近年人気があるといわれている老後の海外移住。高齢化社会にあって、今後も需要の拡大が予測される。「老後は物価の安い海外で悠々自適な生活……本当にできるのか調べてみた」という記事を「教えて!goo ウォッチ」で公開したが、物価の安い東南アジアへ移住するにしても、相応の資金がなければ難しいことが分かった。そこで、海外移住に関するポータルサイト「海外移住.com」編集部に、50代で海外移住を思い立った場合、資金をどう調達すればよいかなどについて聞いた。

■マレーシアとオーストラリアで老後を過ごすにはいくら必要?

はじめに、退職者向けのリタイアメントビザの取得条件について、日本人に人気のあるマレーシアとオーストラリアの状況を聞いた。

「マレーシアには、『MM2H(マレーシア・マイ・セカンド・ホーム)』と呼ばれる主にシニア世代向けのビザがあります。パスポートの有効期間内であれば、最長10年間(州によっては5年間)の滞在が認められ、出入国も自由で更新もできます。50歳以上は財産証明として35万リンギット(約965万円=2018年4月現在のレート、以下RM)以上が必要で、その他に月額1万RM(約28万円)以上の収入証明、または年金証明が求められます」(海外移住.com)

マレーシア移住には、少なくとも1000万円以上の資金が必要。50代で海外移住を考えた場合、退職金やそれまでの貯金を踏まえれば、そこまで非現実的な金額ではないのかもしれない。だが前回紹介したタイに比べると、はるかに高い資金が必要といえる。

「オーストラリアでは、55歳以上であれば『投資家リタイアメント査証』というものが申請できます。しかし、都市によって必要とされる資産証明額は異なり、地方都市でも資産額50万オーストラリア・ドル(約4,160万円、以下AUD)以上と、年間5万AUD(約416万円)以上の収入が必須です。大都市の場合は、さらに金額が大きくなります」(海外移住.com)

4000万円近くが必要なオーストラリアは、裕福層向けの移住先といえそうだ。

■多額の資金、50代からどう用意する?

50代からまとまった資金を準備するには、どうしたらよいのだろう?

「退職金や自宅の売却、資産運用など人によってさまざまな方法があります。一方、金額は小さいですが、老齢年金は、日本国内で最終居住地となった地域で年金請求書を提出すれば、移住先でも受け取ることが可能です。受給開始年齢より前に海外移住する場合は、任意加入をおすすめします。手続きは海外からでも可能です。また、『ねんきん定期便』は基礎年金番号がわかれば、海外へ送付してもらうこともできます」(海外移住.com)

どうやら海外に移住しても年金は受け取れる。確実に取得できるよう準備したい。

「移住の際、マンションや土地を売却するという話をよく聞きます。しかし、途中で諦めて帰国する方が多いというのも事実です。食事や気候など日常生活で合わない部分もありますが、現地情勢や災害、病気や家庭の事情など、自分の意思とは関係なく帰国を余儀なくされるケースもあります。その際、日本国内に住所をもたない年金生活者では賃貸物件を借りられないことも多く、住居の確保に困り果ててしまいます。いきなり売却するのではなく、期限付きで貸し出すことも検討すべきでしょう」(海外移住.com)

帰国という可能性に対するリスクヘッジも、念頭に置く必要がある。

■資金だけではなく心の準備も

海外移住には、それまで築いた人間関係の消失や言語の問題など多くの課題もある。

「言葉が話せない人は、日本人コミュニティに参加しがちですが、海外での日本人コミュニティの世界は非常に狭く、村社会の側面さえあります。滞在年数や会社の肩書きで序列が決まることも少なくないので、人によっては煩わしく感じてしまうこともあるでしょう。しかし、いざとなった時に頼りになるのは、やはり言葉の通じる日本人なのです」(海外移住.com)

海外移住してまで日本人社会と関わるとは……。ほどよい関わりを保つにはどうしたらよいのだろうか。

「現地の語学スクールなどに通うと、日本人の知り合いができます。生徒の多くは駐在員やその家族で、会社や家庭に割く時間もあるため、適度な距離を保った関係を築くことができます。さらに講師と親しくなれば、現地人とも繋がりができ、その国に対する理解も早まります。言葉が話せるようになると、現地人と触れ合うことが楽しくなり、有意義な移住を実現できるでしょう」(海外移住.com)

やはり、郷に入っては郷に従えということなのだろう。日本であろうが海外であろうと、先立つ資金と現地社会との関わりは必須のようだ。

●専門家プロフィール:海外移住.com
株式会社クラインズが展開する海外移住の暮らしやビザに関するポータルサイト。現在、日本人移住者数が多い50カ国の移住情報を掲載中。実際に海外移住をしている(していた)スタッフによる、リアルな情報配信が特徴。

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)

老後の海外移住計画、50代からはじめて間に合う?