軍は2018年5月現在、軽攻撃機の導入計画を進めています。同軍の攻撃機といえばA-10が知られますが、これを支える役割を持たせるとか。その背景にはどのような理由があるのでしょうか。

負担軽減策としての軽攻撃機

アメリカ軍が運用している攻撃機といえば、頑丈な装甲に強30ミリ機関を備えるA-10サンダーボルトII」が有名ですが、現在アメリカ軍では、このA-10の役割を支える新たな軽攻撃機の選定計画を進めています。

アメリカ軍が導入を考えている軽攻撃機とは、敵が強な対兵器などを配備していないような脅威度の低い地域で活動し、地上にいる武装勢などを攻撃するための安価航空機のことです。

従来こうした任務はA-10などが担当していましたが、度重なる任務の実施は機体や整備チームにとって大きな負担となっています。こうした負担を軽減するための新たな選択肢として、この軽攻撃機が注されているのです。

攻撃機には上述のような地上攻撃に加えて、戦場での監視や捜索救難といった任務も期待されていて、さらにはほかの味方航空機への空中給油といった機を持たせたいというもあります。

本当に有用なの? 評価試験は第二段階へ

現在アメリカ軍ではこの軽攻撃機が本当に有用な存在なのかを確かめるための試験を実施中で、第1段階は2017年8月から9月にかけてニューメキシコホロマン軍基地で行われ、第2段階は2018年5月から同じくホロマン軍基地で行われています。もともと第2段階の試験では中東戦場補となる機体を派遣し、実際に戦闘任務をこなすことでデータを収集する計画でしたが、それよりも機体に関するさらなるデータ収集に際して、参画している企業との密接な連携を重視してアメリカ内での試験に移行したようです。

試験第1段階には、ブラジルのエンブラエル社が開発したA-29、アメリカL3エアトラクター社が開発したAT-802L、アメリカテキストロン社が開発したAT-6、同じくテキストロン社が開発した「スコーピオン」という4機種が参加しましたが、試験第2段階に進めたのはこのうちA-29とAT-6のみでした。

この2機はいずれもノーズ部分に装備したプロペラによって飛行し、さながら第二次世界大戦機を彷彿とさせる見たですが、もちろんレシプロエンジン機ということはなく、いずれもターボプロップ機です。A-29は最高速度時速590km、機体にはロケット弾や誘導爆弾などさまざまな兵器を搭載できます。一方のAT-6は最高時速約585km、機体には誘導ロケット弾をはじめとした多兵器を搭載できます。

軽攻撃機選定の背景

そもそも、なぜアメリカ軍は軽攻撃機を導入しようと考えたのでしょうか。それは、アメリカ2001(平成13)年以来続けている中東などでの対テロ戦争と関係があります。

現在アメリカ軍では、アフガニスタンなどでの武装組織に対する攻撃にF-16などの戦闘機A-10といった攻撃機を投入しています。さらに将来的には、これらの航空機ステルス戦闘機であるF-35によって更新される予定となっています。しかし武装も貧弱なこうした武装組織に対して、F-16や、ましてやF-35を投入するのは非常に非効率的です。たとえるならば、ろうそくの火を消すために消火器を使うようなイメージです。

さらに、近年中国ロシアといった々からの軍事的脅威が強まるなかで、アメリカ軍の保有する先進的で高性戦闘機を従来のような対テロ戦争に割く余裕がなくなってきています。

こうした理由から、アメリカ軍は脅威度の低い地域で活動できる安価な軽攻撃機を配備し、これまで同様の任務に従事してきた戦闘機などをこの役割から解放することで、現在必要とされている本来の任務、国家国家戦争を想定したような訓練などに復帰させようと考えたのです。

また、軽攻撃機を運用する的はほかにもあります。それが、他との連携向上です。

アメリカ軍が安価な軽攻撃機を運用すれば、それを、武装組織と戦うほかの々も導入しようと考えるかもしれません。また、すでに同様の航空機を導入しているは数多くあります。そうした々とアメリカが共通の航空機を運用すれば両者の連携は向上し、共同作戦戦闘訓練などを行いやすくなります。実際に、現在アメリカ軍と連携して自内で武装勢戦闘を行っているアフガニスタン軍は、先述したA-29を攻撃機として運用しています。

【写真】不滅のA-10、貫禄の運用40年越え

米空軍が導入を考えている軽攻撃機の、候補のひとつ、エンブラエルA-29(画像:アメリカ空軍)。