プロトレーナー木場克己氏が説く、成長期を迎えた選手用の特別メニュー

 海外サッカー、スペインリーグの名門レアル・マドリードのカデーテB(U-15)に所属する14歳、「ピピ」こと中井卓大。今季、チームが勝ち点77を積み上げ、リーグ優勝を果たす中、華麗なドリブル突破とテクニックでタイトルに貢献した。

 日本サッカーの未来として期待される逸材は、毎日欠かさないルーティーンがある。

「ピピは相変わらずの意識の高さです。先日電話で話した時にも、彼に渡したトレーニングメニューを毎日欠かさずにこなしていると言っていました。チームで大きな怪我がないのは自分だけと話していましたね。彼の年代で大きな怪我をしてしまうと、その後のキャリアに影響が出てしまう。怪我なくここまで来られたのは、彼の才能と努力の賜物ですね」

 こう語ったのはプロトレーナーの木場克己氏だった。体幹、体軸、バランスを強化する「Koba式体幹・バランストレーニング」の開発者で、競泳のリオデジャネイロ五輪代表・池江璃花子(ルネサンス亀戸)らトップアスリートを指導。日本郵政女子陸上部もアドバイザーとして指導し、16年に創部3年目で全日本実業団女子対抗駅伝(クイーンズ駅伝)優勝に導いたスペシャリストだ。

 木場氏が中井に託したのは、中学2~3年という成長期を迎えたアスリート用のスペシャルメニューだった。同じく木場氏に師事しているU-20日本代表FW久保建英(FC東京)も取り組んだ全身トレーニングだ。

 久保と中井という次代の日本サッカー界を担う逸材が取り組んできたスペシャルメニューは5つ。今回は一番最初に行うトレーニング「チューブバランス後ろ足伸ばし」を紹介する。

成長痛が起こる育成年代の膝を守る「チューブバランス後ろ足伸ばし」

「最初のトレーニングの目的は膝周りの強化です。中学、高校生の年代は身長が伸びるにつれて、成長痛が起こります。急激に身長が伸びていく中、上半身を支える膝周りの筋力が足りないと、膝を怪我するケースが増えます。そのリスクを避けるためのトレーニングです」

 模範動画では足元を不安定な状態に置き、バランス力を高める効果を狙って特製のファンクショナルマットを使用。足首に特製のゴムチューブを巻いた状態でマットの上に立ち、両腕を胸の前に交差させた状態がトレーニングのスタート体勢だ。

1、直立した状態から片足を後ろに引いて、アキレス腱を伸ばす姿勢を取る。
2、重心を前に倒しながら、マットに残した前の膝をしっかりと曲げる。
3、後ろの足を地面から5センチ程度浮かせて、その姿勢を5秒間キープ。体がブレないように、軸足でバランスを取る。
4、その姿勢で両手を広げて、肩甲骨を寄せるイメージのまま、5秒間キープする。
5、逆の足でも同じ動作を繰り返す。左右ともに3セットから5セット。

「体の軸を作りながら、軸足を支えて、上半身を安定させます。チューブを引っ張ることで、臀部の筋肉に刺激が入ります。太ももの裏まで刺激が入るので全身トレーニングになります。不安定なマットの上で動作をすることで、頭から足の踵までの体の軸を意識することがポイントです」

 後ろの足を伸ばした際の姿勢がポイント。頭から足のかかとまでが45度の一直線になるようにイメージする。もう一つのポイントは膝とつま先がまっすぐに同じ方向を向いていること。この2点を遵守すると、トレーニング効果は格段に高まるという。

「膝周りの強化が十分でないと、100%のダッシュや競り合いで膝のぐらつきが出ます。膝の故障を避けるために、最適なウォーミングアップになると思います」

 マットとチューブがなくても、ある程度の効果は見込める。中井や久保も取り組むスペシャルメニュー。育成年代のアスリートの足元を支える“ミラクルレシピ”になるかもしれない。(THE ANSWER編集部)

久保建英と中井卓大【写真:Getty Images】