現地時間15日、第71カンヌ国際映画祭でコンペティション部門出品作『寝ても覚めても』の公式会見が行われ、濱口監督キャスト東出昌大&唐田えりか海外記者から「ナチュラルな演技はどのようにして生まれたのか」と質問が上がった。

 本作は、突然行方をくらました人を忘れられずにいる女性朝子(唐田)が、彼とうり二つの男性(東出の一人二役)と出会って揺れ動くさまを描いたラブストーリーウズベキスタン女性記者は、初カンヌにしてコンペティション部門に選出された濱口監督を「ニューウェーブ」と称賛し、大げさに誇されることのない、軽やかでナチュラルな演技をどのようにスクリーンに焼き付けたのかと問い掛けた。

 かつてドキュメンタリーを撮った際に「カメラに対して自分の人生そのものを差し出してくれる人たちの姿が、どれほど映画を与えるか」ということに気付いたという濱口監督は、それをフィクションでもやろうとしていると回答。「磨きをかけたテキストセリフ)を、俳優たちに体に刻み込んでもらい、後は現場の反応にまかせる。現場で起きたことをある種のドキュメンタリーのように撮っていくというスタイルをとりました。そうしたことで、おっしゃっていただいたような“軽さ”というものが映画に加わっているとしたらうれしいです」と喜んだ。

 制作期間が短く、撮影現場で初めて共演者と会うということもザラで、そのため俳優は各自で準備したものを現場で見せることが仕事となる、と日本現在映画界について紹介した東出は、濱口監督の下では今までやったことのないことをたくさんやったと明かす。「今回はクランクイン前に監督とお会いして、レッスンをたくさん重ねて、共演者同士も信頼関係を持って現場に臨みました。ニュアンスを抜いての本読みですとか、各自のパーソナルな部分を話すとか、そういうワークショップもたくさんやりました。自分たちが用意した技で勝負するのではなく、もっとシンプルにそこに今いることや感情を大事にすること、そういう“心”みたいなものが、この映画の肝なんだというのがわかったんです」と振り返った。

 芥川賞作家柴崎友香の同名小説2010年出版)を映画化した本作には、2011年に起きた東日本大震災の要素が新たに盛り込まれている。この決断を下した理由については、濱口監督は「日常とは、昨日今日も変わらない、明日も基本的には同じような日が来るだろうという感覚だと思います。震災が示したのは、昨日今日が違ってしまう、今日明日が違ってしまう、という認識です。今の間と次の間は全く違うことが起きるかもしれない、そういう世界を実はわれわれは生きているんだという感覚は小説の中にそもそも書き込まれていたんです」と説明していた。(編集部・市川

71カンヌ国際映画祭は現地時間19日まで開催

カンヌ公式会見に出席した東出昌大&濱口竜介監督