ハン・ソロの若い日を描く『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(6月29日開)は、“ポンコツ”と言われる前の新しいミレニアム・ファルコンも見どころ。そのファルコンの造形を手掛けたのは、なんと日本人! CGデラーの成田さんにお話を伺った。(取材・文/平沢

 成田さんは、なんと46歳で大手券会社を退社し、ハリウッド映画製作に携わるという、子供時代からの夢をえた経歴の持ち1963年愛知県出身。幼稚園の頃はロボットアニメ鉄人28号」が大好きで、「ゴジラ」「ウルトラマン」などの特撮作品を観て育ち、中学生で1作の『スター・ウォーズ エピソードIV/新たなる希望』に出会って衝撃を受けた。

1993年 券会社のアメリカ駐在時代

「それまでは特撮っていうと、飛行機ピアノ線でって、爆を仕掛けてパーン、っていうイメージだったんですけど、『スター・ウォーズ』がそれを根本から覆した。映像を観て、たまげました。冒頭でデストロイヤーがガーッと来た時は、本当に驚きましたね」。

 そして会社勤めをしながら独学でCGを学び、世界有数のVFX工房ILM(インダストリアルライトマジック)に入社。『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』 でモデラーを担当してきた。

 「初めてシリーズを手掛けたのは『フォースの覚醒』の時で、『スター・ウォーズ』トリロジーサントラを聞きながら作業しました。『エピソード4』の最後に表式のシーンがあって、そこで使われているエンドテーマが流れてきた時は“ああ、今、『スター・ウォーズ』をやってるんだなぁ”と。本当に泣けました(笑)」。

成田さんが初めて手掛けたシリーズスター・ウォーズ/フォースの覚醒』のミレニアム・ファルコン

 ちなみに“モデラー”という仕事は、イメージイラスト3次元の立体にすること。CG宇宙船の形を創り、ルック&フィール(見たや雰囲気)を決めていくのが担当だ。「イラストで何も描かれていない部分をそのまま立体にすると、リアルな物体にならないんです。なので、細かいパーツをひとつひとつ作って、それを見栄えがいい感じに配置していくわけです。デストロイヤーには2万5,000個のパーツが必要でした」。

 だから、メカの細部には成田さんのアイデアが盛り込まれた。「『フォースの覚醒』のファルコンは『エピソード4』の30年後なので、アンテナの形を変えて、側面のディディールもかなり複雑にしました。でも今回のファルコンは10年前の姿。だから最初の『スター・ウォーズ』のDNAを受け継ぐことを意識しました」。

ILMでの仕事風景 デスク周りの模型にも注

 「当時はCGなんかありませんから、模型を作ってそれを撮影して映像を作ってるんですが、その模型の細かいパーツは、日本戦車飛行機プラモデルパーツを貼り付けていたんですね。タミヤプラモデルパンサーの後部のグリルや、バンダイのヤークトパンサーの筐体がそのまま使われている。なので今回も、そのDNAを受け継いでいこうじゃないかと。細かいところに日本の要素も入れようと思って、戦艦大和の艦の部分のパーツCGで作って埋め込みました。大和が大好きなんです(笑)。他にもフェラーリエンジングリルを使ったりしています」。

 そんな成田さんは幼い頃からプラモデル作りが大好き。2004年の全模型コンテストで優勝している。「スーパーバイザーは、私がプラモデルも作れるところがいいんだと言うんです。実際に手を動かして触りながらものを作ることが大事なんだと。とくに『スター・ウォーズ』はもともと模型で作られたものなので、そういう心を持っていることが大切だということなんでしょう」

2004年 Tamiya/Con 優勝作品 プラモデルの腕前も一流だ

 もうひとつ、今回のファルコンには意識されていることがある。「ファルコンの一番最初のデザイン、『エピソード4』でラルフマッコリーが描いたオリジナルコンセプトアートの雰囲気をどんどん取り入れたんです。アートディレクターもそれを意識してコンセプト画を描いてるし、もそれを意識して立体にしていっています」。

 そして、今回のファルコンの基本コンセプトは明確だ。「基本は"逆にしよう"ということですね。"宇宙最速のガラクタ宇宙船"は、元は"宇宙一綺麗な美しい流線の船"だった。それに、このファルコンは、持ちランド・カルリアンの性格を前面に出したデザインになっているんです。だから手で、このい部分はキラキラと反射するんですよ」

ハン・ソロミレニアム・ファルコンのコセンプトアート。成田さんいわく「今見ているのが全体の約4分の1」とのこと。本編ではどんな姿が見られる?

 さらに、成田さんは重要なヒントを与えてくれた。「今回のファルコンのために使ったパーツは、全部で5万個。デストロイヤーの倍の数です。製作には120日間かかりました。でも予告編ファルコンを見ると、これで5万パーツあるの? って感じですよね。それは、今見ているのが全体の約4分の1だからなんです。残りのパーツはどう使われているのか。そこは、映画を観てのお楽しみです。今回はハン・ソロ伝説を描いていますけど、同時に、ミレニアム・ファルコン伝説も描いています。この宇宙船がどうしてこういう形になったのか。そこに4分の3が関係しているんです」。ますます今度のファルコンが見たくなる!

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