日本テレビの水曜ドラマ「正義のセ」(夜10時~)では、ヒロインの新米検事・竹村凛々子(吉高由里子)の担当事務官である相原勉(安田顕)が回を追うごとに、単なる「ヒロインの小姑役」というだけでなく、鉄道ファンだったことなど意外な面があきらかにされている。

先週放送の第7話では、相原に新たに「子煩悩な父親」という一面が加わった。冒頭では、別れた妻が再婚したため、彼は幼い一人娘となかなか会えなくなったという事情が明かされる(それでもラストで久々に再会)。そこへ来て子供がらみの事件が舞い込み、凛々子以上に奮戦することに。このほか第7話は、凛々子が忘れたスマホを届けに彼女の実家を初めて訪ね、父・浩市(生瀬勝久)とお互い娘を持つ身の上から意気投合したり、さらに前々回、前回に続き事件の手がかりをつかんだうえ、クライマックスでは被疑者を涙ながらに諭したりと(これまで凛々子にはさんざん、事件に対し個人的な感情は抑えるようにと言ってきたのに!)、いつにも増して相原が前面に出た回となった。

その夜、保育園で何が起こった?
今回の事件は、ある認可保育園で男子園児が、保育士が目を離したすきに大けがを負ったというもの。遊具から転落した事故と思われたが、園児の父・小峰(近藤公園)は、保育園側の自分たちには何の落ち度もないかのような説明に納得がいかず、警察に被害届を提出した。

横浜地検・港南支部でこの事件を担当することになった凛々子と相原は、小峰から、息子の宏尚(佐藤令旺)は普段から小さなけがが多かったこと、また城を模した遊具から落ちたというが、そもそも息子は高いところが苦手だという証言を得て、園側には監督不行き届きだけでなく虐待の可能性もあると推測、捜査に乗り出す。

保育園に赴いた凛々子たちは、園長の瀬川(朝加真由美)と保育士の水田(益田恵梨菜)から、事故のあった夜は2人だけで延長保育で預かった30人以上もの園児を見ていたことを聞き、園側の立場にもそれなりに理解を持つ。

その後、宏尚に対し司法面接が行なわれ、凛々子がなるべく負担をかけないよう2人きりになって話を聞いた(その外では警官と児童福祉士がモニターで確認している)。このときの宏尚の証言により、けがの原因が事故であることが確定。小峰も被害届を取り下げ、保育園へ足を運んで瀬川に謝罪する。だが、彼が立ち去ると、瀬川は隣りにいた水田に「ね、私が言ったとおりにすればすべて丸く収まったでしょう」と意味深な言葉をささやく……。

凛々子のほうでも、宏尚がよくけがをして帰ってきたという小峰の証言が引っかかっていた。そこであらためて調べ直してみると、事故当夜、保育園には水田だけで瀬川はいなかったことが判明。これでは保育士は二人以上いなくてはならないという認可保育園の設置基準に違反する。しかし再度の取調べで、瀬川はその夜は急用があって不在だったことを認めたものの、事故は偶発的なもので、たとえ自分がいても防げなかったと主張。凛々子が先輩検事の大塚(三浦翔平)に訊いても、子供の事故に関して保育園側に過失があることは立証するのは無理だと言われてしまう。

支部が一丸となって真相を洗い出す
このあと相原が、先の司法面接の際に宏尚が支部に忘れた列車のおもちゃを家まで届けに行き、彼のお絵かき帳を見せてもらっていたところ、保育園での様子を描いた絵にはいつも大人が一人しかいないことに気づく。どうやらこの保育園では日常的に保育士の数が足りていなかったらしい。園児の数に対し、保育士の数が不足していたために目が行き届かなかったとすれば、園側の過失を問える。保育園に対してはさらに補助金の不正受給の疑惑も浮上する。大塚によれば「認可保育園は、保育士の数で受け入れられる園児の数が決まり、市から出る補助金の額も決まる。その保育園は保育士の数を水増し申請して不正に補助金を受け取っていた可能性がある」というのだ。

港南支部では、凛々子と相原のほか、やはり娘を持つ父親である徳永(塚地武雅)の呼びかけもあって、検事らが一丸となり保育士や保護者に話を聞くなどしてあらためて事の真相を洗い出す。さらに事故当夜、保育園に唯一いた保育士である水田にも協力を得るべく、凛々子は「この先また悲しい事故が起きないように」と説得するのだった。

再捜査を経て、凛々子と相原はまた瀬川を呼び出す。そして水田から入手した保育士水増しの証拠を突き出し、補助金の不正受給は詐欺にあたると迫った。だが、相手もなかなか懲りない。保育士の数を多く申請すれば、それだけ多くの園児を受け入れることができる。保育園に入りたくても入れない園児も多い現状からすれば、自分はあくまで子供たちのためにやったのだと言うのだ。だが、それに対し相原が「いいかげんにしてください」と叱責、こう語りかけた。

「あなたは、お父さんやお母さんがどんな思いで子供たちをあなたの保育園に預けているのか考えたことがありますか? 本当は一分一秒でも一緒にいたいはずなんです。でも子供のためにも働かなくてはいけない。だから、寂しい思いをさせてごめんねと思いながら毎日頑張ってるんです。園の体制に疑問を感じても、やっとの思いで入れた保育園を追い出されたらと思ったら、黙って耐えるしかない。そんな切実な思いをあなたは考えたことがありますか? 子供のために、そんな言葉でごまかさないでください。あなたは不正受給した補助金で私腹を肥やしていた。そしてそのせいで子供たちを、その親御さんたちを傷つけた。そのことをしっかりと受け止めてください」

涙ながらに訴えかける相原に、ついに瀬川も落ちた。その後、保育園は市が運営を引き継ぐ方向で動き始める。なぜ宏尚が高いところが苦手にもかかわらず、遊具に登ったのかという謎も、父親の小峰が迎えに来る姿を見るためだったことが、凛々子がお絵かき帳を返しに行ったときに本人から聞いてあきらかとなった。

近藤公園に続き、大人計画から正名僕蔵が出演
第7話では、「司法面接」という耳慣れない言葉が出てきた。これは、子供(および障碍者など社会的弱者)を対象に、相手の負担を軽減しながら正確な証言を聞き取るというもので、最近、検察・警察・児童相談所が連携して全国で導入が本格化しつつある。

司法面接について解説したあるサイトによれば、その目的の一つには《子どもの関わった事件が何らかの作為による虚偽の話ではなく実際にあった出来事であるかどうかを検討するための情報を得る》ということがあるという(司法面接支援室:立命館大学・大阪いばらきキャンパス・OIC総合研究機構/総合心理学部「司法面接/司法面接研修」)。今回ドラマで描かれた司法面接は、子供のけがの原因が保育園側の言うとおり事故だったのかどうかを確認するために行なわれており、まさにこのケースにあたる。

第7話では、以前より大都市を中心に問題化している待機児童の問題がとりあげられていたので、視聴者の多くはむしろそちらに関心が向いたかもしれない。だが、私としては、地味ながらも新たな制度をドラマのモチーフとして果敢に採り入れたことに拍手を送りたい。

ところで今回、相原とともに子を持つ父親を好演した近藤公園は劇団大人計画に所属する。阿部サダヲや荒川良々など個性派ぞろいの大人計画にあって、いぶし銀ともいうべき存在だ。そんなキャラを買われてか、今クールだけでも出演した連続ドラマは「家政夫のミタゾノ」「コンフィデンスマンJP」、そして「正義のセ」と引っ張りだことなっている。

その近藤に続き、今夜放送の第8話では、同じく大人計画所属の正名僕蔵が被疑者役でゲスト出演する。チームとして結束も固まった港南支部が、今度はどんな事件に取り組むのか、引き続き見逃せない。
(近藤正高)

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※「正義のセ」の最新回はTVerで無料配信中(第7話の無料配信は5月30日21時59分まで)
イラスト/まつもとりえこ