真夜中過ぎ、古めかしい家に赤ちゃんの泣き声と女性の叫び声が響き渡る。夫がかけつけると、妻の安達祐実がゆっくりと顔を上げる。その口もとにはべっとりと赤ちゃんの血が……ギャー!

完全にホラー映画のテイストで始まったhuluオリジナルドラマ『ミス・シャーロック/Miss Sherlock』。人並み外れた洞察力と知識を持っている変人の捜査コンサルタント・シャーロック(竹内結子)と戦地から帰ってきた元医師で常識人の和都(貫地谷しほり)が難事件に立ち向かう。

先週配信された第4話のタイトルは「武蔵野ヶ丘のヴァンパイア」。前回は貫地谷しほりが電流拷問されていたのに、今回は安達祐実が吸血鬼に……!? 森淳一監督は「Huluで連続ドラマをやるなら、原作にあるグロテスクな描写や麻薬に関する表現など、地上波でできないものができると思いました」とコメントしていたが、不穏すぎるよ! 

今週もネタバレなしでお送りします。

シャーロック、「コウモリの怨念」説を瞬殺
シャーロックのもとに依頼を持ち込んだのは、和都の幼なじみの若杉(高橋努)だった。彼の再婚した妻、さくら(安達祐実)が生まれたばかりの赤ちゃんの生き血をすする吸血鬼になってしまったという依頼である。

シャーロックたちが若杉家を訪れると、さくらの母・静枝(朝加真由美)が謎の祈祷を行っている最中。若杉家には「コウモリの怨念」の言い伝えがあった。屋敷に棲み着いていたが駆除されたコウモリの呪いでさくらが吸血鬼になったというのだ。真剣な顔で話を聞く和都だが、シャーロックは「コウモリの怨念」説を瞬殺する。

「1000種類以上いるコウモリのうち、哺乳類の血を吸うコウモリは1種類、チスイコウモリだけ。それも日本には棲息してない。前に駆除したのはきっと日本の在来種、イエコウモリだし、仮にそれに怨念とやらが乗り移ったとしてもせいぜい天井にぶら下がるのが落ち。血を吸うことなんか絶対ありえない」

終了~! 

さくらが血を吸っていたのには別の理由があったと推理するシャーロックは、和都とともに寝込んでしまったさくらの寝室を訪れるのだが……薄暗い部屋で、ただ寝ているだけの安達祐実の顔が怖い! バサバサの髪にギョロリとした瞳で、まるで古ぼけた日本人形が寝かされているよう。部屋に入ったシャーロックと和都がギャッとリアクションしてもおかしくなかったが、特にそういう演出はなかったため、これは単にメイクをした安達祐実を寝かせてみたら想像以上に怖かっただけなのだろう。

シャーロック、小劇団に激怒される
さくらは心臓に持病を抱えている赤ちゃんのそばにいてやりたいと涙を流す。一方、赤ちゃんを調べていたシャーロックは、若杉の連れ子・大輝に「帰れ!」と言われて腹を立て、そのまま帰ってしまう。子ども嫌いの理由を問われ、「論理的な思考が欠如している」と伊武雅刀「子供達を責めないで」みたいなことを言うシャーロック。

さくらの部屋に置いてあった線香から、彼女がある寺に通っていたことを突き止めるシャーロックたち。さくらはこの寺に墓参りに通っていた。舞台女優をしていた彼女の親友が交通事故で亡くなっていたのだ。そのとき車を運転していたのは、さくら自身だった。

シャーロックたちはさくらの親友がかつて所属していた劇団に出向き、婚約者だった結城カイト(川岡大次郎)と会う。シャーロックはカイトの足についていた鹿沼土から、彼が園芸店でバイトしていることを見抜く。どうしてわかったのかと問われ、「この程度の劇団てことは、劇団員の収入はほとんどない。アルバイトしなくちゃ生きてけない」と言い放ち、劇団主催者に激怒されるシャーロック。そりゃそうだ。

その頃、さくらの家では、さくらが再び赤ちゃんの生き血を吸おうとしていたのではないかと騒ぎになっていた――。

元ネタどおりの第4話
今回のエピソードは、シャーロック・ホームズシリーズの短編「サセックスの吸血鬼」がもとになっている。サセックスとはイングランド南東部にある地名で、最近ロイヤルウェディングを行ったイギリスのヘンリー王子がエリザベス女王から「サセックス公爵」に叙されたことでも知られている。

『ミス・シャーロック』ではこれまでにもシャーロック・ホームズシリーズの短編をエピソードの元ネタにしてきたが、今回は今までになく原作に近い展開だった(ただし、真犯人については一捻り加えられている)。

第4話は全8話のシリーズのちょうど折り返し。ここで物語に2つの大きな流れが生まれてきた。

一つは、戦場カメラマン・守谷透(大谷亮平)の登場。和都が通うカウンセラーの入川(斉藤由貴)に紹介された写真展で出会った2人は戦場から帰ってきたという共通点があった。和登と守谷はちょっとイイ雰囲気になるのだが、2人とも心に大きな傷を抱えたままだった。2人の出会いは第4話の驚きのラストシーンにつながっている。今後、守谷がストーリーにどのように絡むのか注目したい。

もう一つは、謎の言葉「マリスステラ」にまつわるもの。第3話で「恐怖を消す薬」を手に入れようとしていた真犯人で、ノートにびっしりと「マリスステラ」と綴っていた椎名由麻(木南晴夏)は取り調べにも黙秘を続けていた。シャーロックの兄で内閣情報調査室の双葉健人(小澤征悦)がさらっと「政府の管轄になった」と言っていたのも気になる。やっぱり謎の組織が背後で暗躍している……?

第4話はこの2つの流れを印象づけるため、メインのエピソードを簡潔に済ませようとしたのかもしれない。犯行のトリック自体も不確定要素が多く、ちょっと首をかしげざるを得ないようなものだった。

本日午前10時配信の第5話は「消えた新婦」。結婚披露宴直前に新婦(『海月姫』で稲荷さんを演じた泉里香)が失踪! 新婦にはストーカー(『全員死刑』の毎熊克哉)がいたというが……。どんな不穏なストーリーが展開するのか楽しみだ。
(大山くまお)

Huluにて配信中
イラスト/まつもとりえこ