’00年代以降、物価の安い東南アジアで長期滞在する“外こもり”と呼ばれる人たちが増えている。なかでも近年、“負け組”50代の中高年に人気なのがカンボジアの首都プノンペンだ。

「物価は隣国のタイやベトナムより安いし、パスポートの有効期限内であればビザが何度も更新できて外こもりにとっては天国。今は現地にアパートを借り、月8万円ほどで生活をしています」

 そう語るのは、外こもり歴5年の石田優司さん(仮名・51歳)。以前は資産運用をしながらタイのバンコクで外こもり生活を送っていたそうだが、制度改正などにより同国での長期滞在が難しくなってカンボジアに移り住んだとか。

「それにこっちの銀行は定期預金の年利が5%以上と高い。私のように金利を生活費の一部に充てている長期滞在者も多く、その辺も魅力のひとつですね」

 また、早期退職して2年前から外こもり生活をしている大崎孝二さん(仮名・57歳)は、カンボジアの食事環境の良さを挙げる。

「プノンペンには雨後のタケノコのように日本料理屋が増え、巨大なイオンモールもあります。現地の料理ばかりだと飽きるので、安く日本食を楽しめるのは自分のようなオヤジ世代にはありがたい」

 なにより治安も良く、中心部であれば夜間の外出も問題ない。

「銃犯罪はフィリンピンに比べると圧倒的に少ないため、事件に巻き込まれるリスクも低い。日本からのドロップアウト先としては、バランスが取れてると思います」

― 負け組50代の背中 ―
取材・文/宮下浩純 坂本享哉 石橋相太 高島昌俊 猪口貴裕 加藤純平(ミドルマン) 藤田亜利沙 撮影/渡辺秀之 アンケート協力/エコンテ

プノンペン市内の屋台で夕食を取る石田さん。麺なら1食50円程度で食べることができるという