うためには、被害届に加えて告訴が必要となります。なお、窃盗罪は親告罪ではないので、被害届だけでも検察は刑事事件の起訴を行うことができます。

なお、自転車の場合には、置いてあった自転車がなくなっていると盗まれたことになりますので被害届になりますが、盗まれたのではなく単に紛失した場合には、落とした場所を管轄する警察署へ『遺失届』を届け出ることになります」

Q.自分の出した被害届で自分が警察に捕まる、ということはありうるのでしょうか(例:自転車が盗まれて被害届を出す→盗まれた自転車端で発見したので断で持ち帰る→窃盗の容疑で自分が捕まる)。

牧野さん「法的にはありうると言えます。ただし現実的には、警察被害者本人と分かれば、事情を聞かれることはあっても、逮捕されてそのまま拘留されることはないでしょう。

逮捕されることのないように、盗まれた自転車端や他人ので発見した場合には、被害届を提出した警察署や最寄りの警察署にただちに出頭して、盗まれた自転車を発見した場所や状況について申告すべきです。乗り捨てられていた場合も、自転車の使用窃盗(自分の物にしてしまうのではなく、使用するために占有を奪い、使用が終わったら乗り捨てるケース)は占有を奪った時点で窃盗罪に該当する可性が高いので、警察犯罪が必要となり、自転車が見つかったから終わりということにはならないからです。警察署にただちに出頭した場合でも、事情を聞かれるなど、捜に協する必要があるでしょう」

自分の物を取り返すだけでも罪になる?

Q.届けを出していなかった場合はどうでしょうか。自分の物を取り返しただけでも、法的には窃盗罪等の罪に該当しうるのでしょうか(例:自転車を盗まれる→や他人ので発見したので断で取り返す→窃盗罪に該当する)。

牧野さん「『他人ので発見したので断で取り返す』場合、自転車の所有権は自分にあっても、一時的に盗人など他人に占有(事実上支配)されている状態です。他人が占有するものは『他人の財物』とみなされるため、断で持ち帰れば窃盗罪(刑法242条、10年以下の懲役または50万円以下の罰)に該当する可性があります。

また、『端で発見したので断で取り返す』場合は、すでに占有を離れている物を横領することになり、遺失物横領罪(刑法254条、1年以下の懲役または10万円以下の罰もしくは科料)に当たる可性があります。ただし、自己の所有物を回復するために行った行為ですので、処罰の必要性は低くなり不起訴になる可性が高いでしょう」

Q.このようなトラブルを防ぐために気をつけるべきことは、どんなことでしょうか。

牧野さん「盗まれた所有物を自で取り戻す行為は、いわゆる『自救済』と呼ばれ禁止されています。盗まれた自転車端や他人ので発見した場合、すぐに最寄りの警察に届け出て、手続きを踏んでから取り戻す必要があります」

ライフスタイルチーム

盗まれた物を取り返すことが「罪」になる…?